★1963~1965年アサヒ玩具 クライスラーインペリアル ~ 玩具・模型カタログ棚から 015 | ポルシェ356Aカレラ

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★玩具・模型カタログ棚シリーズの第12回「1962年 旭玩具製作所カタログ」の記事でご紹介した通り、国産初のダイキャストミニカー「モデルペット」や1962年クライスラーインペリアルの金属玩具で有名なアサヒ玩具の歴史は古く、1931年(昭和6年)に「岸玩具」の名称で創業し、戦後1948年(昭和23年)に「株式会社 旭玩具製作所」、更に1963年(昭和38年)に「株式会社アサヒ玩具」と改称した。

今回は株式会社アサヒ玩具に社名変更された1963年からの3年間、1963年・1964年・1965年の年次製品カタログ3冊を駆け足でご紹介します。その年々の新製品の頁を中心に、例によって個人的な視点から抜粋してアップします。なお、コーギー、ソリド等のアサヒ玩具が輸入販売した製品については今回は全て割愛することにします。



●東京玩具商報 1963年2月号 表紙 「旭玩具1962年クライスラー・インペリアル」
玩具商報表紙

1963年2月15日発行・B5判。国立国会図書館の蔵書より。国会図書館に蔵書された年月日1963年(38年)2月21日のスタンプが表紙に押されている。雑誌タイトル下には「世界最高の超豪華車を・・・最高の技術で玩具化」の文字。この号の時点での社名はアサヒ玩具ではなく、まだ旭玩具製作所。国会図書館で東京玩具商報のバックナンバーを調べてみたところ、1963年6月号までは旭玩具製作所のクレジットで広告が載っているのが同年8月号よりアサヒ玩具に切り替わっているので、アサヒ玩具への社名変更は1963年7月頃と推察される。表紙はアサヒ玩具の代表作となった1962年クライスラー・インペリアル3台(黒、青メタ、薄茶)。黒、青、青メタ、赤はアンティーク・トイ市場で見かけるが、左側に写っている薄茶は全く見かけないので試作品のみのカラーかもしれない。現在、箱付ミントなら軽く7桁のプライスが付き、これを持っていれば一流のコレクターとも言われるインペリアルだが、アサヒ玩具のカタログでは1963年版から1967年版まで5年間もカタログに載り続けており、日本国内でもこれまでヤフオクなどには相当な台数が出品されている。現存しているモノがこのインペリアルより少ない製品は自動車ブリキ玩具に限っても他に沢山ある。それにも関わらず、人気が高く需要が多いが故に超高値(アメリカのプライスガイド本の記載はミント品で2万5000ドル≒270万円)を維持している印象があり、物凄くレアなモデルとも言えない。ちょうどトミカで言えば香港製のギャランGTOのような存在で、超高額覚悟であれば入手できる可能性は高い。1950年代末に萬代屋あかばこ「世界の自動車シリーズ」の製品化車種選定に当ってのスーパーバイザーをされていた朝田隆也氏から、1960年代後半(1967年頃)にアサヒ玩具を訪ねた際に高価で売れずに過剰在庫していたインペリアルが文字通り山積みされていて「お土産に何台でもお持ち帰りください」と言われたが大きくて持ち帰るのが大変なので貰わなかった旨のお話を伺ったことがある。私は平成の初め、1990年頃にJR中野駅北口の飲み屋街の中にあったアンティークショップ「ニコニコ精神病院」(本店・自由が丘)でこのインペリアルの黒を安価(1万円程度)で入手したが、どうしても欲しいと言われる方に譲ってしまい現在手元にはない。7桁以上の高額では、恐らくもう一生手にすることはないだろう。



●東京玩具商報1963年5月号 「旭玩具製作所 自動車玩具 見開き広告」
ニューモデルとして以下の6台が掲載されている。米車群は何れも傑作。インペリアルの1300円は現在の貨幣価値では10倍程度の1万円を軽く上回る高額玩具だったと思われる。

・1962年プリンス・スカイラインスポーツ (全長26cm・250円)
・1962年フォード・ランチワゴン (全長31cm・380円)
・1962年シボレー・インパラ4ドアHT (全長30cm・350円)
・1962年クライスラー・インペリアル (全長40cm・1300円)
・1963年トヨペット・クラウンデラックス (全長27cm・300円)
・1961年トヨペット・スポーツ (全長26cm・270円)
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●1965年 アサヒ玩具の企業情報
1965年10月「第4回 日本玩具国際見本市」出展企業一覧より。住所は東京都台東区蔵前2-7-2、社長は岸 淑浩氏。ATC(Asahi Toy Co.の略)のロゴの入った袋をかついだサンタクロースのマークが旭玩具製作所時代からのよく知られた商標。
企業情報




