★1971年ミドリ 緑商会プラモデル カタログ大怪獣ギララ ~ 玩具・模型カタログ棚から 005 | ポルシェ356Aカレラ

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★往年の国産プラモデルメーカー「緑商会」(ミドリ)の歴史は古く、1913年(大正2年)に草野与一郎氏が模型飛行機商を始めたことに遡る。
創業時は中央区入船町であったが、太平洋戦争中は埼玉県与野町に疎開し、1961年(昭和36年)にプラモデルの製造を始めた頃には荒川区町屋に本社を移している。その後、1970年代後半までプラモデル・メーカーとして存続した。有名なKSNのアルファベットを中心に翼を広げたロゴマークは緑商会・草野氏の名前「く・さ・の」のアルファベットから採り図案化された。「緑商会」(ミドリ)の名称は草野という名字から連想される「緑色」ということではなく、単に草野氏が好きなカラーが緑だったためと言われる。
緑商会の1960年代後半以降の一部金型(キャラクターモデル系、オリジナルSF系、1/76戦車、1/40装甲車、1/28戦闘機等)は現在も株式会社童友社が所有し、近年、シービュー号、スティングレイ、ギララ、ビックモグラスなどがパッケージも含めてオリジナルを忠実に復刻する形で限定再販されている。 


★プラモデル・メーカーが発行する年次カタログは、模型店等で一般対象に売られる場合と玩具メーカーのカタログのように問屋や小売業者の業務用手持ち資料用に玩具見本市等にて非売品として配布される場合とがあり、その何れであってもプラモデル・メーカーの古い年代の製品カタログは市場に出ることが少なく入手は難しい。
前回ご紹介したコグレのカタログは実は手許にある唯一のコグレ・カタログで、今回ご紹介する1971年緑商会カタログも手元にある唯一の緑商会(ミドリ)のカタログ。更に古い1960年代前半のダイハツミゼットMP4や縦目のセドリックが発売されていた時期やスロットレーシング全盛期の緑商会の製品カタログを捜していますが、長年捜しても残念ながら見つけることが出来ません。その理由の一つは自動車のカタログなどと比べると元々の印刷部数や配布された数が桁違いに少ないためと思われます。



●1967年松竹映画「宇宙大怪獣ギララ」 劇場用ポスター
ミドリと言えばギララのプラモです。
ギララ正




1971年 緑商会 (ミドリ) プラスチックモデル カタログ (B5判・カラー印刷・表裏含め20頁)
フルカラーで基本的に製品を組み立てた後の完成品の写真が掲載され、冒頭のクラシックカーの一部については箱絵も掲載されています。価格と動力の種類(モーター・ゼンマイ等)も掲載されていますが、製品番号は記載されていません。この記事では便宜上、カタログ掲載順にシリーズ毎にナンバーを付しておきます。1971年版ですが、発行は1970年(昭和45年)末以前だったのかもしれません。

◎表紙
表紙


◎ 1~5頁: クラシックカーシリーズ
このカタログが発行された1971年(昭和46年)にはビンテージカーのコレクションでは世界最大級だったハラーズ・コレクションの一部が日本に持ち込まれて各地で公開されるなど、日本でも1960年代から1970年代前半にかけてクラシックカーが一種のブームともなっていた。戦前のクルマは国内プラモメーカー各社から競うように製品化されていた。ミニカーの世界でもマッチボックスのイエスターイヤーシリーズ(Yシリーズ)を始め各社から戦前の車がモデル化された時代でした。但し、60年代から70年代初めに小学生だった私は今井科学から350円で発売されていたホットロッド風の1/24スケールT型フォード以外は作ったことがなく、クラシックカーよりも新しいレーシングカーやスポーツカーにより魅かれたものでした。その頃、クラシックカーのプラモを作っている友人も見かけなかったので、このカタログに掲載されたクラシックカーを購入・製作した年齢層はかなり高かったように思います。

