リー・バリー | ロンドンつれづれ

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スケート仲間の友人が、自分のホームリンクにおいで、おいでと前から言っていて、「遠いならウチに泊まって!」と熱心に言ってくれるので、ついに重い腰を上げて彼女のホームリンクへ行くことにした。
 
ロンドンの郊外の、リー・バリーというところである。
 
彼女は、途中の駅まで迎えに来てくれるというのである。「大丈夫、乗り換えの駅まで迎えに行くから」と実に優しいのである。
 
そして、夕飯は彼女のパートナーが、「ボク風の牛丼」を作ってくれるというではないか。 友人は30代後半だが、この彼とはもう3年以上付き合っており、こんどこそ長続きしそうな気の合っているカレシなのである。 穏やかでインテリな感じで、そしてハンサム。私も気に入っている。
 
彼女たちの住んでいるちょっとエッジーなエリアは、ロンドンオリンピック村の界隈で、バルコニーからはオリンピックに使用したジムや水泳施設などが見える。若い人がたくさん住んでいる、新たに開発されつつある区域である。
 
夕飯は、カレシがオンラインで取り寄せたという「ワギュウ」を牛丼風に作ったものをごちそうしてもらった。 良質の肉を使っているので、確かにおいしい。お米も、「魚沼産コシヒカリ」を「ゾウジルシ」のライスクッカーで炊いた、と色々説明があった。日本製の炊飯器や湯沸かし器をキッチンに備えているのである。
 
 
 
そう、彼らは二人とも大のジャパンファンである。彼女は日本にももう何度も旅行し、私の企画したアダルト用スケートキャンプにも2度ほど参加したのだ。昨年の冬は、カレシも一緒に訪日し、どこで何を食べてもおいしい!と感激したそうである。
 
 
 
さて、早めの牛丼の夕食を食べたら、彼女と二人でリー・バリーへ出かけた。イギリスのアイスダンサーでオリンピックに出場したというマリカというコーチのグループレッスンがあるというのだ。とても教え方がうまいから、ぜひ参加しろ、というのである。
 
 
リー・バリーはここ3年ほどかかって大掛かりな改修工事をしており、つい昨年の秋にリオープンしたばかりなのだ。その新しい施設を見るというのも、私の目的の一つだった。
 
なるほど、昔のシャビーな感じのリー・バリーはまったく刷新されて、実に近代的なスマートな建物が建っていた。リノベーションというよりは、まったく新しく立て直したのだな…。
 
 
 
 
日本ではアイスリンクの閉鎖が続くというのに。
 
フィギュアスケートがぼろくそに弱いイギリスでは、リンクが改修されたり、こうやって新たにダブルリンクの設備ができたりしている…羨ましい。これというのも、イギリスでは一般人が遊びでスケートをする率が、おそらく日本よりずーっと高いから維持ができるのだろう。
 
よく小中学校の生徒が先生に連れられて授業の一環として滑りに来ているし、リンクでは「高齢者の日」とか、「ディスエーブルの日」、「コスプレの日」などを設けて、プロモーションにも熱心だ。
 
 
こっちはパッチアイスの方。こちらには一般客は入ってこない。こちらで滑るにはある程度のレベルと、コーチの許可が必要。
 
 
 
 
下の写真はパブリック・セッションの(一般滑走)方のリンクだが、パッチアイスの方のサブリンク(選手やスケーターの練習用)も、全く同じオリンピックサイズである。サブだから小さい、ということはないのだ。素晴らしい!
 
そして一般滑走用のリンクにも、音かけのランスルー用の立派な設備が…。真新しくてピカピカしている。下が一般客用のリンク。
 
 
イギリスではこれだけ立派な設備があって、これだけ空いているのに、どうして立派な選手が育たないのであろうか。 アイスダンスのフィア・ギブソン組だって、カナダで練習をしている…。宝の持ち腐れというものだが、私たち大人スケーターにとっては、こんないい設備がこんなに空いている、というのは僥倖である。
 
マリカの授業は大変に面白く、そして役に立った。主にエッジワークをやったが、バックアウトで、足を前で交差させるクロスロールは難しかった…。バックインならなんとかできるのだが。
 
そして、生まれて初めて、ループが(ジャンプではなく、ステップシークエンスに入れる方)できたような気がする。いきなり片足ループではなく、まず両足でやって見せて練習させてくれ、理屈が一つ分かったような気がしたのだ。マリカ先生、友人の言うように、大変に教え方がうまい! やはりコーチは大切である。
 
 
私と同じころに練習を始めた友人は、やはり若いということもあるし、そして私よりもずーっと熱心に練習をするので、もうループジャンプも跳んでいるし、キャメルスピンなどもクルクル回るのだ。 彼女の熱意に引っ張られて私もいまだに練習を積んでいるようなものかもしれない。
 
 
リンクの外は、このように池があって草ぼうぼうである。
 
 
 
最近イギリスでは、生物の多様性を守るとか言って、特に市町村が雑草の草刈りをしないようになったので、街のあちこちに昔ながらの草ぼうぼうの野原が残されている。 なので、私の花粉症が再来しているのだが…。
 
だが、ミツバチや蝶が戻ってくることは良いことだ。
 
 
翌日の朝もまたリー・バリーに行って2時間。この日は、パッチアイスのリンクよりも一般滑走のリンクの方が空いていたので、そちらで滑った。 ジャンプをしても、スピンをしても、別に誰も注意しに来ないので、大変に自由である。
 
日本の一般滑走は、ジャンプ・スピン禁止、というところも結構あるので練習ができないが(それにちびっこスケーターが満載で激混みである)、イギリスのリンクはたいてい規則が緩い…。ヘルメットはもとより、手袋さえしていないが、誰も注意をしない。(逆走していても注意をしないのは困るが)
 
そういえばイギリスではプールでも、帽子着用が規則になっていないので、泳いでいると指の間に誰かの髪の毛が引っかかるので、大変に気持ち悪い。それで私はプールに行かなくなってしまった。なんか清潔感がないのである。
 
 
ともあれ、リー・バリーのリンクは氷の質も大変に良く、気に入ってしまった。しかし、なんにせよ、家から遠いのがネックだが…。 マリカ先生のグループレッスンは人数制限が6人で、ちょうど良いくらいのグループであり、45分で15ポンドと割安である。またぜひ参加したい、と思ったのである。
 
ところで、朝ごはんは友人のパートナーの作ったおいしいパンやグラノーラ(手作りですよ!)をいただいた。
 
友人もカレシのことが自慢でならない様子で、良かった。これまで長続きしないことが多く、愚痴も聞いていた私なので、今のパートナーと末永く続くといいなあ、とほほえましく思いながら帰ってきたのであった。なにしろ、友人は、稀に見る良い子なのである。ぜひ、幸せになってほしいのだ…。