●1963年 旭玩具製作所 商品カタログ (A4判上質紙・日本語版・24頁+)
1962年末以前の発行?このカタログでは社名はまだ旭玩具製作所。アサヒの年次製品カタログは同じ表紙で日本語版と海外バイヤー向け英語版の2種類が発行されている。この年の表紙と裏表紙は一続きになっており、GMバス、MGA、151系こだま金型サンタフェ、ルノーフロリード、VWカルマンギア、フェラーリ250GT等が描かれている。
63表

裏表紙
63(1)裏面

旭玩具のあゆみ
63(2)旭玩具のあゆみ

モデルペット: 1番クラウンと5番ブルーバードがカタログ落ちし、16番スカイラインスポーツ・クーペと18番ベレルが追加された。
63(3)モデルペットその1
63(4)モデルペットその2

品番3597クライスラーインペリアル(全長40cm・価格空欄)・・・・旭玩具自らが「金属自動車モデル玩具史に残る名傑作品」と謳っていることに注意。旭玩具としても絶対の自信を持って発売した製品だったことが判る。
63(5)インペリアル価格無

品番3598シボレーインパラ(全長30cm・価格空欄)
63(6)インパラ絵・価格無

圧倒的人気のトヨタ車群・・・・・品番3601としてモーターショー展示車1961年トヨペット・スポーツ(全長26cm・270円)を追加
63(7)トヨタ車7台観音入り

トヨペット・スポーツ部分のアップ
63(8)トヨペットスポーツアップ

品番3602 いすゞTXダンプトラック (全長25cm・300円)
63(11)いすゞダンプ大

品番3595 プリンス・スカイラインスポーツ クーペ (全長26cm・250円)
63(9)スカイラインスポーツ

品番3594 フォード・ランチワゴン (全長31cm・380円)
63(10)フォードランチワゴン

上: 品番3604 GMバス(全長38cm・価格未記載)、下: 品番3603 GM特大ゴールデンバス (全長43.2cm・880円)
63(12)GMバス2種




●1964年 アサヒ玩具 商品カタログ (A4判上質紙・日本語版・32頁+)
1963年末以前の発行?表紙はクライスラー・インペリアル。アサヒ玩具に社名変更された後の最初のカタログ。米マテル社のモデルガン/ライフル類、後に増田屋が扱った英ロンスター社のダイキャスト製鉄道モデル、英コーギー、仏ソリッド、伊マーキュリー、米モノグラム、米AMTといったアサヒ玩具が輸入した海外製品も一通り掲載されており頁数が増えている。
64表紙

モデルペット・・・・2SAのマスターライン救急車、10STセドリック東京駅構内タクシー、12SPクラウン警視庁パトカー、20番1963年クラウン、504番エッソスタンド等を追加。
64(1)モデルペット1
64(2)モデルペット2

品番3597クライスラーインペリアルが1300円、品番3598シボレーインパラが350円と前年カタログでは空欄だった価格が記載され、インパラは製品写真となった。インペリアルは表紙には製品写真が載ったが何故かここでは実車カタログの絵のまま。
64(3)インペリアル価格入り
64(4)インパラ製品写真価格入り

トヨタ車玩具のラインナップに品番3618 1963年クラウンデラックスRS41 (全長27cm・300円)と品番3623 1963年クラウン警視庁パトカー(全長27cm・300円)を追加。
64(5)トヨタ車6台・観音絶版

2代目クラウンのノーマルと警視庁パトカーを加え、初代観音クラウンはカタログ落ちした。
64(6)クラウンノーマル・パト追加

品番3641 いすゞTXダンプトラック小サイズ(全長24cm・価格空欄)を追加。売れ筋商品はサイズ違いが発売される例が多く、このいすゞTXダンプも前年発売されたモデルの縮小版だがフロントグリルが異なり、この小サイズの方が年式は新しいようだ。
64(7)いすゞダンプ小サイズ

品番3625 国鉄こだまバス (全長21cm・100円)・・・・国鉄151系ビジネス特急こだまをバス化した珍妙なモデル。
64(8)こだまバス

品番3620 ホンダオートバイ大 (全長25cm・180円)、品番3616ホンダオートバイ小(全長20cm・110円)他
65(11)ホンダオートバイ2種他

電車各種・・・品番3622特大夢の超特急(全長55cm・600円)、品番3627ヨーロッパ超特急(全長82cm!・770円)、品番3626夢の超特急小(全長29cm・130円)等を追加。
64(9)鉄道物ヨーロッパ特急



●1965年 アサヒ玩具 商品カタログ (A4判上質紙・日本語版・36頁+)
1964年末以前の発行?頁数は更に増え分厚くなった。表紙はモデルペット20番の2代目クラウンデラックス(RS41)。
65表紙

モデルペット・・・・21番マスターライン、22番S4グロリア、24番コルト1000、25番410ブルーバード、103番ホンダオートバイ(1/28スケール)等を追加
65(1)モデルペットその1
65(2)モデルペットその2

