★1959年ダットサン ブルーバード初代310ブル 吉永小百合 ~ 自動車カタログ棚から 198 | ポルシェ356Aカレラ

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★ダットサンと言えば戦前から日本では小型車の代名詞であった。
戦後のダットサン乗用車については、本シリーズ第109回記事のデラックスセダン/スリフトおよび第110回記事110型セダンなどを既にご紹介したが、その後、1959年(昭和34年)8月のフルモデルチェンジに際してダットサンに初めて「ブルーバード」のペットネームが付けられた。車名の由来は言うまでもなくメーテルリンク作のチルチルとミチルの「青い鳥」で、幸福を呼ぶ青い鳥のような車となることを願って命名された。ブルーバードは初代誕生以来、12世代に亘り2012年12月のモデルチェンジでシルフィからブルーバードのサブネームが消えるまで実に53年余りに亘り親しまれた日本の小型乗用車のビッグネームであった。1960年代から1970年代にかけての俗にBC戦争と言われたトヨタのコロナとの販売合戦は有名だが、1990年代までは特に地方都市ではタクシーでも広く使われたこともあり日本人には馴染み深い車種であり、ブルーバードの変遷は広く日本人のノスタルジーを呼び起こすものであろう。私自身は幸いギリギリ初代ブルーバードからリアルタイムの記憶があり、とりわけ初代310系と2代目410系については幼少期の強烈なノスタルジーを呼び起こす車種となっている。

★初代310系ブルーバードは1959年(昭和34年)8月1日に発売され発売翌月には8000台のバックオーダーを抱えるという大ヒット車となり、モータリゼーションが飛躍的に進み始めた1960年代初頭の日本における代表的な小型乗用車となった。初代ブルーバードは同時期のトヨタのコロナ(初代末期および2代目)を遥かに凌ぐ台数が生産・販売され(年産5万台以上)、俗に言うBC戦争の最初の覇者となった。
初代ブルーバードは日産オリジナルの乗用車として初めて前輪独立サスペンションを備え、オーソドックスな3ボックスセダンながらシンプルで飽きのこないボディを身に纏って登場した。デザインは1955年発売の110系ダットサンや後にトヨタスポーツ800の原型を手掛けたことでも知られる当時日産自動車造形課長のポストにあった佐藤章蔵氏によるもの。初期型の小さなテールライトは「柿の種」の愛称で広く親しまれた。
ボディタイプは当初は4ドアセダンのみで発売翌年の1960年(昭和35年)7月に国産初の5ナンバー「エステート・ワゴン」が追加された。グレード構成は1000ccのスタンダードと1200ccのスタンダードおよびデラックス。また1961年(昭和36年)2月にはデラックス・ベースの日本初の女性専用グレード「ファンシーデラックス」が追加された。乗車定員は発売当初4名だったが、発売2ヵ月後の1959年(昭和34年)10月に後部座席寸法を若干拡げ3人掛けとし定員5名となった。エンジンは従来のダットサン211型セダンから継承した1000ccの「C1型」(OHV 988cc34ps)を基本に海外市場におけるVWビートルとの競合を考慮しストロークを拡大し1189cc(43ps)とした1200cc「E1型」が設定された。何れのエンジンも当時の日産が技術提携していた英国BMC社製オースチンB系エンジンをベースとしたストローク変更のバリエーションであった。両エンジンともデビュー翌年の1960年秋には大幅にパワーアップされた。初代310系ブルーバードは1960年代前半の日本のモータリゼーションの急速な進展と歩を合わせ日産のドル箱車種として丸4年に亘り生産・販売され、1963年(昭和38年)9月にピニンファリーナ・デザインの2代目410系ブルーバードにバトンを渡した。

※ブルーバードは発行されたカタログの種類が膨大なため今回は手許のカタログ棚にある初代ブルーバードのカタログ(勿論全ては網羅出来ていません)の中から資料性の観点から表紙画像を中心に駆け足でご紹介することとします。

【主要スペック】 1959年ダットサン・ブルーバード1200デラックス(型式DP310)1959 DATSUN Bluebird Typ310
全長3910mm・全幅1496㎜・全高1480㎜・ホイールベース2280㎜・車重870kg・FR・E1型水冷直列4気筒OHV1189cc・最高出力43ps/4800rpm・最大トルク8.4kg/2400rpm・変速機コラム3速MT(2・3速のみシンクロ)・乗車定員4名・電装系12V・最高速115km/h・新車販売価格76万9000円


●1963年日産自動車カレンダーより「初代最終型ブルーバード・ファンシーデラックスと吉永小百合さん」 (縦50×横37cm)
1962年11月には印刷を終えている思われるので、この写真の撮影時点で1945年3月生まれの吉永さんは17歳。映画『キューポラのある街』により史上最年少でブルーリボン賞主演女優賞をとった頃。
吉永


