5月20日、台湾の新総統、ライ・チントー氏のスピーチが行われ、「中国による軍事行動とグレーゾーンの脅迫は、世界の平和と安定に対する最大の戦略的挑戦とみなされている」と発言した。
日本政府は台湾とはオフィシャルな外交関係を持たず、中国の政府は北京のみという立場をとっているが、中国による台湾への武力侵攻があれば、台湾を支援するとも発信する政治家もいる。2023年には防衛省が台北に職員を常駐させたというニュースもある。
以下はライ氏のスピーチの要旨。日経新聞より。
1996年に選挙で選ばれた総統が就任し、台湾は主権独立国家だと世界に示した。初めて同一政党(民主進歩党)が3期続けて政権を担う。苦労して勝ち取った民主主義の勝利だ。
立法院(国会)はいずれの党も過半数に達していない。各政党は競争だけではなく協力の信念を持つべきだ。国の利益は政党の利益より優先される。
国際的に、台湾海峡の平和と安定は世界の繁栄にとって不可欠との共通認識がある。台湾は平和のかじ取り役だ。
傲慢にも卑屈にもならず、(中台関係の)現状を維持する。中国が言論や武力での威嚇を停止し、共に台湾海峡と地域の平和と安定の維持に尽力するよう求める。中台は互いに隷属しない。
中華民国(台湾)の存在を中国が直視し、台湾人の選択を尊重するよう望む。中国が民主的な選挙で選ばれた合法的な政府と対等の原則の下で、対話と交流を進めることを望む。
ただ中国に幻想を抱いてはいけない。中国は台湾に対する武力侵攻の可能性を放棄していない。中国の台湾併合の企てが消えることはない。
民主主義国家と平和の共同体を形成して抑止力を高めて戦争を回避しなければならない。
台湾を「人工知能(AI)の島」にする。イノベーション主導型の経済モデルを発展させ、台湾に第2の経済成長の奇跡をもたらす。地政学的な変化をチャンスと捉え、半導体やAI、軍事産業、次世代通信といった産業を育成する。
保育や介護、公営住宅などの行政サービスを拡充させる。物価や住宅価格の高騰、貧富の格差などの問題を改善する。(台北=共同)
頼清徳新総統の演説要旨 「台湾をAIの島に」 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
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中国による、台中関係の「現状変更」への武力介入を強く懸念・牽制するスピーチと言えよう。
5月21日、ロンドンと日本をつないで、台湾・中国問題についてのオンライン・セミナーを行う。台中問題に関し、日本やイギリスと言った第三者民主主義国家はどのようなスタンスを取るべきか。
スピーカーは東京大学の佐橋亮准教授と、元在中国英国大使館の首席参事官、現在RUSI(王立防衛研究所)フェローのチャールズ・パートン氏、OBE。司会はスペクテイターの編集者、シンディー・ユー氏。
講演は英語でおこなわれ、参加は無料。12:00英国時間、20:00日本時間で開始、90分。
申し込みは以下のサイトで。
[Online] Taiwan and China: Implications for the World - 大和基金 (dajf.org.uk)