2020年、コロナが全世界で猛威を振るっていた時、アメリカではトランプ氏が大統領だった。陰謀論好きの彼も、さすがに当時ワクチンを国民に推奨し、自分が罹患したときには「カクテル」と呼ばれる最先端の薬を使って生還してきたのである。
しかし、トランプを絶賛する人たちの間では「反ワク」という人たちがおり、コロナそのものが「ディープステート」の陰謀だと信じ続けているのである。彼らの中には医師などもおり、日本でもいまだにおかしな情報をブログや動画サイトなどでまき散らしているのである。
そろそろアメリカも次の大統領選が迫っており、またぞろロシアや中国といったアメリカの敵対国がフェイクニュースを使って大統領選に再度介入しようと狙っているようである。
SNSや動画サイトに個人が書き込んだものを簡単に信じては危ないのは当たり前の話だが、実に簡単にこういうフェイク情報を信じてしまう人が多いことには驚いてしまう。 個人の発信するいい加減な情報のみならず、メディアの流す情報だって、いい加減なものが多いのだ。
タブロイド紙や、三流週刊誌の記事など、ちゃんとした裏付けもないまま、書き散らされてネットで拡散されている。
フェイクな情報は、一般の個人の書き散らす怪しげな情報や、ゴシップ誌のでっち上げ記事だけではない。
ロシアやイスラエルなどの国家が流す情報の真偽も怪しいものが多いことは、肝に銘じておいた方が良い。
下のニュースを読めば、日本人はナイーブと言われるほど、フェイクニュースに弱いことが分かる。
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偽情報への抵抗力を調べるため、読売新聞が日米韓3か国を対象にアンケート調査を実施した結果、米韓に比べ、日本は、情報の事実確認をしない人が多く、デジタル空間の知識も乏しいことがわかった。日本人が偽情報にだまされやすい傾向にある実態が浮かんだ。
調査は、国際大学の山口真一准教授(経済学)とともに昨年12月、15~69歳の日米韓各1000人の計3000人を対象に実施した。
情報に接した際、「1次ソースを調べる」と回答した人は米国73%、韓国57%だったのに対し、日本は41%だった。「情報がいつ発信されたかを確認する」と回答した人も米国74%、韓国73%だったが、日本は54%にとどまった。
デジタル空間の構造や弊害を表す用語の認知率も調査。正確さより関心を集めることを重視する「アテンション・エコノミー」など三つの用語を知っている人は、平均で日本は5%のみだった。米国33%、韓国40%と大きな差がついた。
3か国でそれぞれ広がった各15件の偽情報について、「正しい」「わからない」「誤り」の三択で回答を求めたところ、「誤り」と見抜くことができた割合は、日本は最低の27%だった。
回答者のメディア利用状況なども聞いた結果、偽情報にだまされる傾向が表れたのは、▽SNSを信頼している人▽ニュースを受動的に受け取る人だった。
一方、だまされにくかったのは、▽新聞を読む人▽複数メディアから多様な情報を取得している人だった。新聞を読む人はそうでない人と比べ、偽情報に気付く確率が5%高かった。
宍戸常寿・東大教授(憲法学)の話「日本は偽情報への耐性が弱く、深刻な状況だ。SNSを信頼している人はだまされやすいことも客観的に裏付けられた。早急にリテラシーを高める取り組みが求められる」
日本はアメリカ・韓国と比べ「偽情報に脆弱」、事実確認しない人も多数…読売3000人調査 (msn.com)
アメリカで情報の一次ソースを調べる人が多いのは、なにしろ自国の大統領自身が陰謀論を垂れ流し、ちゃんとしたニュースをフェイクだと言い続けるような男(トランプ氏)だったのだから、油断も隙も無いということが分かっているからだろう。
日本の一般人は、新聞を読まない人が増えているのではないか。ネットニュースなどは、どうでも良いくだらないものが多くて、肝心の大事な情報が埋もれてしまっていたり、あるいはメディアがあまり取り上げない、という事情もあるかもしれない。
そんな日本にもやっとジャパン・ファクトチェック・センターというのができたことを、少し前にこのブログでも書いた。
ファクトチェックの重要性 | ロンドンつれづれ (ameblo.jp)
そこにも書いたが、日本の与党、自民党が金を払ってフェイク情報をSNSで拡散していた(Dappi)という疑いも持たれているのだから、日本だってトランプ政権とあまり変わりはないかもしれない。
少なくとも、自分たちに都合の悪い情報をコントロールして、メディアが話題にしないように介入している疑いは強い。
