★1964年ダットサン ブルーバード2代目410醜いアヒルの子 ~ 自動車カタログ棚から 199 | ポルシェ356Aカレラ

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★前項の1959年(昭和34年)8月デビューの初代310ブルーバードは丸4年間に亘り約21万台という当時としては記録的な台数が生産・販売された後、1963年(昭和38年)9月21日、1964年型として2代目410系ブルーバードにフルモデルチェンジした。
2代目ブルーバードの最大の特徴はピニンファリーナに委託されたボディデザインで、日本的な竹垣根をイメージさせるフロントグリルとその左右に太いモールで囲まれたデュアル・ヘッドライト、ボディサイドをテールに向けて下降する太いプレスライン、太いCピラーとルーフを1周するライン、尻下がりのテールに付いた鍵型のテールライト等の個性的なディテールを持って登場した。ボディタイプは4ドアセダンとワゴンの2種で発売1年後に2ドアセダンが追加された。当初のエンジンは初代最終ブルーバード312型と基本的に同じ1000ccと1200cc(ジェネレーターのみ交流300wに変更)、車体構造は日産の市販型乗用車として初めてフル・モノコック(ユニットコンストラクションボディー=ボディ/フレーム一体構造)が採用された。初代ブルーバードに比べ全長で105㎜、ホイールベースは100㎜長くなり全高は一気に65㎜低められ、モノコック構造の恩恵で車重は10~30kg軽くなった。室内長は175㎜延長され、室内デザインも一新された。独立したフードに覆われた半円形速度計を中心とするシンプルなコンビネーションメーターは後にマイクロバス「エコー」を含む日産系商用車に多数流用される1960年代日産車の汎用デザインともなった。

★日産としては1965年(昭和40年)の自動車輸入自由化を目前に控え、日本車離れした西欧モードを身に纏って大幅に近代化した新型車として自信を持ってデビューさせた410ブルーバードであったのだが、少々押し出しの強い顔つきやテールに向かって下降する尻下がりのデザインが「醜いアヒルの子」とも揶揄されるなど不評を買い、1964年(昭和39年)9月にRT40系3代目トヨペット コロナがデビューするとブルーバードVSコロナのBC戦争にもあっさり敗北する結果となった。デザインが個性的過ぎて市場に受け入れらず歴代ブルーバードの中での失敗作とも評される410ブルーバードだが、それは同時代のコロナというライバルと比べた際の相対的な話であって生産台数自体は初代310系よりも遥かに多く1966年(昭和41年)3月3日には日本車の銘柄としてブルーバードが史上初めて累計50万台の生産記録を打ち立てている。発売から2年半が経過したその時点で2代目410系ブルーバードは既に初代310系ブルーバードの4年間に21万台という数字を凌ぐ約29万台を生産、初代310系からの累計輸出台数も10万台を超えていた。

【2代目ダットサン ブルーバード410系の変遷】
・1963年(昭和38年)9月18日 プレス発表
・1963年(昭和38年)9月21日 発売
・1964年(昭和39年)2月18日 1200LPG追加
・1964年(昭和39年)3月14日 クーラーをオプション設定
・1964年(昭和39年)3月23日 1200スポーツセダン追加「SS」(SUツインキャブ65ps)
・1964年(昭和39年)9月7日 マイナーチェンジ(フェイスリフト)
・1964年(昭和39年)9月9日 2ドアDX/Std追加(1200)
・1965年(昭和40年)1月14日 4ドアにリクライニングシートをオプション設定(デラックスとスポーツセダン)
・1965年(昭和40年)2月12日 2ドア・スポーツセダン追加
・1965年(昭和40年)5月14日 エンジンを100ccアップの1300ccに変更(型式411に変更:E1型エンジンをJ1型62psエンジンに換装)
・1965年(昭和40年)5月31日 1600スーパースポーツセダン「SSS」追加(R型90ps)
・1965年(昭和40年)10月21日 2ドアにリクライニングシートをオプション設定(デラックスとスポーツセダン)
・1966年(昭和41年)4月20日 マイナーチェンジ(尻下がりを修正)
・1966年(昭和41年)6月25日 ボルグワーナー・3速フルオートマチックを追加(デラックスとファンシーDX)
・1966年(昭和41年)10月6日 内装変更(ドア内貼り他)

