ヨガを始めて始めの数年は、
わたしも週一度レッスンに通い
気持ちよく身体を動かして
「あ~すっきりした、気持ちよかった!」
その後、
また忙しい日常生活に戻る、
という毎日でした。
たぶんヨガを習っている方の大部分は
そんな感じでしょうし、
それでいいのだとも思います。
まずカラダありき。
同じ先生のレッスンに通いつづけ
「ヨガって
ただ身体を動かしたり鍛えたりする以上のものが
背後にあるのかも」
とうすうす感じるようになりました。
ただ、ヨガスタジオで一般向けレッスンを受ける限り
講師もアーサナ以上の深い内容は、
通常教えてくれないことが多いと思います。
誤解がないように付け加えると、
ここで私が言おうとしているのは、
宗教的なこと、
例えばヒンドゥ教とか、
他のスピリチュアルなことに
関係しているようなことではありません。
ある時、いつものようにレッスンを受けていて、
たしか「英雄のポーズ I 」のような、
初心者にとって、少々きついポーズを
何呼吸もキープするということがありました。
両足を前後に開き、
前のひざを曲げて腰を落とし、
しかも両腕を上げて
ポーズの形を崩さないようにするだけでも大変なのに
呼吸までも深くゆったりとなんて!!!
と思った当時の私。
すると先生の声が聞こえてきます。
「スティラ スカ アーサナム」
(YS II:46)
アーサナ(ポーズ)はしっかりと安定していて、
かつ快適で楽でなければいけない。
つまり身体も呼吸も
さらに心の状態も
スティラ
=安定して目覚めて、無理のない頑張り方
(英語で言うところの Effortless effort)
&
スカ
=快適でリラックスできて楽な様子である
のが望ましいということ。
この言葉を聞いたときに、
自分の中で何かが変わり
「これだ!」
とすとんと腑に落ちるものがありました。
あとから聞けば、
これが、ヨガの古典中の古典
「ヨーガ・スートラ」 の第2章46節の有名な言葉でした。
この時から、ヨガに対する私の気持ちが
身体だけではない何かに向けて
少しずつ動いていったように思います。
それから数年後のいま、
自分も教える立場になりました。
もちろんふだんのレッスンではアーサナが中心ですが、
ポーズを教える中でも、
もう少し違う視点からポーズを感じて動いていただけるように、
試行錯誤しながらの毎日です。
「ヨーガ・スートラ」は全部で196節の短い言葉が、糸を紡ぐように全部で4章にわかれ、ヨーガについての教えを説く、最重要古典のひとつされています。昔は書籍の形は無く、全て師匠から弟子へと口移しで伝えられたとされています。今でもきちんと学ぼうと思えば、サンスクリットのスートラを唱えるようにして覚えていきます。
詳しくは → 【ヨーガ・スートラ】 INDEX