★1959年ダットサン スポーツカーS211 和工プラモデル ~ 自動車カタログ棚から 378 | ポルシェ356Aカレラ

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女心と秋の空と言いますが、昨日の夏のような暑さが嘘のような今日のTOKYO☆
ところで、東京の商業地の代表と言うと、やはり銀座でしょうか。新宿・渋谷・池袋に押されて一時はその地位が危うかった時期もあるという銀座ですが、高級ブランド店が軒を連ねることで今もそのステイタスを守り続けている印象があります。私自身は天賞堂の中古ショップ撤退以降は、銀座に足を向ける頻度が著しく減ってきています。


銀ぶら
本来の意味は以下の3つのうちのどれでしょう?

(1) 銀座でブランデーを呑むこと
(2) 銀座でブラジルコーヒーを飲むこと
(3) 銀座をぶらぶら歩くこと

正解は(3)ですよね。ジョン・レノンやアインシュタインも通った老舗喫茶カフェ・パウリスタは(2)を主張しているようですが明確な出典は確認されておらず、大正時代(1910年代)の文献から出典が確認できる(3)がやはり正しいようですyo
戦前には新宿をぶらぶら歩くことを「新ブラ」、心斎橋をぶらぶらすることを「心ぶら」といった銀ぶらを真似た言葉もあったようですが、何れも定着はしなかったようです☆☆

閑話休題
今日は久々に「自動車カタログ棚から」シリーズの記事です。現在のフェアレディのルーツと言える、1959年ダットサン スポーツカーをメインにご紹介しますne☆☆☆
 


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★日産自動車のスポーツカーのルーツは
日産自動車が戦前、1930年代に製造したダットサン・ロードスター/クーペにまで遡ることが出来ます。戦後、1952年(昭和27年)に発表され50台が製作されたダットサン スポーツDC-3型(2013年10月13日の本シリーズ第181回記事)は、未だデザイン的には戦前のロードスターに近いイメージを色濃く残したスポーツモデルでした。DC-3は製作された50台のうち半分が売れ残り、何と需要の見込めるセダンやトラックのボディに載せ替えて売られたと言われます。


★1957年 S210型(?)
1957年(昭和32年)11月1日、日産自動車は突如、日本橋三越屋上でダットサン スポーツをデビューさせます。これはB型860cc・25hpエンジンを積んだダットサン114型セダンのシャシーに軽量なポリエチレン製のスタイリッシュな2座ボディを載せた試作車両でした(車両型式不明: S210もしくは元シャシー型式114にスポーツの「S」を付けたS114?)。
後のS211以降のモデルとは、2人乗りのためにリアトランク部分が広いこと、フロントグリル、テールライト、ダッシュボードの意匠など大きく異なります。

●三栄書房モーターファン1958年1月号に掲載された1957年ダットサン スポーツのグラフ記事

ボディカラーは派手なピンク


テールライトの造形は縦長




860cc、僅か25hpのエンジン


ダッシュボード


解説・・・・・「特別注文に応じてこのスポーツカーを作ってファンの需要に応えている」旨が記されていますが、恐らく生産されたのは1台のみ。




★1959年 S211型
1958年(昭和33年)10月10日~20日に後楽園競輪場で開催された第5回東京モーターショー(当時の正式名称は「第5回全日本自動車ショウ」)で、前年11月のダットサンスポーツの2座を4座とし、エンジン/シャシーをダットサン1000(210型)ベースに換え、日東紡製の軽量なFRP(グラスファイバー強化プラスチック)ボディを載せ、細部をより熟成したダットサン スポーツカー1000(S211型)を展示します。
このS211型は、翌1959年(昭和34年)6月より遂に市販に移されます。しかし、当時の日本では庶民が自動車、しかもスポーツカーを所有することなど夢のまた夢の時代でした。極く少数のスポーツカー好きの富裕な日本人はS211よりも遥かに性能も品質も優れたジャガーXKシリーズやメルセデス190SL/300SL、ポルシェ356Aといった欧州製スポーツカーを購入したであろうことは想像に難くはありません。そのような状況の中でS211は僅か20台(18台とする説あり)のみが生産されます。ナンバー6005のカタログや広報用の個体は、その後、神奈川県会議員・金子駿介氏が購入されています(CARグラフィック誌1962年7月号「ニッサン特集」に金子氏のグラフ記事有)。フェンダーミラーはオリジナルでは右側(運転席側)のみ、日産から金子氏の手に渡った際に左側も追加されています。