品番6670 1964年フォード・サンダーバード2ドアHT(全長34.2cm・500円)、品番3666 1964年フォード・サンダーバード2ドアHT小(全長31.5cm・380円)、品番3667 1964年フォード・サンダーバードオープン(全長31.5cm・360円)が追加された。Tバードを微妙なサイズ違いで2種同時リリースした理由は謎。品番3597のクライスラー・インペリアルは1300円から1100円に値下げされた。インペリアルは翌1966年版カタログでは一気に770円まで値下げされており、高価過ぎて売れずに過剰在庫を抱えていたことを窺わせる。
65(3)インペTバードインパラ

2代目クラウンは前年のノーマルと警視庁パトカーに加えて、品番3650 1963年クラウン・ファイアーチーフ(全長26.5cm・300円)および品番3649 1963年クラウン救急車(全長26.5cm・300円)が加わった。2代目トヨエースはロングセラー商品。
65(4)クラウン3種+トヨエース

クラウン・ファイアーチーフのアップ
65(5)クラウン消防指令車

クラウン救急車のアップ
65(6)クラウン救急車

スバル360、マツダR360クーペ、縦目セドリックに加え、品番3187のこの時点で既に7年落ちの1958年ビュイック(全長35cm・730円)も連綿と販売。
65(7)58ビュイック他

品番3654 1962年シボレーインパラ元帥車 (全長30cm・350円)を追加・・・・・US.ARMY仕様だがカタログには「元帥車」と記載されている。
65(8)元帥車他クーペ等

品番3651、3652、3653、3610 ジープ4種
65(9)ジープ4種

品番3661 耕耘機 (全長18.1cm・価格空欄)
65(10)耕耘機

鉄道車輛各種
65(12)鉄道6種

品番3644 アメリカ超特急 (全長69.5cm・660円)が加わった。前年追加されたヨーロッパ超特急より一回り小さい双頭型(両運転台)タイプ。
65(13)アメリカ超特急他

鉄道セット物 各種
65(14)鉄道セット物各種

品番3660 超特急ひかり連結 (全長103cm!・1100円)・・・・珍しい中間車が付いた2両セット。連結すると全長1mを超える巨大な製品。箱絵のサンタの顔がちょっと怖い。
65(15)連結ひかり

旅客機4種・・・・ノースウエスト、AAに加えロングセラーの日航DC-7C、そして新製品として日航DC8(全長56cm・550円)が加わった。
65(16)旅客機日航2種他






★オマケ(その1): アサヒ玩具 1/18 スケール 1962年 プリンス・スカイラインスポーツ
今回ご紹介したカタログに掲載されているアサヒ玩具製品を幾つかオマケに掲載します。品番3595・全長26cm・当時定価:全国250円のスカライン・スポーツ。
スカイラインスポーツ(1)
スカイラインスポーツ(2)
スカイラインスポーツ(3)



★オマケ(その2): アサヒ玩具 1/17スケール 1963年 トヨペット・クラウン警視庁パトカー
品番3623・全長27cm・当時定価:全国300円。写真で構成されたボックスアート(箱絵)が味わい深い。フロントナンバーが東京の地区表記が入る前のものながら3輪を表す「6」となっているのはご愛嬌。パトカー、アンビュランス(救急車)、ファイアーチーフ(消防指令車)と3種類出されたアサヒ玩具2代目クラウンのバリエーションは箱付で現存しているものが意外に少ない。パトカーは国内向けのこの警視庁仕様以外に輸出向けのポリス(Police)、ポリツァイ(Polizei)、ポリティエ(Politie)仕様も造られている。品番3618のノーマル仕様については自動車カタログ棚シリーズ第102回記事のオマケをご参照ください。 
パトカー(1)
パトカー(2)
パトカー(3)



★オマケ(その3): アサヒ玩具 1/17スケール 1963年 トヨペット・クラウン・アンビュランス
品番3649・全長27cm・当時定価:全国300円。
救急車(1)
救急車(2)
救急車(3)



★オマケ(その4): アサヒ玩具 1/17スケール 1963年クラウン・ファイアーチーフ
品番3650・全長26.5cm・300円。
消防指令車(1)
消防指令車(2)
消防指令車(3)



★オマケ(その5): アサヒ玩具 1/36スケール 国鉄こだまバス 
品番3625・全長21cm全幅7cm・当時定価:全国100円。実物の全幅が大型車枠一杯の2500mmと仮定すれば、ちょうど1/36スケールくらい。前面にはスリーポインテッドスターが入ったベンツ風の珍妙なバスだが、「東京⇔大阪」「JNR」等のプリントや矢印型リアウインカー(後部灯火式方向指示器)が味わい深い。
こだまバス(1)
こだまバス(2)
こだまバス(3)