フィキモリ トルマレスカ 2013
ワイナリー:アンティノリ
南イタリア プーリアのワイン。
アドリア海沿いに位置するマッセリア・マイメと言う海抜15mの葡萄畑から作られています。トレマレスカとは海の目の前にある塔という意味。
粘土質土壌の葡萄畑の前にはエメラルド色の海が広がっているそうです。
使っている品種は、ギリシア原産の葡萄ネグロ・アマーロが主体。シラーが少しだけブレンドされています。
位置的にギリシアに近いと言う事もありますが、いずれも太陽の照り付ける地域に強い葡萄品種を使用し、アルベレッロという伝統的な栽培方法で葡萄は育てられています。
アルベレッロとは英語でLitte Treeという意味で、無支柱で低木に仕立てられ葡萄の樹を1本1本独立させている植え方。南フランスのローヌ地方などに見られる、株仕立てと言う方法です。
幹を低くする仕立てる為、灌漑設備がなくても水分が樹全体に行きわたられる事が可能な事と、枝葉が自由に伸びる為、激しい日差しによる日焼けから守る事が出来ると言うメリットがある反面、自然と収穫量が制限されると言うデメリットがあります。
その為、多くの農家がこの作り方を倦厭する傾向にありますが、収穫量が制限される為、凝縮された葡萄を収穫する事が出来ます。
通常赤ワインは18度位の温度が適温と言われていますが、プーリアの夏は非常に暑い為、この地方では赤ワインも冷たく冷やして飲んでいる事に着目し、このワインもよく冷やしてこそフルーティなアロマと味わいが引き立つと言う珍しいワインです。
香りは、苺ジャムの様な酸味を伴うフルーツの甘い香りが主体です。
温度が低いので、香りも閉じ気味。バラなどお花の香りが感じられる位で非常にシンプル。
味わいは若干果実味を感じる物の、スマートな印象。優しいが溌剌とした酸が印象的です。
タンニンもこ慣れていて酸に溶け込んでいる感じ。後半、苦味が少しずつ出てきて、アフターでエスプレッソ的な苦味に舌の真ん中に乗っかる様な感じ。
地理的な事を考えると、デップリとしたワイン(甘くてアルコール度が高く酸が乏しいワイン)ではないのが好印象。
8月~9月のまだ夏の暑さが残る時期に、冷やしてたっぷりの野菜と共にお肉料理を食べる時に向くワイン。
クリュ ボジョレーにも似ているので、深く考えず、家のお惣菜と共に気軽に楽しめるワインです。
※温度が高くなると若干、ローズマリーチックな香りが見え隠れしてきます。
※クリュ ボジョレーとはムーランナヴァン、サンタムールetc格付けされているボジョレーの事で、ボジョレーヌーボーとは全くの別物。フルーティーでありながら甘草など甘苦系スパイスの香りもあり長命。熟成するとピノ・ノワールに似てくる。