【主要スペック】 1959年ダットサン スポーツカーS211型 (1959 Datsun 1000 Sports Car Typ.S211)
全長3985㎜・全幅1455㎜・全高1350㎜・ホイールベース2220㎜・車重810kg・FR・C型水冷直列4気筒OHV988cc・圧縮比7.0・最高出力34ps/4400rpm・最大トルク6.6kg-m/2400rpm・変速機4速フロア直接式MT・乗車定員4名・最小回転半径5000㎜・電装系12V・タイヤ5.20-14-4P・ガソリンタンク容量32.5ℓ・燃費14km/ℓ・最高速度115km/h・販売価格: 不明(調査中)


●最新自動車読本1960年11月号 表紙
多摩川グランドの巨人軍・宮本敏雄氏(エンディ宮本)とS211型。ナンバーはカタログ掲載車と同じ神(神奈川)5す6005。



●月刊自家用車1959年4月号 表紙
S211型は、これもカタログ掲載車と同ナンバー。上方向からのアングルで俯瞰した写真はカタログに掲載がなく貴重。この号の特集「女性ドライバー~科学的知識から下着まで」というのは女性ドライバーが稀有だった時代らしい今読むと妙に興味深い記事で、この月刊自家用車4月号の1冊だけでレポート記事が作れそうです。



●自動車ジュニア1961年9月号 表紙
S211型デビューから既に2年以上を経過しているにも関わらず、表紙写真に使われています。これもカタログ掲載車と同ナンバーです。撮影場所は明治神宮あたりでしょうか。






●1959年6月発行 ダットサン スポーツカーS211型 カタログ(縦21.5×横25.5cm・日本語・横4つ折8面)
配布された期間が短かく配布部数も少なかったのか(実車の生産も半年強で終了)、戦後の国産スポーツカーのカタログの中では入手が非常に難しいカタログの一つ。数が少ないと言われるスカイラインスポーツの本カタログよりも稀少で、入手難易度はいすゞベレット1600GTの最初期カタログと同程度でしょうか。もし、シミや折れ跡のない綺麗なコンディションのものが市場に出れば、2019年現在の評価額は25~30万円程度と推定。


【中面から】

ついに完成










FRPボデー


4人乗シート


センターメーターのダッシュパネル






ボンネットは前ヒンジの後ろ開き。




988cc・34psエンジン。






裏面: スペック・図面








裏面右下に1959年6月、恒陽社印刷の印字




★1960年 SPL212型
Fair Lady

S211型は1960年(昭和35年)1月に対米輸出専用の左ハンドル車SPL212型にMCされ、国内販売を終えます。SPL212型はエンジンをE型1189cc/48hpに換装し、ボディはFRPから量産のし易いスチール(金属)製に変更。生産台数288台。車両型式SPL212の「S」はスポーツ、「P」はパワーアップ版、「L」はレフト(=左)ハンドル、末尾の2はMC回数を示します。
SPL212型の特記事項として、当時の日産社長・川又克二氏(1905年3月1日-1986年3月29日)が渡米した折にブロードウェーで観て感銘を受けた「マイ・フェア・レディ」に因み、対米向けの車名として「Fair Lady」(当初の日本語表記はフェレディではなく、フェアレデーであったと言われる)と命名されたことがあります。この車名はSPL212のフロントフェンダー左右に「Fair Lady」のバッチ、セールスカタログには「Fair Lady」と印字されることとなります。現在まで続く車名「フェアレディ」の誕生です。


●1960年 ダットサン フェアレディSPL212型 カタログ(A4判・英文2つ折4面)
輸出用にかなりの部数が印刷・配布されたのか、国内向けのみだったS211型のカタログに比べると現存する数は遥かに多い印象です。








ダッシュボードは一新され、ドライバー正面に丸型2連メーターを配置


裏面: スペック・図面







●1960年 ダットサン フェアレディSPL212型 リーフレット(A4判・英文両面印刷1枚2面)
2つ折カタログよりこちらの方が市場では見かけずレアな印象。写真は2つ折カタログと同じ場所で撮影された別ショットが使われています。


裏面: スペック・図面




●1961年 SPL213型 Fair Lady
1960年(昭和35年)10月、エンジンをE型からE1型(1189cc/60hp)に換装。ダッシュボードのメーターパネル箇所を木目に変更。生産台数217台。翌1961年(昭和36年)10月の第8回東京モーターショーに新世代フェアレディ1500(国内向けSP310型・輸出向け左ハンドルSPL310型)がデビューし、翌1962年(昭和37年)10月から市販に移されるまでSPL213型の生産は継続。SPL212型・213型では新世代の乗用車「ブルーバード310型」の1200ccエンジンが載せられたものの、シャシーは旧弊な211型ベースのままで変更されていません。
なお、1952年のダットサン スポーツDC-3型からSPL213型までの車体デザインや設計は、オオタ自動車工業の創業者・太田祐雄氏(1886年-1956年)の長男・太田祐一氏(1913年-1998年)が手掛けています。