※2代目ブルーバードもカタログ等メーカー発行印刷物の種類が膨大なため手許のカタログ棚にある2代目ブルーバードのカタログ(勿論全ては網羅出来ていません)の中から今回は1966年4月に最後の外装マイナーチェンジを受けて尻下がりを修正される以前のものを資料性の観点から表紙画像を中心に駆け足でご紹介することとします。最後のマイナーチェンジを受けた2代目最終型ブルーバードは別項にて御紹介する予定です。

※410ブルーバードのタクシー用LPG車のカタログについては本シリーズ第22回記事をご参照下さい。

【主要スペック】 1964年ダットサン・ブルーバード1200デラックス(型式DP410)1964 DATSUN Bluebird Typ410
全長3995mm・全幅1490㎜・全高1415㎜・ホイールベース2380㎜・車重915kg・FR・E1型水冷直列4気筒OHV1189cc・最高出力55ps/4800rpm・最大トルク8.8kg/3600rpm・変速機コラム3速MT(フルシンクロ)・乗車定員5名・電装系12V・最高速120km/h・東京渡し新車販売価格66万7000円(名古屋渡し67万円・大阪渡し67万7000円)


●1964年3月 ブルーバード雑誌広告 (A4サイズ・月刊女性と自動車1964年3月号より)
広告


●1963年11月 日産広報誌「ニッサングラフ1963年11月号」410ブルーバード特集 (B5判・20頁)
9月21日の高輪プリンスホテルでの内示会を皮切りに三越、白木屋等で行われた410発表会の様子や追浜工場での生産工程のグラフ、三浦朱門氏の試乗記事等収録
グラフ表紙
1963年10月10日~11月2日に行われた東京オリンピック前年度祭に提供された410聖火車
グラフ聖火


●1963年9月 ブルーバード リーフレット (A4判・表裏1枚)
63リーフレット


●1963年9月 ブルーバード 簡易カタログ (A4判・2つ折4面)
63簡易


●1963年9月 ブルーバード総合 本カタログ (縦25×横26.5cm・ケース入り20頁+)
アナログ・レコードのような体裁の紙帯付ジャケットの中に川又克二社長の挨拶で始まるカタログが入れられ、更にポストカード4枚、芥川也寸志作曲・ボニージャックス歌の410ブルーバード販促曲「世界の恋人」のソノシート、子供向け塗り絵8枚まで入った盛り沢山のカタログ。410の新車発表会で配布されたものかもしれない。
63ジャケット


●1963年9月 ブルーバード1200専用 本カタログ (縦25×横30cm・20頁)
63・1200
中頁から: 不評を買った尻下がりのテール 
63リア1200


●1963年9月 ブルーバード1000専用 本カタログ (A4判・8頁)
1000はスタンダードのみの設定で1200スタンダードと同様、外観上はバンパーオーバーライダーがなくシンプルなハブキャップを付けていた。
63・1000


●1963年9月 ブルーバード1200セパレートシート/オートクラッチ専用カタログ (A4判・8頁)
表紙の女性は当時18歳の鰐淵晴子さん(1945年4月22日-)。まだベンチシート/マニュアルが主流だった時代を示す専用カタログ。
63鰐淵


●1963年10月 第10回東京モーターショー日産乗用車総合パンフレット (A4判・2つ折4面)
表紙は輸出の日産の文字と410ブルーバード(裏面はセドリックスペシャル)
63モーターショー


●1964年3月 ブルーバード1200スポーツセダン(SS)専用カタログ (A4判・3つ折6面)
ツインキャブ65psのブルーバード初のスポーツグレード
64SSデビュー


●1964年9月 ブルーバード 簡易カタログ (A4判・2つ折4面)
マイナーチェンジ(フロントグリル変更)。1000cc45psがラインナップから消えた。
649簡易


●1964年9月 ブルーバード 準本カタログ (A4判・16頁+スペックシート1枚)
CG誌1963年11月号から転載された小林彰太郎氏のロードインプレッション入り。イラスト中心で構成されたカタログ。
649準本


