★1960年バンダイ マツダR360クーペ 可憐なクーペ ~ブリキ自動車コレクションから 046 | ポルシェ356Aカレラ

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古いミニカーやブリキの自動車といったアンティーク物を集めていると、たまに金山に当ることがあります☆
発掘体験で一番思い出深いのは国道20号沿いの長野県上諏訪駅前で大正期から営業していた老舗玩具店に1980年代半ばに行った折、店頭に古いモノが妙に多いため驚いていると、まだまだ2階の倉庫に古いモノがあると言うので2階の倉庫を見せて戴いたところ、観音クラウンのブリキや寺井商店の都電を始め1950年代~1960年代の玩具が文字通り山のようにあり、さすがに観音クラウンを発売当時の定価200円などでは売って貰えませんでしたが、1台3000円程度でクルマと鉄道系のブリキを幾つか、これはいいと思ったモノだけ買って帰ってきたことがあります。
ところが、間を開けて再度上諏訪に行ってみると倉庫はもぬけの殻となっていて、伺うと、何でも東京の業者さんがトラックで来て倉庫の中味丸ごと100万で持って行ったとのお話でした☆☆


閑話休題
今日は「ブリキ自動車コレクションから」シリーズ第46回記事として、萬代屋(現バンダイ)のマツダR360クーペ大小2種類をご紹介しますne☆☆☆


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★1960年(昭和35年)5月28日に発売された東洋工業(現マツダ)初の乗用車「マツダR360クーペ」は、4速マニュアル(KRBB型)30万円、2速オートマ(KRBC型)32万円という低価格と大人2人+子供2人乗車の2+2レイアウトとした小杉二郎氏(1915年~1981年)によるシンプルかつ美しいデザインにより爆発的に売れ、スバル360を抜き1960年の軽自動車販売シェア3分の2を占める大ヒットとなりました。
発売翌年の1961年(昭和36年)2月にスライド式だったサイドウインドウを三角窓と巻き上げ式に変更しツートンカラーと白タイヤにメッキパーツを増やしたデラックス・グレードを追加発売した後、1966年(昭和41年)まで生産/販売されました(身障者用車両は1969年まで生産)。
R360クーペの大きく湾曲したリアウインド周りのデザイン処理はマツダ車のアイデンティティとなり、1967年コスモスポーツ、1978年初代RX-7(SA)、2003年RX-8に受け継がれています。


●週刊「女性自身」1961年1月3日号 マツダR360クーペ 広告
1958年(昭和33年)より60年以上に亘り発行されている女性誌「女性自身」新年号に掲載された初期型クーペの広告。「欧州車のムードそのままのミニカー」との広告コピーに恥じない美しいデザイン。撮影場所は上高地?



●1960年5月28日マツダR360クーペ発売時の新聞広告



●1960年マツダR360クーペ販促用カード1 (縦57×横86㎜・両面1枚)
裏面が1960年のカレンダーとなった東洋工業発行の販促用カード。



●1960年マツダR360クーペ販促用カード2 (縦57×横86㎜・両面1枚)
これも裏面がカレンダーの販促用カード。純正カラー3色(マローンルージュ・サマーセットブルー・オパールグリーン)が並んでいます。バンダイの小サイズではこの純正カラー3色を忠実にモデル化しています。



●1960年 初期型実車カタログに掲載された純正色3種



●1960年マツダR360クーペ販促用カード3(縦107×横140㎜・両面1枚)
裏面にスペックが印字された葉書サイズの販促カード。初期のイメージカラーはマローンルージュ(海老茶)だったことが判ります。



●1960年マツダR360クーペ販促用カード4(縦107×横140㎜・両面1枚)
これも裏面にはスペックが印字されています。



●1960年夏 マツダR360クーペ暑中見舞い葉書
クーペが発売された年の夏に東洋工業が全国の販売会社に配布したと思われる葉書。



●1961年マツダR360クーペ販促用葉書1(縦105×横140㎜・両面1枚)
1961年2月に三角窓が付き、ツートンカラーのデラックスが追加された際の販促用葉書。



