2023年11月4日(sat)

 

東京発電新小滝川発電所の取水口は、デンカ小滝川発電所(写真左奥)の直下に位置する。小滝川発電所の方が歴史は古く大正10年(1921)当時の電気化学工業株式会社が運用開始している。(写真/奥には小滝川のヒスイ硬玉で有名な明星山が聳える)
 

 

新小滝発電所の運用開始は、それから遅れること34年、昭和30年(1955)になる。建造したのは東京発電株式会社の前身、姫川電力株式会社である。(写真/1門のローラーゲートから取水する。巻揚機の部分は被覆され、ここが雪国であることを思い出させる。小滝川左岸から取水された水はボックスカルバートの導水路を流れ沈砂池へ送られる)
 

 

 

姫川電力がこの地に発電所を建造したのは同年に電気事業法が改正されたからだが、すでに昭和26年(1951)電気事業再編成によって大手9電力が誕生した後で、大いなる志をもって建設したと思われる。小滝川の上流には黒部川電力長栂発電所、同滝上発電所が存在し、デンカ青海工場に送電している。(写真/下流側から沈砂池をみる。ローラーゲートの奥に小滝川発電所がみえる)

 

姫川電力株式会社は昭和3年(1928)創立。戦中の解体を免れ、姫川最下流に姫川第七発電所の運転開始したのは新小滝川発電所の半年前のこと。その電源開発の段階で、新小滝発電所を建造することになったと思われる。(写真/沈砂池に併設されている小屋には救命浮き輪が保管されていると張り紙がある)

 

姫川電力は昭和61年(1986)東京発電株式会社に社名変更している。現在は東京電力のグループ会社として水力発電事業を担っている。糸魚川事業所があり、姫川流域の二基の他に、松本市にある竜島第二発電所、柏崎市にあるマイクロ発電の赤坂山発電所を管理している。(写真/下流側から堰堤と沈砂池の余水口をみる)

 

 


沈砂池から放水された水は再びボックスカルバートの中を流れていく。水力ドットコムによれば導水路は幅2.8㍍、高さ2.8㍍、総延長1,222.2㍍。(写真上/導水路の下流側から沈砂池をみる。写真下/下流側を望む)
 


新小滝川発電所 Vol.2に続く