●1964年9月 ブルーバード 本カタログ (縦25×横29.5cm・24頁+)
649本


●1964年9月 ブルーバード1200 2ドア専用カタログ (A4判・8頁)
最初のマイチェンとほぼ同時に2ドアセダンを追加
649・2ドア


●1964年9月 ブルーバード1200スポーツセダン(SS)専用カタログ (A4判・8頁)
649SS


●1965年2月 ブルーバード1200 2ドア・スポーツセダン(SS)専用カタログ  (A4判・8頁)
5月には1300に移行したため、3ヵ月間だけの短命カタログ
652SS2ドア


●1965年5月 ブルーバード1300 簡易カタログ (A4判・8頁)
エンジン排気量を100ccアップし1300(型式411)に変更
655簡易表紙
中頁から: パワーアップに伴いスポードメーターは140まkmまでだった表示を160kmまでに変更
655簡易メーター


●1965年5月 ブルーバード総合 本カタログ (縦22.5×横30cm・24頁)
655本


●1965年5月 ブルーバード・ファンシーデラックス専用カタログ (A4判・3つ折6面)
655ファンシー


●1965年5月 ブルーバード1300 2ドアセダン専用 リーフレット (A4判・表裏1枚)
655リーフ2ドア


●1965年5月 ブルーバード1300 2ドアセダン専用カタログ (A4判・12頁)
リアシートに子供が3人乗っても、2ドアなら走行中に誤ってドアを開けて落ちることはないとアピールした表紙
655専用2ドア子供3人


●1965年5月 ブルーバード1600SSS・1300SS専用カタログ (縦30.5×横22.5cm・12頁)
ファレディ、シルビアと同じ1600cc90psR型エンジン搭載のスーパースポーツセダン(SSS)デビュー。後代まで続いた栄光のSSS最初のモデル。フロントグリル、リアエンド、CピラーにSSSエンブレムが付き、室内にはブルーバードに初めてタコメーターが付いた。
655SSS
中頁から: 180kmまでのスピードメーターと7000までのタコメーター、4速フロアシフトの運転席
655SSS室内


●1965年5月 ブルーバード1300エステートワゴン専用カタログ (A4判・8頁)
655ワゴン


●1965年10月 ブルーバード1300 簡易カタログ1 (B5判・4つ折8面)
2ドアデラックスとスポーツセダンにリクライニングシートのオプションを追加
6510簡易1


●1965年10月 ブルーバード1300 簡易カタログ2 (A4判・8頁)
6510簡易2


●1965年10月 ブルーバード総合 本カタログ (縦22.5×横30cm・24頁)
5月発行版の表紙右上にあった「新発売」の文字が消え、中頁の写真は半分以上が入れ替えられている。
6510本


●1965年10月 ブルーバード1300 2ドアセダン専用カタログ (縦22.5×横30cm・12頁)
3代目コロナには設定のなかった2ドアをブルーバードのウリにしたようで2ドア専用カタログの発行が多い。
6510専用2ドア


●1964年 ダットサン ブルーバード輸出向けカタログ (A4判・英文2つ折り4面)
左ハンドルの型式PL410
64英文


●1964年 ダットサン ステーションワゴン輸出向けカタログ (A4判・英文2つ折り4面)
左ハンドルの初期型410ワゴン(型式WPL410)だがカタログにブルーバードの印字は見当たらない。
64ワゴン英文


●1964年9月 ダットサン ブルーバード輸出向けカタログ (A4判・英文2つ折り4面)
マイチェン後の左ハンドル車(型式PL410)。表紙写真は国内向け右ハンドル車だがカタログ中面には左ハンドル車を掲載。
649英文


●1964年9月 ダットサン ステーションワゴン輸出向けカタログ (A4判・英文2つ折り4面)
マイチェン後の1200cc左ハンドル・ワゴン(型式はWP410のまま)
649ワゴン英文


●1965年5月 ダットサン ブルーバード輸出向けカタログ (A4判・英文8頁)
1300となった後の左ハンドルのセダンとワゴンのカタログ(型式PL411/WPL411)
655英文セダンワゴン


●1965年5月 ダットサン1300スポーツセダン輸出向けカタログ (縦20×横26.5cm・英文2つ折り4面)
オーストラリア輸出向けSS(型式P411-U-MTK)のカタログ。
655英文SS


★★以上、駆け足で手許のカタログ棚から前期・中期までの2代目ブルーバードのカタログをご紹介しましたが、2代目ブルーバードはメキシコや台湾でも現地生産されており、それらを含めると発行されたカタログはまだまだ膨大な種類が存在すると思われます。



