恋が始まる時の高揚感は、誰もがワクワクしますよね。
と、同時にこの恋は実るのかしら?とか、お付き合いが始まれば、今度は、上手く行くかしら?とか浮気を心配したり・・・恋愛って、良い事も悪い事も含めて刺激的。
例えマンネリ化した状態でも、自分以外の誰かの事を考えている時間は非日常であり、人によっては逃避だったりする事もあります。いや、非日常自体そもそも逃避なのかも。
大人の世界は複雑で、独りで頑張る事に疲れたり、このままで良いのかな?と不安になる事もままあります。また、周囲が次々と結婚すると自分だけが取り残された様な気分になったり・・・・女の子が恋愛に対して焦ったり、不安になる時って、シンプルに恋がしたいと言うより、自分の環境を変えたいとか安定感が欲しいと言う様な愛とは違う別の理由が多いのではないでしょうか?
ドラマやクリスマス・バレンタインデー等商品戦線の影響を受けて、彼さえいればHappyになれると錯覚したり、世の中のイベントに乗っかれると言う安心感に満足してしまう。
それは世の中の仕組み上仕方がない事ですが、自分の都合や執着心に捕らわれてしまうと楽しい筈の恋愛も苦しくなるばかりです。
こんな風に、自分を幸せにしてもうら事が最優先の恋では、心の醜さが露見して、どんな素敵な恋でもやがてThe endとなるのが関の山。
恋をしているのにおブスになる、なんて言うとんでもないオマケまで付いてしまいます。
太陽王と呼ばれたルイ14世の寵姫だったモンテスパン侯爵夫人。
王妃付の女官で、官能的な美しさを持ち、頭の回転が速くウィットに富んだ会話でたちまち宮廷の中心となった女性です。
ルイには王弟妃付の女官だったヴァリエール侯爵夫人こと、ルイーズ・ド・ラ・ヴァリエール嬢と言う寵姫がおり、彼女との間に6人の子供を設けました。
控えめなヴァリエール嬢との恋もややマンネリ化した頃、ルイの前に、男性なら一度は物にしてみたいと思わせる様な女性が現れたのですから、恋の狩人と言われたルイの触手が動かない筈はありません。
ルイの心を捉えたモンテスパン夫人は、官能的な悦びをルイに与え、寵姫の座にあるルイーズを退ける事に着手しました。
ルイーズはと言うと、野心や功名心など微塵もなく、ただルイの愛にすがっているだけで満足でした。
しかし、自分は王妃を裏切っていると言う罪悪感と図らずも宮廷の中心に押し上げられた華が苦痛で、心が休まらない思いでいたのです。
フランス語が不自由な為、長い事寵姫の存在を知らずにいた王妃の耳にもルイーズの存在を知るところとなり、いかに善良と言われた王妃でも、心がざわつかずにはいられません。
オドオドと王妃に礼を尽くすルイーズに対して、心ならずも辛く当たってしまう。
先ずは、ルイーズを蹴落とす事が先決とモンテスパン夫人はルイーズを隠れ蓑に、「王妃様、あの様な図々しい女にはお気を付けなさいませ」と、いかにも王妃の味方を装い、自分は、黒魔術をつかうラ・ヴォワザンの力を借りて、ルイーズを蹴落とし、戦場に向かうルイに同行を許される数少ない女性の1人に選ばれる迄のし上がったのです。
かくしてルイーズが6人目の子供を出産する頃になると、ルイは彼女のもとを訪れる事はなくなり、ルイの愛を失ったルイーズは規律が尤も厳格だと言われるカルメル修道院に引籠る事にしたのです。
さて、これで邪魔者はいなくなった。
モンテスパン夫人を脅かす者がいなくなると、名誉欲の赴くまま、高価な宝石をねだり、カード遊びで多額の借金を作る、ルイの前で平気で王妃を侮辱するなど、モンテスパン夫人の気まぐれで傍若無人な振る舞いは目に余る物になって行きました。
礼節を重んじるルイは、流石に、王妃を屈辱する夫人を態度を諌めはしたものの、夫人のヒステリックな性格と愛欲への執着に、好きな様にさせていたのです。
ルイーズが侯爵の位を貰った事への対抗心から、ルイとの間により多くの子供を設け、恋敵より多くの特権を独占しなくては気が済まなかったモンテスパン夫人。
ルイーズが慎ましく、生まれた子供達との時間を大切にしていたのに対して、モンテスパン夫人は産んだら産みっ放し。
ああ見えて子煩悩なルイは、子供が熱を出せば気になり見舞に行くのに、モンテスパン夫人は、後のマントノン侯爵夫人となる養育係のスカロン夫人に任せたまま。
この様な夫人のルーズさと母親としての情に欠けた性格をルイは見逃さず、彼女の事を冷やかな目で見始めていたのです。
・・・・to be continued