●1963年日産自動車カレンダーより「初代最終型ブルーバード1200デラックスと若尾文子さん」(縦50×横37cm)
この写真の撮影時点で1933年11月生まれの若尾さんは28もしくは29歳。
若尾


●1963年日産自動車カレンダーより「初代最終型ブルーバード1200デラックスと五月みどりさん」(縦50×横37cm)
この写真の撮影時点で1939年10月生まれの五月さんは22もしくは23歳。
五月


●1959年8月 ブルーバード1000 簡易カタログ(縦20×横21.5・4つ折8面)
59簡易(1)


●1959年8月 ブルーバード1000簡易カタログ2 (縦21.5×横22cm・5つ折10面)
左下の青ボディのテールライトが通称「柿の種」
59簡易(2)


●1959年8月 ブルーバード1000 英文簡易カタログ(縦21.5×横22cm・5つ折10面)
日本語版と表紙はほぼ同じだが中面は全く異なるカタログ。英文だが右ハンドル。NISSAN FOREIGN TRADE DIVISION発行。
59簡易(英文)


●1959年8月 ブルーバード1200 スタンダード本カタログ (A4判・16頁)
最初1200std


●1959年10月 ブルーバード リーフレット(A4判・両面1枚)
後席を若干拡げ定員を4名から5名に変更
5910川辺


●1959年10月 ブルーバード1200デラックス 本カタログ (A4判・8頁+写真シート1枚)
5910DX


●1959年10月 ブルーバード1200スタンダード 本カタログ (A4判・16頁)
8月版と比べると表紙右上に’60と5PASSENGERSの印字が加わった。
5910(1200)


●1959年10月 ブルーバード1000 本カタログ (A4判・16頁)
表紙右上に’60と5PASSENGERSの印字が加わった。
5910(1000)


●1960年 ブルーバード 英文簡易カタログ (A4判・2つ折4面)
60英文2折


●1960年7月 ブルーバード 英文 本カタログ (A4判・カード式4枚+)
前期の豪華な英文カタログ。新たに加わったエステートワゴン入り。
60英文本カード式


●1960年10月 ブルーバード 英文リーフレット (A4判・両面1枚)
60英文リーフ海


●1960年10月 ブルーバード 英文カタログ (A4判・2つ折)
60英寺表紙
中頁の非常に魅力的なビジュアル。当時、輸出向けカタログに和装の女性は定番だった。
60英寺中


●1960年10月 ブルーバード1200 本カタログ(A4判・20頁)
1200は43psから55ps、1000が34psから45psに大幅パワーアップし、車両型式は310から311に変更。ミッションが3速フルシンクロとなり、フロントグリルにはこの表紙写真の通り、「full SYNCHRO」の金のバッチが付いた。新たに加わったエステートワゴンも含むカタログ。
61(1200)


●1960年10月 ブルーバード1000 本カタログ(A4判・16頁)
45psにパワーアップ。1000もフルシンクロとなった。
61(1000)


●1961年2月 ブルーバード ファンシーデラックス 専用カタログ (A4判・3つ折6面)
外観上は角型フェンダーミラーと柔らかいツートンカラーが特徴の日本初の女性専用グレード。化粧品入れ兼用サンバイザー、ハンドバックケース、くず入れ、ハイヒール用スリッパ型アクセルペダル、コートハンガー、傘立て、着替え用後席四方カーテンの他、ウインカー作動時に可愛いオルゴール音が流れる装置付というのが面白い。アッパーミドルの奥様向けブル。どれ位売れたのかは不明だが、ブルーバードでは2代目410系に代わってもこのファンシーデラックスのグレードは継承された。カタログは表紙を開くとファンシーな香り付の栞がぶら下がっているというアイデア賞もののカタログ。
ファンシー表紙
表紙を開くと香り付きの栞(メモ用紙)
ファンシー栞


●1961年8月 ブルーバード リーフレット (A4判・両面1枚)
フロントグリルが変り、柿の種と言われた小さなテールライトも初代セドリック風の大きなものに変更された。室内意匠も変更。車両型式は311から312に変更。
62リーフ噴水


●1961年8月 ブルーバード 簡易カタログ (A4判・2つ折4面)
62簡易2折


●1961年8月 ブルーバード 英文カタログ(A4判・2つ折4面)
左ハンドルの型式PL312
62英文(クリーム)


●1961年8月 日産乗用車総合カタログ「技術の日産」 (A4判・2つ折4面)
表紙は1962年式ブルーバード1200ファンシーデラックス
62総合


●1961年8月 ブルーバード1200 本カタログ(A4判・20頁)
62(1200)