★オマケ(その1): バンダイ1/18スケール 1964年ブルーバード1200デラックス
当時定価:都内200円・全国220円。全長22cm。フリクション駆動。1200デラックスの本カタログ表紙と同じこのカラーのモデルを出したのはバンダイのみ。
バンダイ(1)
バンダイ(2)
バンダイ(3)


★オマケ(その2): バンダイ1/18スケール 1965年ブルーバード1300デラックス
当時定価:都内600円・全国630円(リモコン)。全長22cm。これは1964年9月のマイチェン後の1965年式モデル。バンダイはフリクション、ハンドルリモコン、電動走行ライト点灯タイプと3種類をリリース。フリクションとリモコンには64年式と65年式両方があり、電動走行タイプ(画像の青メタのモデル)は65年式のみ。リモコン仕様はテールライトが右左折時に実車さながらに点滅するギミック付。
バンダイⅡ(1)
バンダイⅡ(2)
1965年式モデルとなっても箱絵は初版の1964年1200デラックスのまま売られていた。
バンダイⅡ(3)


★オマケ(その3): バンダイ1/22スケール 1965年ブルーバード2ドアセダン
当時定価:都内500円・全国530円。全長18cm。ヒットしたポケットリモコン・シリーズの一品。末期はホイールがプラ製に替わっている。
バンダイ小(1)
リアナンバーの文字が3台全て異なるバリエーション
バンダイ小(2)
バンダイ小(3)


★オマケ(その4): アサヒ玩具1/18スケール 1965年ブルーバード
当時定価:都内200円・全国220円。アサヒ玩具品番3679。全長22cm。フリクション駆動。グリル・パターンは最初のマイチェン後の1965年式なのだがフロントグリル中央のDTASUN文字の入ったエンブレムは1964年式の丸型が付いている。最後の外装マイチェン後の1966年式も発売された(別項でご紹介予定)。
アサヒ(1)
アサヒ(2)
アサヒ(3)


★オマケ(その5): イチコー(一宏工業) 1/16スケール 1964年ブルーバード1200デラックス
当時定価:都内300円・地方最低小売330円。イチコー品番3464。全長25cm。フリクション駆動。イチコー製はドアノブやサイドマーカーランプも別パーツが奢られ出来は良い。後に1965年式を飛ばして最終の1966年式モデルも発売された(別項でご紹介予定)。
イチコー(1)
イチコー(2)
イチコー(3)


★オマケ(その6): 大盛屋チェリカフェニックス32番/米澤ダイヤペット126番 1/40スケール 1964年・1965年ブルーバード
当時定価350円。アンチモニー製。全長10cm。大盛屋は1964年初期型と最初のマイチェン後の1965年中期型をリリースし、1965年中期型の方は大盛屋の金型を引き継いだ米澤玩具よりダイヤペット126番の1stモデルとしても発売された(画像の青メタはダイヤペット版)。全幅が実車以上に幅広感のある大盛屋的なデフォルメ。保育社カラーブックス中島登著「日本のミニカー」によれば発売時期は大盛屋の1stが1964年4月、ダイヤペットの1stが1965年8月。
大盛屋(1)
大盛屋(2)
大盛屋(3)


★オマケ(その7): モデルペット25番 1/42スケール 1965年ブルーバード
当時定価350円。ダイキャスト製。全長9.5cm。ボンネット開閉アクション付。残念ながらヘッドライトが大き過ぎて顔のバランスを崩している。他に当時物としては日東科学の1/24スケール・プラモデル(1980年代にマスターで再販)や米澤玩具の小ぶりのTINモデルや小スケール・スロットカーなど多数あり。
モデルペット(1)
モデルペット(2)
モデルペット(3)


●今年も残り少なくなってきました。師走は何かと忙しく自動車カタログ棚記事の更新が9日も開いてしまいました。2代目ブルーバードの記事を作り始めてみたもののカタログもオマケも(笑)数が多く整理に予想外の時間もかかってしまいました。手許のカタログ棚にある2代目ブルーバードのカタログを1回の記事ではとても載せきれませんでしたので、出来れば年末までに当面の目標としてきた200回目記事として続編(2代目ブルーバード最終型)をアップしたいと思っています。