★1958年萬代屋(バンダイ) 1/20マツダ ロンパー ~ブリキ自動車コレクションから 085 | ポルシェ356Aカレラ

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今日は在宅勤務で午前中に大方の仕事を済ませて時間の余裕が出来ましたので、一つ記事をアップしておきます☆
「ブリキ自動車コレクションから」シリーズ第85回記事として萬代屋(現バンダイ)のマツダロンパー/D1100をご紹介します。併せて8年以上前の2012年6月にアップしたロンパー~クラフトの実車カタログのうち、初期の代表的なものとレアなものを選んで再掲載しますne☆☆☆


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★マツダ初の四輪自動車ロンパー
東洋工業(現マツダ) は1931年(昭和6年)4月に三輪トラックの生産を始め、戦後、1960年前後(昭和30年代半ば)までダイハツと並ぶ三輪トラック製造の主要メーカーでした。マツダが四輪に進出したのは1958年(昭和33年)4月デビューの小型トラック「ロンパー」が最初で、マツダ初の乗用車生産は更に2年後の1960年(昭和35年)5月発売の軽乗用車マツダR360クーペが最初となりました。

★小杉二郎デザイン
1950年代のマツダ三輪トラックの数々のキャブデザイン、ロンパー、R360クーペ、初代キャロル、軽三輪K360及びT600、そして最初の四輪ロンパーなどは全てインダストリアル・デザイナー小杉二郎氏(1915年~1981年)の作品でした。小杉作品に共通する魅力は柔らかく暖か味のある姿態とまるで生き物のように見える愛らしく愛嬌のある顔つきにあり、1960年代半ばまでの幼少期にそうした小杉デザインのマツダ車をリアルタイムで見ている私にとって忘れ得ぬクルマが多いのです。今回ご紹介するロンパーについては、その独特の丸味を帯びたデザインから幼少期の私はこのトラックを見かけると、ディズニーのアニメ映画に出てくる象「ダンボ」が走っているように見えたものでした☆


●東洋工業広報誌「マツダニュース」1960年1月号掲載「フランキー堺と萬代屋ロンパー他マツダ車ブリキ玩具多数の写真」
フランキー堺(1929年2月13日-1996年6月10日)と萬代屋製マツダ車群の珍しい写真。フランキーさんの右手にはレアな丸ハンドル三輪HBR、左手にはD1100、向かって右下の芝生上にもグレイのD1100が写っています。K360を持っている右側の女性も見覚えがあるような気もしますが高名な女優さんでしたでしょうか。





●東洋工業「マツダニュース」1960年1月号掲載「大阪御堂筋のマツダ車」
撮影は1959年(昭和34年)の秋でしょうか。マツダK360が反対車線を含めて確認出来るだけで13台も写っているのに対しライバル「ミゼット」が1台も写っていないことから、自然な街の姿を写したものではなく、故意にマツダ車を沢山手配して作った写真のように思われます。






●1958年(昭和33年)4月発行 デビュー時の 「ロンパー」 カタログ3部作
表紙のカラーイラストを見ると今でも思わず「ダンボ!」と叫びそうになります。この時期のマツダのカタログには、頁数や内容は同じでカラー印刷版と印刷コストを抑えた白黒印刷版の2種が存在するものが多く、以下に御紹介するカタログはカラー版ですが白黒印刷版も存在します。

①1958年ロンパー1.75トン積 カタログ
強制空冷1400cc/42HP/車重1530kg (車両型式DHA17)。A4判/フルカラー12頁。


②1958年ロンパー1トン積 カタログ
強制空冷1105cc/32.5HP/車重1290kg (車両型式DMA81)。A4判/フルカラー12頁。


③1958年ロンパー ライトバン・ダブルキャブ・パネルバン・ステーキトラック専用カタログ
A4判/フルカラー12頁。



●ロンパーは発売から僅か11ヶ月後の1959年3月にボディデザインはそのままに同時期のマツダ三輪トラックと同様に強制空冷エンジンを水冷エンジンに換装し、車名がロンパーからD1100/D1500に変更されています。ロンパー名称での生産/販売期間は1年弱と短期間でした。その後のDシリーズの車名は厳密にはロンパーではなかったものの、現在では一般に親しみやすいロンパーの車名で呼ばれる場合も多いようです。

