★1960年代 とみやま&トミー カタログ 東京モノレール ~ 玩具・模型カタログ棚から 006 | ポルシェ356Aカレラ

ポルシェ356Aカレラ

★20世紀の自動車カタログ、鉄道車輛カタログ、玩具・模型カタログ、ビートルズ、ショパン、ヴィンテージ・ポルシェ、草軽電鉄 etc



★2006年(平成18年)3月1日にトミーとタカラが合併して誕生した現在のタカラトミーのオフィシャルページには企業の生い立ち、歴史について以下のように記載されている。(抜粋)

(1)1924年(大正13年)2月2日、創業者富山栄市郎がトミー(現タカラトミー)の前身となる富山玩具製作所を創設。数多くの飛行機玩具を製作し、「飛行機の富山」の名声を業界に確立した。その後、玩具業界初となる流れ作業方式の工場の設立や玩具研究部門の設置など、次々と業界に先駆けた取り組みで事業の拡大を図った。また、玩具製造業者の地位の向上に向けて尽力し、玩具業界の近代化に大きく貢献した。

(2)戦後、フリクション玩具「B-29」は国内外で大ヒットし、大型玩具輸出の先鞭をつけた。1953年(昭和28年)には株式会社(三陽工業株式会社)として近代企業への道を歩き始め、1959年(昭和34年)には創業時からの悲願であった販売会社(富山商事株式会社)も設立した。このころ、玩具業界にも素材・技術革新の波が押し寄せ、金属からプラスチックへ、フリクション玩具から電動玩具へと大きな転換期を迎えた。一方、1955年(昭和30年)9月17日には、タカラの前身である佐藤ビニール工業所が設立された。

(3)1960年(昭和35年)トミーは、生産高の半分を輸出が占める状況下、いち早くニューヨーク、ヨーロッパに駐在員事務所を開設し直接進出を目指した。国内については東京、壬生に相次いで製造拠点を設置、また、業界に例を見ない開発センターを開設するなど、モノづくりに対して妥協を許さない体制を構築した。タカラはビニール加工技術を活かした1960年7月発売のヒット商品「ダッコちゃん」(販売はツクダ)が事業拡大の原動力となり、総合玩具メーカーへと発展していった。


★タカラトミーのホームページ上の企業概要に会社設立年月日は富山の製造会社であった山陽玩具製作所が株式会社となり山陽工業株式会社が発足した1953(昭和28)年1月17日と記載されているが、一方でトミー時代からの社長職を引き継いだ富山幹太郎氏のタカラトミー・ホームページ内の挨拶文には創業90周年を迎える旨の文章があり、玩具会社としての事実上の始まりは90年前の1924年(大正13年)の2月と認識されているようだ。


★今回ご紹介するカタログは何れも1960年代とみやま商事株式会社および株式会社トミーのもので1959年(昭和34年)発売のプラレール(当初の名称は「プラスチック汽車・レールセット」)は既に発売されていたものの、1970年(昭和45年)にトミカが発売される以前のもの。
資料によればトミーは1968年(昭和43年)に本社屋の火災があり、翌1969年(昭和44年)に現在のタカラトミーの本社が存在する東京都葛飾区立石に本社社屋の住所を移しており、現在の立石に本拠地を移してから既に45年の時を経ていることになるが、今回のカタログは全て立石に本社を置く前の時代のものということになる。


●現在、手元の玩具・模型カタログ棚にある1960年代のトミー関係のカタログは全部で4種類あり、その内の2つは表紙に「1963」と表記のある「とみやま商事」時代の判型の小さなもの。
この2つのカタログは表紙がよく似ており1963の印字も同じだが中頁は大幅に異なる。資料によれば1963年(昭和38年)3月に製造会社「山陽工業」から「トミー工業株式会社」となり、また同時に販売会社はとみやま商事から株式会社トミーに社名変更されているので、この2つのカタログは1962年(昭和37年)の後半ないし1963年の2月までに発行されたものと推察される。
残り2種の内の1つは大判でカラー頁も多く含まれる全20頁の株式会社トミーとなってからの1965年版カタログ、最後の1つはB5判と小さ目ながらも紙質が良く分厚い1968年版カタログである。
もとより4つのカタログの全ての頁を紹介することは困難なので、個人的に興味深い乗物模型・玩具を中心に抜粋してご紹介することといたします。