ところで、トランプの選挙のころ、日本でもQアノンの陰謀論を吹聴して歩く人たちが増えたが、統一教会や幸福の科学がらみの人たちだったことが分かっている。 コロナ禍では、反ワク言説や陰謀論がかなり拡散した。 このような人たちのSNSを監視するために日本でもファクトチェック・センターができたのだろう。災害時のフェイク発信も目に余るものがあるし。
ファクトチェックでは老舗というか、パイオニアと言っても良いのが、英国人のエリオット・ヒギンズ氏の始めた、Bellingcat, ベリングキャットという組織である。 彼らはボランティアの集団で、オープンソース・インベスティゲーション、つまりネットで誰でも収集できる情報を集めて、世の中に出回っているニュースや言説が事実(ファクト)か、ウソ(フェイク)かを調べているのだ。今では政府に協力を頼まれるぐらいの力を持つようになった。
もう何年も前に、このブログでご紹介したベリングキャットだが、例えば2014年のマレイシア旅客機の撃墜も、ロシア政府が関与していたということを、グーグルマップの写真機能などを使って突き止めた。
Qアノンの流す、いい加減な陰謀論についても、ベリングキャットがファクト・フェイクを検証しているが、Qアノンの場合、話があまりにも荒唐無稽で、そもそもファクトチェックの必要もないぐらいバカバカしい。これを信じる人たちがいるのか、とおもうぐらいだが、信じる人たちがいるから、Qアノンのシャーマンなどが現れて、アメリカの議会襲撃などが起こったのだ。
今、生成AI の出現で、世に拡散される情報のどれがファクトでどれがフェイクかを知ることはますます難しくなっている。 また、旧ツイッターをイーロン・マスク氏が買いとりXにして色々なルールを変更したことで、偽情報の拡散に拍車がかかっていると、エリオット・ヒギンズ氏は警告している。
社会がしっかりした基盤を持つには、その社会で生活を営む人々の間で、「事実」の共有がなされることが非常に大切になってくる。
自分の価値観や判断の基準になる「事実」が「人によって」異なれば、社会の基盤は揺らぐ。
正しい情報を手にして分析しない限り、正しい判断と正しい行動はできない。
そういう意味でも、ファクトチェックを行う組織は、今後ますます重要性を増していくだろう。
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4月24日、水曜日。
日本時間の夜8時半から、Establishing Facts(真実の立証)というズーム・セミナーをロンドンで行う。
彼らは膨大な情報の中からどのようにして、フェイクを見つけるのか。また、どのような使命感で行っているのか。
スピーカーは、ベリングキャットの創立者、エリオット・ヒギンズ氏と、日本ファクトチェック・センターの運営委員の一人、市原麻衣子一橋大学教授。司会は、コロナ治療薬のフェイクに追ったBBC記者、ジャック・グッドマン氏。
Eliot Higgins氏
Prof. Maiko Ichihara
Jack Goodman氏
講演は英語で行われ、参加は無料。
ブッキングは以下のサイトで。
Establishing Facts - 大和基金 (dajf.org.uk)
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地域に根付いて活動を続けている子ども食堂、ピノッキオさんに、今年もスケートのチャリティ・チャレンジを行ってクラウドファンディングで寄付を募っております。
ピノッキオの主催をしているのは、元早稲田大学の川名はつ子教授、里親さんを支援する会を長年サポートしてきた方です。
クラウドファンディングは、以下、キャンプファイヤーというNPOなどの支援をしているプラットフォームからすることができます。
なお、今回のクラファンの寄付には17%ほどの手数料がかかるようです。例えば、3000円の寄付を選んだ場合、500円ほどが手数料として加算されるようです。そのつもりで金額を選んでください。
その分、ピノッキオの方で手数料として寄付から引かれることがないのでピノッキオは助かるのですが、皆さんのご負担が17%増えてしまうようです。よろしくお願いいたします。
以下のサイトに飛んで、ご支援ください!
笑顔はじけるみんなの居場所に!『子ども食堂』拡張工事にご支援をお願いいたします。 - CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)
海外からの寄付も受け付けられるはずですので、日本以外にお住まいの方も、奮ってご支援ください!
また、クラファンはどうも、という方は、ピノッキオの郵便貯金の口座に直接お振込みください。前回も、郵貯の方に寄付をくださった方が、かなりの数いらっしゃいました。
以下のサイトに、振込先が載っています。