●1961年 ダットサン フェアレディSPL213型 カタログ(A4判・英文2つ折4面)
表紙は女性ばかり4人が乗車した美しいクリーム/ライトグリーンのツートン。








裏面: スペック・図面









★和工樹脂 1/25スケール 1959年ダットサン1000スポーツカーS211型 プラモデル
S211~SPL213型までの当時物唯一の立体模型。同じ和工のダットサン1000と共に日産のノベルティとしても使用されたとの説があります。オリジナルは和工樹脂(東京都練馬区南町4丁目6265)、その後、マルサン商店が販売したと言われますが、手元の個体はマルサンブランドが印刷された箱の各所に上から「WAKO」の商標を貼ってマルサン表記が隠されており、両社の関係は謎に包まれています。画像の個体は1980年代半ばの横浜ワンダーランドマーケットで入手したもので、残念ながら組立途中で一部色も塗られていますが、幸いにして欠品はないようです。

【和工樹脂 1/25スケール 1959年ダットサン1000スポーツカーS211型 プラモデル 主要データ】
・和工樹脂品番(製品管理番号): No.102
・発売時期: 1959年(昭和34年)~1961年(昭和36年)頃
・販売価格: 330円(全国統一価格)
・卸価格: 180円(三ツ星商店カタログに記載)
・ボディ成型色: 水色のみ?
・箱: 2種類?
・ボディサイズ: 全長157mm×全幅57mm
・箱サイズ: 縦96mm×横158mm×厚さ50mm
・入手難易度: 10段階評価で8~9程度
・2019年現在の市場価格: 20万円前後以上(未組立・美品の場合)









マルサン商標の上にWAKOシールが貼ってあります。








センターメーターやDATSUN1000のレタリングなど実車を正確に再現したダッシュパネル


組立説明書












不足部品依頼券の上部に和工樹脂の住所入りスタンプ



この箱が初版?(画像お借りしました)



まんだらけではマルサン商店版が税抜20万円で売られていました。



●三ツ星商店カタログ1961年版?の和工製品
和工は何故か和光と印字されています。日産オースチン、クラウンデラックス(RS21型)、ヒルマンミンクス、プリンススカイラインの卸値が何れも売価100円の7掛けの70円であるのに対して、日野ルノー4CV、ダットサン1000、ダットサン1000スポーツカーの3車は売値330円の5掛け前後の価格となっており、卸値は売値の6.5掛け~7掛けが標準だった玩具・模型業界にあって仕入れ価格の2倍で売れるという模型店にとって旨味のある商品だったのかもしれません。








★オマケ(その1): MAXICHAMPS 新製品1963年ポルシェ356Cカレラ2
税抜4800円。品番:940 062360(グリーン)・940 062361(パステルイエロー)。ミニチャンプス廉価版マキシチャンプスの新製品。TLVNのフェラーリより安いと思えば割安感有ですが、今月はマキシチャンプスでもポルシェの新製品が他に数種、本家ミニチャンプスでもポルシェ911系(主に991)が定価8000円前後で18種程も発売されており、全部買ったら20万円程度と大変なことになりそうなので356だけ入手。ミニチャンプス/マキシチャンプスの新製品だけに限ってもこのような金額ですので、他のメーカーも含めてポルシェのミニカーの新製品は1/87や1/64といった小スケールから1/12や1/18といった大スケールに至るまで全てを買っているといったミニチュア・ポルシェ・コレクターは恐らく殆ど存在しないだろうと思います。








★オマケ(その2): OKスター 1/40スケール程度 フォードGTシリーズ フォードムスタング&トリノ ダッシュカーセット
例によってリサ店ワンコイン入手。プラ製。全長約13cm。当時定価360円。室内造形なし。実車の年式からして1970年代前半の製品と思われます。製造国表記はなしですが、カッチリした出来から香港製などではなく日本製っぽい感じがします。70年代初頭のアメ車らしい伸びやかなフォルム。リアから金属棒を差し込んでボタンを押すとダッシュカーの商品名通りに勢いよく走ります。


フォードシリーズ4種










フロント周り。造形はまずまず。


リア周り




★オマケ(その3): 今日のビートルズ「I Want You (She's So Heavy)」 1969
50周年を迎えた名盤アビイ・ロードA面6曲目。ジョンのひたすら繰り返す歌のインパクトは凄いですne☆☆