さらに、1人の男性との出会いもハンガリー独立への後押しとなった様です。
彼の名前はジュラ・アンドラーシー伯爵。
長身で容姿端麗。カリスマ性があり、革命家と言う魅惑的な雰囲気を持った貴族でした。
彼は想像力豊かで、人生を存分に謳歌している様に見え、シシィは忽ち、この華やかで魅力的な男性に惹かれていったのです。
フランツ・ヨーゼフとの結婚生活がほぼ破綻していたシシィにとって、アンドラーシーはシシィが秘かに描いている理想の男性像にピッタリだったのです。
この時、アンドラーシー42歳、エリザベート28歳。
私の独断ですが、ファザコンの気があるシシィには頼りがいのある大人の男性として映った事でしょう。
アンドラーシーもこの絶好の機会を逃す手はなく、シシィの援助を勝ち取り、やがてオーストリア=ハンガリー二重帝国が誕生したのです。
二人の関係はプラトニックに過ぎなかったとは言われていますが、何となく淋しい女性が上手く利用された様な感じがして、何となくシシィが可哀想な気がします。
ハンガリー独立の同志として運命づけられた出会いだったのでしょう。
物事、表面に見える物は全て氷山の一角です。
後世の人々は、シシィの複雑な心情がハンガリーの独立を突き動かしたと見るより、大嫌いなお姑さんへのあてつけに、お姑さんの嫌いな物を好きになると捉えた方が、可愛く意地っ張りなお嫁さんと言う、容姿に似合った無邪気な女の子に仕立て上げやすいのでしょう。
確かにシシィは美人です。でもその美しさは決して屈しない強さと氷の様な側面を持ったクールビュティーだと思います。
シシィはいつもマリア・テレジアと姑ゾフィーと言う偉大な2人の女性の影を感じていたそうです。
大きな愛で包む様な皇妃ではなかったけれど、自分の信念を貫き通す生き方は多くの女性に影響を残したのではないでしょうか。