そのご都合主義と執着心がおブスな恋をつくる② | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。


ある日、ルイが熱を出して寝込んだ我が子の見舞に行くと、養育係のスカロン夫人が、鼻を詰まらせた子供の鼻に口を当て、何度も詰まった鼻を吸い取っては楽にしてやる様子を目撃し、実の子に対する様なその母性的な優しさに亡き母の姿を重ね合わせました。






病弱な長女が亡くなった時も、ケロッとしていたモンテスパン夫人。対して実の子の様に悲しむスカロン夫人。この様子を見てルイは「スカロン夫人は愛する事を知っている。彼女に愛された男は幸せだ」と思わず吐露してしまいました。恋の矢




聞けば、身体の不自由なルイの庶子はスカロン夫人になついており、辛い治療もマダムの為に頑張ったと誇らしげに言うではないか。





国王とは孤独な立場です。

誰にも話す事が出来ない心の内をスカロン夫人には何故か気兼ねなく話す事が出来る。

宮廷のゴタゴタガ苦手なスカロン夫人も、辛抱強くルイの話に耳を傾けてくれる。

ルイにとって、スカロン夫人は母以外の女性の前でくつろぐ事が出来る、初めての、そして唯一の女性となったのです。ドキドキ





モンテスパン夫人の御代にも陰りが来る時がやってきました。





ある毒殺事件をきっかけに、黒魔女ラ・ヴォアザンが逮捕されると、黒ミサに使われた夥しい数の嬰児の死体が発見されました。

黒魔術に嬰児の血が一番効果的と言われ、貧しいパリ市民の嬰児が売買されるとその血を絞り、焼いた遺体は2,500体を越えたと言われています。ドクロ





そして、愛の媚薬として、ワインに混入して飲ませた媚薬の中には毒物が混入されている事が明るみになり、これらの得意先である顧客名簿の中に、ヴェルサイユに出入りを許されている貴族達の名前が記されていたのです。





当然、モンテスパン夫人の名前もその顧客リストの中に!ショック!





あの恍惚感は得体の知れない混合物を飲まされていた事と無関係ではないと知った時のルイの狼狽振りはどれ程のものだったかは想像がつく事でしょう。叫び





宮廷の面子を保つため、ルイは一部の有名貴族を公に処罰する事は控えたものの、そろそろモンテスパン夫人との関係も潮時である事を決意したのです。





その矢先、王妃が突然みまかうという不幸が訪れました。




死の淵に立ち、王妃は集まった人達の中にスカロン夫人を見つけると弱々しく側に来る様手招きをし、ルイの事を頼むと言い残すと、静かに目を閉じたのだそうです。





モンスパン夫人が王妃をないがしろにし、王妃が喋ろうとすると、すかさず遮り喋る場を与えなかったのに対し、スカロン夫人は、王妃の不自由なフランス話にも辛抱強く聞き入り、寂しさに耐えていた王妃を気遣っては、ルイに王妃の元へ戻る様助言していた優しさを王妃は買っていたんです。





そして、自分亡き後をモンテスパン夫人が取って替わるのは許し難く、愛されなくても愛して止まなかった夫の支えになれるのは、賢く、敬虔なスカロン夫人しかいないと思っていたのでしょう。





王妃とは礼を尽くしただけの間柄だったとは言え、いざ善良そのものの王妃がいなくなると、ルイは生前自分が優しくしてやらなかった事への後悔と罪の意識で、がっくりと肩を落とし、生来の涙脆さも手伝って独り部屋に籠って泣きました。しょぼん





廷臣達も、あんなルイは見た事も無いと噂をする程の落ち込み様。





皆が案じる中、1人の貴族から「お行きなさい。今、国王に必要なのは貴女なのですから」と促され、スカロン夫人は、果たして自分で良いものかと戸惑いながらも、ルイの孤独を共に分かち合ったのです。





王妃の死から2ヶ月後、ルイはスカロン夫人と正式に結婚しました。ラブラブ





大国フランスの王者が王室の姫以外の、名もない、しかも王より年上の政治的にもなんの利益もない女性との結婚。

公にする事は許されず、ミサを司る司教と証人だけの、ひっそりと極秘の内に行われた毛混でした。





身内にさえも知らされず、誰にも気付かれない様に続けた結婚生活。

しかし、ルイは以前にも増してスカロン夫人を側に置く事が増え、執務や閣議さえも夫人の部屋で行う様になりました。





やっと魂の伴侶に巡り合ったルイは、閣議で自分の下した決定が不安な時は、片隅に控える夫人の目を見つめ、二人だけの秘密のアイコンタクトでお互いの意見を確認したそうです。





それにつけても、臍を噛む思いだったのはモンテスパン夫人です。





よりによってスカロンとは!!爆弾




・・・・to be continued