★1913年に始まる1世紀にも及ぶ英車アストン・マーチン の歴史の中で最も有名なクルマは、何と言ってもショーン・コネリー(Sean Connery: 1930年8月25日～)が映画「007ゴールドフィンガー」「007サンダーボール作戦」でボンドカーとして乗った1964年のDB5だろう。機関銃・防弾装甲・戦闘機のような射出シート・回転式ナンバープレートなど度肝を抜く特殊装備満載のDB5は、1960年代、世界中の少年たちの憧れのキャラ車ナンバーワンだった。アストンのお膝元・英国CORGI製の200万台以上も売れたと言われるミニカーを始め日本でも青眞商店や今井科学などから夥しい種類のDB5ボンドカーのミニチュアが発売された。
●1964年 アストン・マーチンDB5 ボンドカー
★DB5は 1963年7月から1965年9月まで生産された後、1965年10月にDB6に進化した。DB6はDB5よりホイールベースが95mm長い2580mm、全長が50mm長い4620mmに伸び、外観上はフロントバンパーが2分割となり、テールリフト防止のためにボディ後端が僅かに跳ね上ったダック・テールとなった。また、DB6よりアストン・マーチンのオープンボディには「ヴォランテ(VOLANTE)」の名称が付けられた。
アストン・マーチンDB6は 同時代のスポーツカーの中で性能・居住性・少量生産による仕上げの良さで世界のトップレベルにあり、DOHCエンジンの信頼性も非常に高かった。唯一の問題は価格で、同じ英車のジャガーEタイプが英国内で1480ポンド(当時のレートで日本円約150万円)だった時代に、5084ポンド(同512万円)もした。現在の貨幣価値では、おおよそ10倍位になるだろう。DB6はEタイプを3台買ってもおつりがくるというプライスであった。
なお、DBというネームは戦後アストン・マーチンの経営者となった、デイヴィッド・ブラウン氏のイニシャルから取られたもの。
【主要スペック】 (1966年 アストン・マーチンDB6 ｳﾞｧﾝﾃｨｯｼﾞ）
全長4620mm・全幅1670mm・全高1360mm・ﾎｲｰﾙﾍﾞｰｽ2580mm・車両重量1474kg・水冷DOHC3995cc・最高出力325ps/5750rpm・最大トルク39.8kgm/3850rpm・5速MT・4座席・最高速250km/h・価格￡5084
★1960年代のアストン・マーチン はスーパースターの愛車となった。ポール・マッカートニーは、ビートルズの成功により弱冠22歳にしてDB5のオーナーとなり、1966年3月にはDB6に買い替えた。当時の恋人ジェーン・アッシャーとのデートカーにも使われたことだろう。何れのアストンも後年オークションに出されている。
●1967年サージェントペパー・レコーディングの頃のポールとDB6 (ボディカラーは渋いグリーン)
●DB6のオーナーもう1人、1965年サティスファクションの全米シングルチャート4週連続No.1ヒット後のミック・ジャガーとDB6 (ボディカラーは黒系色のようだ)
●1966年 アストン・マーチンDB6＆VOLANTE カタログ（英語版16頁）
表紙は文字のみの極めてシンプルなもの
※中頁から
※スペック掲載頁
★オマケ(その１）： 英国DINKY製 1/43スケール アストン・マーチンDB6
1960年代当時のミニカーは、ドアやボンネットがフル開閉する遊び心がとても嬉しい。
★オマケ(その２）： ビートルズ 「ドライヴ・マイ・カー」（Drive My Car)
録音日：1965年10月13日
収録： アルバム「ラバー・ソウル｣（Rubber Soul）アナログLP/A面1曲目
発売日：1966年3月15日(日本国内盤)・・・ちょうどポールがDB6を買った頃に発売
作詞作曲：Lennon/McCartney
●ビートルズ版
●ポール・ソロライブ版
【歌詞】
Asked a girl what she wanted to be
She said, "Baby, can't you see?
I wanna be famous, a star of the screen
But you can to something in between"
"Baby, you can drive my car
Yes, I'm gonna be a star
Baby, you can drive my car
And maybe I'll love you"
I told the girl that my prospects were good
And she said, "Baby, it's understood
Working for peanuts is all very fine
But I can show you a better time"
"Baby, you can drive my car
Yes, I'm gonna be a star
Baby, you can drive my car
And maybe I'll love you"
Beep, beep, beep, beep, yeah
I told that girl I could start right away
And she said, "Listen babe, I've got something to say
I got no car and it's breaking my heart
But I found a driver, and that's a start"
"Baby, you can drive my car
Yes, I'm gonna be a star
Baby, you can drive my car
And maybe I'll love you"
Beep, beep, beep, beep, yeah ・・・・
【和訳】
ねえ 君は何になりたいんだいと彼女に聞いたら
[あら あなた わからない？
有名になりたいの 映画の大スターになるの
だけど それまでにあなたにも出来ることがあるわよ」
「あなたをあたしの運転手にしてあげる
そうよ あたしは大スターになるの
そしたら あなたを運転手に雇ってあげる
ついでに愛してあげてもいいわ」
僕の未来が開けてきたって彼女に話したら
「そんなの当たり前でしょ
一生懸命働くのも悪くはないけど
あたしがもっともっと楽にいい暮らしをさせてあげる」
「あなたをあたしの運転手にしてあげる
そうよ あたしは大スターになるの
そしたら あなたを運転手に雇ってあげる
そしてついでに愛してあげてもいいわ」
Beep, beep, beep, beep, yeah
じゃあ今から始めようかって話したら
「あっ、ちょっと待って ひとつ断わっておかなきゃ
残念ながら あたし まだ車を持ってないのよ
でも あなたという運転手が見つかったから上出来ね」
「あなたをあたしの運転手にしてあげる
そうよ あたしは大スターになるの
そしたら あなたを運転手に雇ってあげる
そしてついでに愛してあげてもいいわ」
Beep, beep, beep, beep, yeah