土樽駅 上越線

土樽駅は大正11年(1922)に着工した清水トンネルの建設工事に伴い、資材や人員輸送のため敷設された軽便鉄道の信号場がルーツとなっている。工事の最盛期には、建設関係者とその家族計1,500人がこの付近に居住し賑わっていたというから驚きだ。しかし今の光景からは想像すらできない。

 

 

土樽駅 上越線 三国山脈 初冠雪

駅には比較的新しいH型煙突が残る。その向こうには雪をまとった山肌がみえるが、この地帯は有数の豪雪地帯。冬場には雪崩が起きて、駅員はときに駅で一昼夜を過ごすこともあったという。そんなときストーブの温かさは一段と心に沁みたことだろう。そんな日も今は昔である。

 

 

土樽駅 上越線 旧駅名標

土樽駅はかつて相対式ホームの2面4線で、新幹線ホームのような構造だった。「雪国」にもあるように、多くの列車がここで停車し、優等列車に道を譲ったはずだ。それも昭和57年(1982)上越新幹線が開通すると、上越線から特急列車が消え、その必要性は随分と減ったはずだ。(写真/以前のホームに残る国鉄時代からの駅名標)

 

 

土樽駅 上越線 旧ホーム

平成20年(2008)、使用していた副本線を途中で分断、その延長上にホームを造り、それまで通過線(本線)だった線路を使うようになった。(写真/上りホームより越後中里駅方面をみる。旧ホームや線路は撤去されずにそのまま残っている)

 

 

土樽駅 上越線

土樽駅を象徴する一つの跨線橋は昭和44年(1973)の竣工だ。その頃はおそらくスキーブームで、この駅を通らないと行くことができなかった土樽スキー場に向かうスキーヤーのために設置されたと思われる。それ以前は、構内踏切を抜ける必要があったと想定され、安全を考えてのことだったのだろう。

 

 

土樽駅 上越線 関越自動車道

跨線橋から土合駅方面を望む。この駅で残念なのは関越自動車道の存在だ。駅からすぐに線路を渡っていて視界を遮ってしまう。そして何よりも、エンジン音が山間に響き渡り、秘境駅ともいえるこの駅の魅力を半減させている。

 

 

土樽駅 上越線 名所案内
旧下りホームには国鉄時代の名所案内が残る。駅から3分で行けた土樽スキー場は昭和16年(1941)に開業した歴史あるもので旧コクド(現プリンスホテル)が経営していたが、平成16年(2004)に閉鎖。ゲレンデに隣接したユースホステル「土樽山荘」はしばらく営業を続けていたが、平成21年(2009)に閉館している。周囲に住宅地がない土樽駅は、当然廃駅の対象と考えられるが、後は登山ブームに乗って登山客の利用に期待したいものだ。

 


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