●1961年8月 ブルーバード1000 本カタログ(A4判・12頁)
1000も1200に準じて内外観を変更
62(1000)


●1961年12月? ブルーバード1200 本カタログ (A4判・20頁)
表紙は初代セドリックのイメージキャラクターも務めた鰐淵晴子さん(1945年4月22日-)
62鰐淵


●1962年4月 ブルーバード オートクラッチ専用カタログ (A4判・12頁+)
西独ザックス社との技術提携で生まれたチェンジレバーに手を触れると自動的にクラッチが切れギアを入れて手を放すと繋がる電磁クラッチ搭載車。2ペダルだがオートマと異なりチェンジレバーの操作は必要なシステム。クラッチペダルなしながらギア操作は必要という点で後年ポルシェが採用したスポルトマチックとも似ている。
62オートクラッチ


●1962年5月? ブルーバード1200 本カタログ (A4判・20頁)
62本2人
柿の種のままだったエステートワゴンのテールライトもセダン同様に大型化された。
62本2ワゴン


●1962年9月 ブルーバード 簡易カタログ (A4判・2つ折4面)
63簡易


●1962年9月 ブルーバード1200 本カタログ(A4判・20頁)
簡易カタログの表紙写真をトリミングした表紙
63本表紙


●1962年9月 ブルーバード 英文カタログ (A4判・2つ折4面)
国内向け本カタログの表紙写真のナンバープレートを1963に変更した表紙。輸出向けでは国内向けの出力55psが60psに引き上げられている。
63英文林


●1962年9月 ブルーバード1000 本カタログ (A4判・8頁)
63(1000)


●1963年 ブルーバード 英文カタログ (A4判・2つ折4面)
左ハンドルの型式PL312。全編ハワイで撮影された写真で構成されたカタログ。
63ハワイ



★オマケ(その1): 萬代屋(現バンダイ)1/18スケール 1960年ブルーバード310
当時定価:地方最低売価180円。全長22cm。1960年初頭頃発売。オーバーライダーが付いていないので1200デラックスではなく白タイヤ等のオプションを付けた仕様のモデル化(?)。サイドモールとフロント・エンブレム有無のバリエーションあり。柿の種の形のテールライトもよく表現されている。
バンダイ59(1)
通称「柿の種」と呼ばれたテールライト
バンダイ59(2)
バンダイ59(3)


★オマケ(その2): バンダイ 1/18スケール 1962年ブルーバード312
当時定価:全国売価220円。全長22cm。品番854。オマケ1のマイナーチェンジ製品。1961年10月発売。型式312となった1962年式の出来の良いモデル。萬代屋からバンダイに社名変更後の製品。
バンダイ62(1)
バンダイ62(2)
バンダイ62(3)


★オマケ(その3): バンダイ 1/18スケール 1962年ブルーバード・エステートワゴンWP312
当時定価:全国売価220円。全長22cm。オマケ2の金型を利用してワゴンとして発売した製品。
ワゴン62(1)
ワゴン62(2)
ワゴン62(3)


★オマケ(その4): 光球商会 1/19スケール 1960年ブルーバード310
当時定価:都内売価130円。全長20cm。光球商会がそれまで販売していたオースチンA50ケンブリッジの金型を修正して半ば無理矢理ブルーバードに仕立て上げた製品。1959年暮発売。市場に出た初代310ブルのモデルとしては最初の製品(?)。ノーマル以外に日本交通タクシー仕様も発売された。
光球(1)
光球(2)
光球(3)


★オマケ(その5): モデルペット5番・17番 1/42スケール 1960年・62年ブルーバード
当時定価:5番170円/17番200円。全長9cm。ダイキャスト製。5番の1960年型は1960年7月発売。17番の1962年ファンシーデラックスは1962年6月発売。荒削りながら、よく実車を再現したモデルペット初期の製品。右側と中央のツートンが5番、黄緑が17番。17番ではホイールが変わり室内も追加された。大盛屋フリクションシリーズ2番でもアンチモニー製の1/45ミニカーが1961年6月に発売された。
モデルペット(1)
モデルペット(2)
モデルペット(3)


★オマケ(その6): 三和模型 1/30スケール 1963年ブルーバード312 プラモデル
当時定価:不明。全長12.5cm。初代最終型のモデル。品番282。画像は輸出向け製品のため、箱や組立説明書の印字が英文。この最終型は大盛屋チェリカフェニックスシリーズ22番でも1/40スケールのアンチモニー製ミニカーが発売された。
サンワ


★オマケ(その7): 緑商会 1/60スケール程度 1960年ブルーバード310 プラモデル
当時定価:不明。トミカサイズのチープキット。駄玩として駄菓子屋で30円程度で売られたと思われる製品。同シリーズでは同時代の国産車が多数ラインナップされていた。
ミドリ