★1967年 マツダ・コスモスポーツ  宇宙からの贈り物  ~自動車カタログ棚から 062 | ポルシェ356Aカレラ

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マツダ・コスモスポーツ というと、1971年(昭和46年)4月から1年間に亘り放送された円谷プロの『帰ってきたウルトラマン』を思い出す。当時小学生だった私はコスモスポーツを街で見たことは一度もなく、MATカーとしてテレビ画面に登場する姿しか見ることはなかった。
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★1960年(昭和35年)10月、東洋工業(現マツダ)は西独NSU社とロータリーエンジンに関する技術提携交渉の仮契約調印を交した。当時、NSUはロータリーエンジンを考案したフェリックス・ヴァンケル博士(Dr. Felix Heinrich Wankel: 1902年8月13日-1988年10月9日)と1951年(昭和26年)から10年近く共同研究を続けていた。翌1961年(昭和36年)7月、NSUと東洋工業の契約は日本政府の正式許可を受け、東洋工業は本格的なロータリーエンジンの実用化へ向けての研究・試作に取り掛かった。軽量かつコンパクトで往復運動部分がなく滑らかな回転と静粛性に富んだロータリーエンジンは謂わば夢のエンジンであり、乗用車生産では後発メーカーであった東洋工業が文字通り社運を賭けたプロジェクトとなった。

マツダ・コスモスポーツ は、東洋工業が社運を賭けて開発したロータリーエンジン搭載の市販第1号車。エンジンの試作開始から丸6年の歳月が経っていた。1963年(昭和38年)の第10回東京モーターショーにまずエンジンのみが展示され、その年に会場で配布された東洋工業の総合カタログにはコスモスポーツのイラストが描かれていたものの実車の展示はされず、翌1964年(昭和39年)の東京モーターショーで初めてプロトタイプ車両が一般公開された。それから更に3年近くを経た1967年(昭和42年)5月30日、ロータリーエンジン搭載車としてはNSUスパイダーに次いで世界で2番目、2ローターエンジン搭載車としては世界初のコスモスポーツが発売された。小型軽量で高出力と電気モーターのような無類の滑らかさを誇る新たなパワーユニットを、その名のとおり宇宙からやって来た夢のようなデザインのボディに収めた2座スポーツカーであった。その未来的なデザインは当時東洋工業のデザイン部所属の小林平治氏によるものだった。僅か491cc×2の排気量ながら、性能的にはレシプロ2000cc級のスポーツカーと互角以上であった。

コスモスポーツは1968年(昭和43年)7月にマイナーチェンジ され、ホイールベースが150mm延ばされ、フロントグリルが拡大された。排気量はそのままで最高出力は110PSから128PSにアップ、最高速も185km/hから200km/hにアップし、トランスミッションは4速から5速へと変更された。タイヤも155HR15ラジアルが標準となり、クーラーもオプション設定された。販売価格は148万円から158万円に上げられた。月平均20台弱というスローペースながらも生産は続けられ、1972年(昭和47年)9月までに累計1176台が生産された。内訳は約1年程度の生産に終わった前期型(型式L10A)が340台、マイナーチェンジ後の後期型(型式L10B)が836台であった。

コスモスポーツのデビューから45年 に亘り累計200万台近いロータリー車を生産し、1991年には787Bでル・マン24時間で総合優勝するという偉業も達成したが、エコカー主流の時代の波に呑まれ今年2012年6月末でマツダがロータリー車RX-8の生産を休止したのは大変惜しまれる。

【主要スペック】 1967年マツダ・コスモスポーツ(型式L10A)
全長4140mm・全幅1595mm・全高1165mm・ホイールベース2200mm・車重940kg・491cc×2ロータリーエンジン・最高出力110ps/7000rpm・最大トルク13.3kgm/3500rpm・乗車定員2名・最高速185km/h・販売価格148万円

●1963年10月発行 第10回東京モーターショー配布用 東洋工業総合カタログより
市販から4年近く前のこの時点でコスモスポーツのデザインは既に完成していた。
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●月刊誌「模型とラジオ」1964年12月号表紙
この年の第11回東京モーターショーで初めて一般公開されたコスモスポーツの貴重なカラー写真(科学技術館前にて撮影)
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●1967年11月発行 コスモスポーツ 簡易カタログ(定形郵便サイズ・4つ折)
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※裏面スペック
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●1967年5月発行 コスモスポーツ 本カタログ(横21×縦25cm・24頁)
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※スペック掲載頁
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●1967年7月発行 コスモスポーツ英文カタログ(10インチレコード近似サイズ・16頁)
当時31歳になったばかりの横尾忠則氏(1936年6月27日-)による数々のイラストはサイケデリック・ムーブメントの1967年という時代の空気を秘めつつ、未来的なコスモスポーツの個性にピタリとハマっている。これは残念ながら1984年にカー&ドライバー誌が出した復刻版でオリジナルより一回り小さいもの。
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※中頁から
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※スペック掲載頁
$1959PORSCHE356Aのブログ-横尾スペック


●1968年7月発行 コスモスポーツ カタログ(B4サイズ・カード式6枚)
マイナーチェンジ後の後期型カタログは全編渋いモノクロながらカード式の豪華版
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※スペック掲載頁
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★オマケ(その1): 1968年マツダ・コスモスポーツ TVコマーシャル


★オマケ(その2): CG誌2代目編集長 熊倉重春氏による実車解説


★オマケ(その3): ダイヤペット166番 1/40スケール 1967年マツダ・コスモスポーツ
「帰ってきたウルトラマン」に登場のMATカー仕様は275番。当時、爆発的に売れたと言われる割には何故かあまり残っていない。
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275番(1)

275番(2)

275番(3)