●1961年マツダR360クーペ販促用葉書2(縦105×横140㎜・両面1枚)
デラックス追加に伴い、従来型は「ニュータイプ・スタンダード」とされています。


●1961年マツダR360クーペ デラックス広報写真(縦119×横162㎜)
後方にK360等が確認できます。



●1961年?マツダR360クーペ スタンダード写真1(縦102×横152㎜)
雨上がりにクーペのウインドも汚れたまま撮影されていることから広報写真ではなく何らかの記録写真でしょうか。背後にK360、D1100等が写っています。



●1961年?マツダR360クーペ スタンダード写真2(縦102×横152㎜)
クーペは岡山ナンバー。背後にT1500?バキュームカーが写っています。



★マツダR360クーペの当時物玩具・模型
ブリキ製は萬代屋(バンダイ)の大小サイズと旭玩具製作所の3種、ミニカーはモデルペット13番と大盛屋ミクロペット7番の2種、プラモデルは大滝製作所が発売しています。その他にプラ製の駄玩具が数種類あり、メーカーの東洋工業がアンチモニー製モデル(煙草入れではなくライター)を出しています。その中から今回は萬代屋(バンダイ)の大小ブリキモデルをご紹介します。


【1960年マツダR360クーペ KRBB型 実車主要スペック】 (1960 Mazda R360 Coupe Type.KRBB/KABC Specification)
全長2980 mm・全幅1290 mm・全高1290 mm・ホイールベース1760 mm・車重380kg・駆動方式RR・強制空冷 V型2気筒OHV 4ストローク356 cc・最高出力16 ps/5300 rpm・最大トルク2.2 kgm/4000 rpm・最高速90km/h/・燃費32km/ℓ・販売価格MT30万円/AT32万円


【バンダイ 1/16(大サイズ1/12)スケール1960年(大サイズ1961年) マツダR360クーペ ブリキ製モデル玩具 主要データ】
(1/15&1/23scale 1960 Mazda R360 Coupe by Bandai Tin model Toy KEY DATA)

・商品名: マツダR360クーペ(大サイズ:マツダ大型クーペ)
・バンダイ製品番号(製品管理番号): フリクションNo.796・リモコンNo.851・大サイズ不明
・主要素材: ブリキ
・全長:小サイズ180㎜(実車比1/16.5)、大サイズ240㎜(実車比1/12.4)
・全幅:小サイズ82㎜(実車比1/15.7)、大サイズ108㎜(実車比1/11.9)
・ホイールベース:小サイズ105mm(実車比1/16.7)、大サイズ139㎜(実車比1/12.6)
・スケール表記: なし
・箱サイズ(小サイズフリクション):縦86㎜×横183×厚さ76mm
・動力:小サイズ/フリクション及び電動リモコン、大サイズ/フリクション
・ボディ塗色: 小サイズ/海老茶・青・薄緑・赤・水色・緑メタ等(全て単色)、大サイズ/空色クリーム・緑クリーム等(全てツートン)
・シャシー再現: 軽度にあり
・発売時期: 小サイズ/1960年(昭和35年)12月頃、大サイズ/1961年(昭和37年)9月頃
・販売価格: 小サイズ/地方150円(都内130円?)、大サイズ/全国330円(都内300円?)
・入手難易度: 小サイズ10段階評価でレベル4~5程度、大サイズはレベル10
・2019年現在のアンティーク・トイ市場での推定評価額: 6~9万円程度 (小サイズ、箱付未使用美品の場合。大サイズは箱付未使用美品なら70万円以上)


●東京玩具商報1961年1月号 萬代屋 広告(国立国会図書館の蔵書より複写:以下同)
マツダR360クーペ小サイズが地方売価150円の世界の自動車シリーズの1台として掲載されています。





●東京玩具商報1961年10月号 バンダイ 広告(同上)
社名が現在と同じバンダイに替わり、マツダR360クーペ大サイズが全国売価330円の「マツダ大型クーペ」として掲載されています・





●ニューデザイン1965年12月25日号 バンダイ大クーペ金型「コミックポリス」(同上)
財団法人輸出玩具登録協会発行「ニューデザイン」の通巻64号に掲載された謎の大クーペ。現物を見たことがないため未発売の可能性もありですが、全長24cmの大クーペの金型を流用しオープン化改造を施し電動ギミックを付けた製品。Dr.スランプの世界に登場しそうなキャラ車です。