●1964年10月 トミー 東京モノレール (商品名: 羽田線モノレール) 広告
大手玩具店等で1960年代に無償配布または定価40円で売られていた、株式会社TOY・PRセンター発行の「よいこの太陽」(B5判・36頁)という雑誌の1964年10月号(東京オリンピック開催月の号)に掲載された広告。1964年(昭和39年)はタクシー初乗り100円、国鉄初乗り20円だった時代なので、当時定価1470円は現在の貨幣価値にすれば1万円以上の高額玩具だったのではないでしょうか。
太陽広告モノレール

この号は表紙もトミーの東京モノレール。この表紙の男性は1965年版トミーカタログの表紙にも登場するので、モデルさんでなく当時のトミー社員の方でしょうか。当時20代とすると現在70代位でお元気なのではないでしょうか。表紙の子供は当時4、5歳とすると現在50代半ばで私と同年代位と思われます。
太陽表紙モノレール




●1963年版 とみやま商事カタログ その1 (縦24×横12cm・12頁)
このカタログはプラモデルが中心の内容でプラレールその他が掲載されていない。
631表紙

中面から
最初の頁はクルマのプラモデル。2代目トヨエース1962年型、1959年にフルモデルチェンジする以前のいすゞTX梯子消防車、初代いすゞエルフ。初代エルフは近年タカラトミーの子会社トミーテックがトミカリミテッドヴィンテージ43で幾種類かのミニカーをリリースしていますが、これはリアルタイムに売られていたプラモデル。これらの自動車プラモは何れも完成品やジャンクでさえも現存するものが少なく未組立品にはまずお目にかかれない。市場価値は別としてレア度を考えると香港トミカのギャランGTOあたりの100分の1もモノは残っていないと思われます。

上からトヨエース450円、いすゞTX梯子消防車130円、いすゞエルフ60円
631中(1)3台

いすゞTX梯子消防車のアップ
631中(2)いすゞ消防

初代いすゞエルフのアップ
631中(3)エルフ60円

ゴーカート200円、インディアナポリス号200円
631中(4)ゴーカート、インディ

ブルドーザー、ダンプ各種(小松ブルドーザー80円他)
631中(5)ブルドーザー各種

ヘリコプターとモーターボート
631中(6)ヘリとボート

ボーイング727(100円)ほか飛行機各種
631中(7)ボーイング727他

USジープ200円、オントス戦車270円ほか
631中(8)ジープ他

裏表紙: 印字されている本社住所は台東区浅草駒形
631中(9)裏表紙浅草駒形




●1963年版 とみやま商事カタログ その2   (縦24×横12cm・24頁)
上掲のカタログには掲載のないプラレール、パチンコ、ロングセラーとなった製品スカイピンポン等盛り沢山の内容だが、こちらのカタログにはプラモデルが掲載されていないが頁数は2倍。両方のカタログが同時に配布されていたのかもしれない。
632表紙

中面から
ブルドーザー各種。左上のジャイアント ブルドーザーは2730円の超高額商品。
632中(1)ブルドーザー2730円

ミキサー車各種
632中(2)ミキサー各種

ダンプと飛行機各種
632中(3)ダンプとヒコーキ

プラレールの前身「プラスチック汽車レールセット
632中(4)プラ汽車セット

新幹線レールセット(A:1150円、B:700円)
632中(5)新幹線セット

往復電車840円
632中(6)往復電車840円

スペースパイロット(180円)
632中(7)スペースパイロット180円

ジャガーEタイプ新発売予告
632中(8)Eタイプ予告

オートトランスポート1980円、フォーミュラレーサー各種(100~390円)
632中(9)オートトランスポート他




●1965年版 株式会社トミー カタログ (縦26×横36.5cm・20頁)
コストがかかっていそうな超大判カタログ。各頁の間に小売店向けの各商品の註文書が綴じ込まれている。
65表紙