●1959年マツダD1100 カタログ
1トン積/水冷1139cc/46ps/車重1375kg(車両型式DTA81)。A4判/フルカラー12頁。


これも初期のD1100カタログ。フロントナンバーは発行年を示す1959。



●1960年マツダD1500道路兼用軌道モーターカー専用カタログ(車両型式DUA12S)
道路と軌道の両者を走行可能な特殊車両の非常に珍しいカタログ。路上走行から線路走行への切替えは踏切で行い、油圧でリフトさせ鉄輪とタイヤを交替させる作業は約1分で完了すると記載されています。
・・・・・もしこのロンパーに乗っている時にギャングの車に追われたとしても、1分以上相手を引き離していたならば、踏切で軌道走行に切り替えてレールの上をスイスイ逃げてギャングをギャフンと言わせることが出来る凄い車ということになります☆



鉄路を疾走


踏切で切換


牽引も可能


鉄路走行への切換操作解説


図面、軌道上での性能データ




【1958年 マツダロンパー DHA17型 実車主要スペック】 (1958 Mazda Romper Type.DHA17 Specification)
全長4680㎜・全幅1680㎜・全高1930㎜・ホイールベース2800㎜・車両重量1440kg・HB型強制空冷OHV 2気筒1400cc・最高出力42HP/3500rpm・最大トルク9.7kgm/2600rpm・変速機コラム4速MT(2~4速シンクロ)・電装系12v・乗車定員:3名・最小回転半径5500㎜・荷台長さ2945㎜・最高速度78km/h・販売価格68万円


【萬代屋(現バンダイ) 1/20スケール1958年マツダロンパー DHA17型 ブリキ製モデル玩具 主要データ】 (1/20scale 1958 Mazda Romper Type.DHA17 by Bandai Tinplate Toy KEY DATA)

・商品名: マツダロンパー(マツダD1100)
・萬代屋 製品番号(製品管理番号): 不明
・基本素材: ブリキ
・発売時期: 1959年(昭和34年)2月頃(ロンパー)、1959年(昭和34年)9月頃(D1100)
・販売価格: 都内200円・地方売価220円
・全長225mm (実車比:1/20.8スケール)
・全幅85mm (実車比:1/21.8スケール)
・全高90mm (実車比:1/21.4スケール)  
・ホイールベース128mm (実車比:1/22.1スケール)
・スケール表記: 1/20
・モデルとした実車年式: 1958~1959年式
・動力: 前輪フリクション
・箱のサイズ: 縦89×横225×厚さ91㎜
・バリエーション: 1958年ロンパー及び1959年D1100
・カラーバリエーション: 白灰・淡青・濃青・黄緑・赤 等
・シャシー再現: 軽微にあり
・特記事項: 実車同様にロンパーは生産期間が短かったため現存数は少な目。
・入手難易度: 10段階評価でレベル7程度
・2020年現在のアンティーク・トイ市場の推定評価額: 7~12万円程度 (箱付未使用ミントコンディションの場合)


●東京玩具商報1959年3月号 萬代屋 広告 (国立国会図書館の蔵書より複写)
業界紙にロンパーが初登場。新しい型の四輪トラックとして売価等の情報と併せて製品写真が掲載されています。右下の1958年型リンカーンコンチネンタルは前年に発売されていた製品。





●萬代屋「世界の自動車を集めましょう」カタログ1960年版に掲載されたD1100



●萬代屋 地方売価表 1959年10月1日現在


売価表上も既にロンパーではなく、D1100(ロンパー)220円と記載されています。




●萬代屋1/20スケール 1958年マツダロンパー 白灰
大き過ぎず、小さ過ぎない程良いサイズにロンパーを絶妙にスケールダウンしています。現在に至るまでロンパー/Dシリーズの立体造形物(模型・玩具等)はこの萬代屋製のみ。




















手前は大きさ比較用1/64スケールTLVマツダE2000清掃車




正確な室内プリント。ハンドルはブリキ製。






シャシー裏




●萬代屋1/20スケール 1959年マツダD1100 淡青
空冷から水冷エンジンに換装しフロントグリルも変えたD100。東洋工業の販促品としての製品利用もあったために、こうしたMCにも迅速に対応出来たと推察。


















左下に「縮尺1/20」の印字。


箱横には他の萬代屋製マツダ車「K360」と丸ハンドル三輪HBRの絵


ハンドル素材をブリキからプラ系に変更




●萬代屋1/20スケール 1959年マツダD1100 赤
D1100の色違い。実車ぽくないものの赤はレアカラー。
















●萬代屋1/20スケール 1958年マツダロンパーとD1100の比較
左:縦グリルのロンパー、右:縦横グリルのD1100。






●萬代屋1/20スケール 1958年ロンパー&1959年マツダD1100 集合!!










※マツダロンパー~Dシリーズの実車カタログについては2012年6月16日の「自動車カタログ棚から」シリーズ第9回記事をご参照ください。





★オマケ: 今日のビートルズ「Girl」 1965
言わずと知れたジョンの遺した名曲。