1/16スケール
1)1912年T型フォード (モーター付・電池別1200円)
(1)T型フォード

2)1904年ド・ディオン・ブートン (モーター付・電池別700円)
(2)ド・ディオン・ブートン

3)1904年ウーズレー (モーター・電池別700円)
(3)ウーズレー


1/24スケール
1)1930年ベントレー・ブロア (モーター・電池別600円)
(4)ベントレー

2)1931年アルファ・ロメオ・グランスポルト (モーター・電池別600円)
(5)アルファ

3)1910年チキチキバンバン(モーター付・電池別1200円)
ミドリ唯一のキャラ車と言える1/24チキチキバンバン
(6)チキチキバンバン


1/20スケール
1)1907年イターラ・ペチノ・パリジ (モーター・電池別700円)
(7)イターラ


1/28スケールシリーズ(ゼンマイ・各150円)
カタログの写真ではプラモデルではなく箱に完成品が入っているように見えますが、これもキットだったのでしょうか。
1)1909年オペル・クーペ
2)1911年ルノー2シーター
3)1911年T型フォード
4)1907年スタンレー
(8)完成品?


◎ 6・7頁: 自動車シリーズ
1/32スケール自動車(ゼンマイ付)
1) ジャガーEタイプ (150円)
2) フェラリー250GTO/LM (150円)
3) フォードGT (150円)
4) ニッサンR382 (100円)
5) ニュートヨタ7 (100円)
6) ニッサン・フェアレディZ (100円)
7) いすゞベレットMX1600  (100円)
8) トヨペット・コロナデラックス (100円)
9) スバル1000スーパーデラックス (100円)
10)いすゞベレット1500デラックス (100円)
11) ダットサン・サニー1000デラックス (100円)

ノンスケール自動車(1/43スケール以下・キャラメル箱入り・フリクション駆動・各50円)
駄菓子屋でも売られた廉価プラモ(画像右下)。
1) フォードGT
2) フェラリー250
3) フォードコブラ
4) アルファロメオ・カングーロ
(9)ジャガー他

コロナ、スバル1000、ベレット、サニーの4台は三共金型の再販モデル
(10)三共ほか



◎ 8頁: 競技用シリーズ (1/40スケール)
1)ゴールデンロッド (ゼンマイ付200円)
2)スピリット・オブ・アメリカ・ソニック―1 (モーター電池別300円)
(11)競技用


◎ 9頁: タンク/装甲車シリーズ
1/40スケール タンク (ゼンマイ付・各150円)
1)サラディンMK1
2)パンハルド
3)ホーネット
4)独Sd.kfz222偵察装甲車

1/76スケール タンク(キャラメル箱入り各50円)
1) 3号突撃砲戦車Assault Gun
2) タイガーⅡ
3) M-4シャーマンMK-1
4) T-54タンク
5) 4式中戦車
6) 4連装対空戦車 Anti-Aircraft Tank
7) M-48パットン
8) ヤクトパンサー
9) パンサーG
10)61式中戦車
11)スターリンⅢ
12)仏AMX-30
(12)タンク


◎ 10頁: ロボットシリーズ
1)ワンダーロボ (モーター付・電池別250円)
2)タイガーロボ (モーター付・電池別250円)
3)ミサイルロボット(モーター電池別100円)
4)ファイアーマン (ゼンマイ付200円)
5)スチールジャイアント (モーター電池別100円)
6)スターキングロボ (ゼンマイ付200円)
7)ブラック・サタン (モーター電池別100円)
8)宇宙大怪獣ギララ 小 (ゼンマイ付150円)
(13)ロボット

宇宙大怪獣ギララのアップ
(14)ギララアップ


◎ 11・12頁: 飛行機シリーズ
1/28スケール戦闘機 (モーター電池別 各800円)
1)零戦52型丙(三菱A6M5-C ゼケ)
2)隼キ‐43‐乙(中島キ‐43-2オスカー) 
3)飛燕(川崎キ‐61‐1トニー)
4)紫電改21型 (川崎NIK2-ジョージ) 
(15)戦闘機

1/288スケール旅客機 (飾り台付 各200円)
1)日航ボーイング747ジャンボ
2)パンナム ボーイング747ジャンボ
(16)ジャンボ他


◎ 13頁: ヨットシリーズ
1)スフィンクス (モーター電池別1000円)
2)シーガル (モーター電池別350円)
3)ネプチューン (モーター電池別1000円)
4)スポーツ・クルーザー (モーター電池別250円)
(17)ヨット