中面から
羽田線モノレール(1470円)
65中(1)羽田線モノレール

プラレール各種。商品名がプラスチック汽車レールセットからプラレールに変わった。
65中(2)プラレール各種

懐かしい赤とクリームの新幹線が走るプラレールセット各種
65中(3)プラレール赤い新幹線

結構高価なパチンコ各種(鉄人28号1000円、エイトマン大1320円、エイトマン小300円、鉄腕アトム1320円)
65中(4)パチンコ各種

飛行機各種
65中(5)飛行機各種

電動バイカウント全日空(1370円)は傑作。プロペラ回転と共にスケルトンの客室内の人も可動?
65中(6)バイカウント全日空

トヨエース他プラモデル各種
65中(7)トヨエース他プラモ

トヨエース・プラモデル(450円)のアップ。この完成品写真で見る限りフロントバンパーは元々付いていないようだ。
65中(8)トヨエースアップ

鉄人28号サイレンガン500円、自動車各種ほか
65中(9)Eタイプ他

女性ドライバーが乗ったフィアット600(電動500円)とジャガーEタイプ(電動680円/フリクション350円)は何れも傑作モデルだが他社製品に比べてあまり残っていない。
65中(10)フィアット600とEタイプ

大型車各種
65中(11)大型車各種

外国名車セット(500円)。インパラ、サンダーバード、フェアレーン、ファルコン・ピックアップのアメ車ばかり4台セット。スケール、材質共に不明。
65中(12)外国名車セット

9台の乗用車付オートキャリアは2500円と高額
65中(13)オートキャリア2500円9台付

ハンドルドライブ。この時点では価格が入っていないが1968年版では都内1580円と記載あり。
65中(14)ハンドルドライブ

ダンプ、ミキサー車各種
65中(15)ダンプミキサー他




1968年版 株式会社トミー カタログ (B5判・38頁)
上質紙を使ったコストがかかっていそうなカタログ。表紙にセールスガイドと印字がある通り、小売店向けの各商品の売り方のアドバイスが記載されたカタログ。
68表紙

中面から
プラレール
68中(1)プラレール1

68中(2)プラレール2

プラレール部品。車庫や駅など現在でも殆ど同じ形で売られているロングセラー。
68中(3)プラレール部品車庫

マイホームセット。1DK、2DK、3DKの3種あるのが興味深い。お人形遊び用。
68中(4)マイホームセット

マイホームセット部屋パーツ(ベッドルーム1200円、バスルーム1200円等)
68中(5)マイホームセット部品

ドライブカーセット
68中(6)ドライブカーセット

プラ製建設車各種。トミーは早くからプラスチックやハイゼックスといった当時の先進素材を使った製品が多かった。
68中(7)プラ建設車

ゴーゴーミニカー(各800円)。ロールス、VW、T型フォードの何れもプロポーションが悪い。
68中(8)ゴーゴーミニカー

宇宙探検車(都内1200円・全国1260円)。これはトミーのオリジナルデザインだろうか。
68中(9)宇宙探検車

サンダーバード・サイレンガン500円他
68中(10)右上サンダーバードガン他各種

ガソリンスタンド(都内800円)。ムスタング1台付だがスケール、材質共に不明。
68中(11)ガソリンスタンド





★オマケ(その1): とみやま商事 1/20スケール 1962年トヨエース プラモデル完成品
全長21cm。自動車カタログ棚シリーズ第188回記事記事「2代目トヨエース」のオマケにも掲載していますが、今回は少し詳細にアップしておきます。半世紀前のプラモデルとしては驚異的に出来が良いです。残念ながら私の手元にはこの完成品の姿でやってきたので、箱や組立説明書等がありません。このトヨエースの未組立品は非常に少なく、過去30年に私は一度しか見ていません。
トヨエース(1)
トヨエース(2)
トヨエース(3)
トヨエース(4)

キャブは実車同様にチルトしエンジンが現れる。
トヨエース(5)チルトキャブ



★オマケ(その2): 1964年 東京モノレール建設から開業まで
モノレール車両の製作・運行をした日立製作所制作のオフィシャル・フィルム。アルヴェーグ式東京モノレール100形がオリンピック開催約1ヵ月前の1964年9月17日に開業するまでを描いた映像。画質はイマイチながら当時のクルマも沢山登場して旧い乗り物好きには興味深い。少々長いので特に東京モノレールの生い立ちに興味がある人向け。開業当初の東京モノレールの運賃は、タクシー初乗り料金が100円だった時代に片道250円と現在の貨幣価値にすれば2000円位の高額運賃で乗車率は悪く順次値下げされた。




オマケ(その3): プラレールE7系新幹線セット紹介動画ほか
今回ご紹介したカタログの1960年代のトミーといえば何と言ってもプラレール。レールの規格は半世紀変わっていない。私も子供の頃にさんざん遊んだものですが、現在ではプラレールで育った大人のファンも大勢いるようです。