●1964年バンダイ総合カタログに掲載されたプレイ・マップ付リモコンクーペ




●バンダイ1/16スケール1960年マツダR360クーペ 海老茶
実車カタログではマローンルージュと記載されている初期のイメージカラー










手前は大きさ比較用1/42スケール全長7センチのモデルペット




室内プリント


シャシー裏




●バンダイ1/16スケール1960年マツダR360クーペ 薄緑
実車カタログではオパールグリーンと記載されているカラー。








●バンダイ1/16スケール1960年マツダR360クーペ 緑メタリック
レアカラー。これは欧州で発見された個体で小傷もあって綺麗過ぎないことからリペイントではないと思われます。輸出向けのクーペには大抵付いている右フェンダー上のアンテナは付いていないながらも、この色は輸出専用色だったのかもしれません。








●バンダイ1/16スケール1961年マツダR360クーペ 海老茶
サイドウインド部分のみ三角窓付の1961年型に変更されています。1/16スケールの工場出荷時にはバンザイマークのタグと裏面に学校の時間割表を描き込める専用カラーカードが付けられています。






箱に封入されたカード


カード裏面




●バンダイ1/16スケール1961年マツダR360クーペ 青
実車カタログではサマーセットブルーと記載されているカラー。箱はこの赤箱タイプは少ないです。








●バンダイ1/16スケール1961年マツダR360クーペ 赤ハンドルリモコン プレイマップ付
都内800円と通常のリモコンより割高で販売されたビニール製プレイマップ付。プレイマップは広げると3m四方程度の道路が現われます。この個体は1978年(昭和53年)7月に都内で初めて発掘したバンダイのクーペで、1966年(昭和41年)あたりまでは売られていた製品であることから、発掘当時はたった12年前の製品だった計算となりますが(2020年現在で言えば2008年の玩具を発掘)、これを発掘した時、18歳の私はあまりの懐かしさに胸が震えたことを思い出します。前輪は左右前輪間の第3輪によって操舵するタイプです。








第3輪で操舵




●バンダイ1/16スケール1961年マツダR360クーペ 水色ハンドルリモコン
輸出用にも使われた英字箱。操舵は第3輪ではなく前輪自体が左右に動くタイプです。






前輪が左右に動きます。




●バンダイ1/12スケール 1961年マツダR360クーペデラックス 大サイズ 空色/クリーム
販売期間が短かったのか、滅多にアンティーク市場に現れない1/12スケールのデラックスをモチーフとした大サイズ。箱付はこれまで一度も見たことがありません。


手前は1/35スケール大盛屋フリクション7番














室内プリント


よく出来たホイルキャップ


シャシー裏面




●バンダイ1/12・1/16マツダR360クーペ 大集合!!












小サイズ2種:左1960年・右1961年






※マツダR360クーペの実車カタログについては、2012年9月28日の「自動車カタログ棚から」シリーズ第61回記事をご参照ください。





★オマケ(その1): 1/24国産名車Vol.89 1968年トヨペットクラウン ハードトップ
2020年2月4日号。1/24国産名車は保存に相当な場所を取るためVol.30あたりまでで定期購読を中止したのですが、その後も1960年代以前の車など気になった号だけ購入しています。最新号は3代目クラウンHTの初期型(税抜3703円)。このミニカーをウルトラマンタロウに登場したウルフ777仕様に改造してみたいと思う向きもいるはず。MS51前期は1/43でもキッドボックスENIFブランドから1台税抜12600円で白・青メタ・金メタ・赤メタの4色が発売になるようですが、コスパではこの大きくてドアも開く1/24国産名車が圧倒的に上です。








なかなか良いプロポーション


室内




★オマケ(その2): 1960年発売 10インチレコード「森山加代子ヒットパレード」
東芝音楽工業JPO1073。マツダクーペ好きなら外せないレコード。ジャケットにクーペが大写しされているのはこのレコードだけだろうと思います。裏面には収録された8曲の歌詞と共に「表紙協力:東洋工業株式会社」の印字があります。帯付は未見ですが、工場出荷時には紙帯が付いていたのかもしれません。


表紙協力として東洋工業が印字されています。




★オマケ(その3): 1960年 森山加代子「月のセニョリータ」
森山加代子さん(1940年3月23日~2019年3月6日)の唄を最後に。森山さんはジョン・レノンと同じ1940年生まれだったのですね☆