◎14・15頁: 潜水艇シリーズ
1) 大型シービュー号 (モーター電池別300円)
2) 小シービュー号 (ゴム動力150円)
3) ベビーシービュー号 (ゴム動力50円)
4) 大型スティングレー (モーター電池別300円)
5) 小スティングレー (ゴム動力150円)
6) ベビースティングレー (ゴム動力50円)
7) メカニカルフッシュ (ゴム動力150円)
8) タイガーフィッシュ (ゴム動力100円)
9) アストロボート  (ゴム動力100円)
10)ドルフィン (モーター電池別300円)
(18)潜水艇の1

(19)潜水艇の2

アストロボートのアップ
(20)アストロボートアップ


◎ 16頁: 艦船シリーズ
1)PT-707 (モーター付・電池別200円)
2)PT-104 (モーター付・電池別200円)
3)ブルーホーネット (モーター付・電池別200円)
4)銀河 (モーター付・電池別200円)
5)PT-73 (ゴム動力50円)
6)PT-8 (ゴム動力50円)
7)1/1000スケール 大和 (モーター電池別150円)
8)1/1000スケール 武蔵 (モーター電池別150円)
9)1/1000スケール ゴールデン大和 (モーター電池別400円)
(21)艦船


◎ 17・18頁: 空想科学シリーズ ・・・・・ヒット商品となったオリジナルデザインのSFメカ群はミドリのお家芸。
1)ウルトラモグラス(ゼネコン・モーター付1000円)
2)ビッグモグラス (モーター電池別500円)
3)ジュニアモグラス (ゼンマイ付200円)
4)キングモグラス (モーター電池別300円)
5)アトラス (モーター電池別500円)
6)ベビーバンガード (フリクション駆動50円)
7)ベビーエコー (フリクション駆動50円)
8)ベビービートル (フリクション駆動50円)
9)ベビーモグラス (フリクション駆動50円)
(22)SFその1

(23)SFその2


◎裏表紙: T型フォードのイラストと共に緑商会の荒川区町屋6丁目2番5号の住所と電話番号が印字されている。
(24)裏表紙



●1967年工作ガイドブック(1967年8月1日 科学教材社発行)に掲載された緑商会のSFメカ製品
今回紹介した1971年版カタログでは既に絶版となっているビートルⅡ世(大)、エコー7(大)も掲載されている。
工作ガイドブック





★オマケ(その1): 緑商会1/32スケール 1966年いすゞベレット1500デラックス
カタログ7頁に掲載されている三共の名作の緑商会からの再販品。この国産車シリーズはもし童友社に緑商会から引き継いだ金型があるのであれば再販を望みたいところ。
緑ベレット



★オマケ(その2): 緑商会 宇宙大怪獣ギララ(小)
これはオリジナルではなく童友社による近年の復刻版。モーターライズ電動の大サイズ・ギララは1971年の時点では既に絶版。今回の1971年版カタログにも掲載されているこの小サイズでもオリジナルは滅多に市場に出てこないレア品。
ギララプラモ



★オマケ(その3): 緑商会 アトミック アストロボート 
これもオリジナルではなく童友社による近年の復刻版。宇宙大怪獣ギララに登場する名メカで私は小学生の頃に作ったのでとても懐かしく、オリジナルに近い形の復刻版が安価で入手出来るのは有難いです。
アストロボートプラモ



★オマケ(その4): 1967年松竹映画「宇宙大怪獣ギララ」予告編
1967年(昭和42年)3月25日公開。二本松嘉瑞(1922年4月9日―)監督作品。カラー88分。松竹唯一の怪獣映画。出演:和崎俊哉・原田糸子・藤岡弘 他。




★オマケ(その5): 1968年 英国映画「チキ・チキ・バン・バン」(Chitty Chitty Bang Bang)より
最後に緑商会が1/24スケールでモデル化したチキチキバンバンの動画を一つ。1969年(昭和44年)7月19日 日本公開。カラー143分。この主題歌は誰もが知っていると思います。日本ではビートルズのアニメ「イエローサブマリン」と2本立てで上映され、私は小4の夏休みに映画館へ観に行ったのですが、空を飛ぶチキチキバンバンの映画は子供心にも面白かったのにイエローサブマリンは字幕が読めずどうにも退屈だった思い出があります。思えば私のビートルズとの出会いはチキチキバンバンと一緒に観たイエローサブマリンだったのですが、その時は絵が綺麗だなと思っただけで残念ながらビートルズにハマるのは更に数年後でした。