アテンション・シーカー? | ロンドンつれづれ

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ロシアのエフゲニア・メドベデワの発言がロシアのタブロイドだけでなく、日本のゴシップメディアでも話題になっているようだ。

 

英語のフィギュアスケートファンのSNSの間でもいろんな意見が飛び交っているらしい。

 

なんでもメドベデワが羽生選手を「エックス」と呼んで話題にしたとか…。

 

しかし実際のところ、その元カレが誰か、本人は名前をだしていないというではないか。ということは、いったい誰の話かわからないということになる。

 

が、それでは話題にできないので、彼女のいわく「エックス」がタブロイドやゴシップ雑誌のいうように「羽生さん」を指しているという前提で話すとして…。

 

まず、彼らに「付き合う」ような時間があったのだろうか、という疑問が一番に湧いてくる。

 

そもそも彼女は基本ロシアを本拠地とし、羽生さんはカナダだ。今24歳の彼女の初恋だという16-18歳の時は平昌オリンピックの前で、ロシアとカナダに分かれてどちらも平昌に向けて練習三昧、2年も「つきあっていた」というほど親密な関係にはどうしたってなりえないんじゃないか。そのころに付き合っていた人に別れの言葉を言われたという話なら、羽生さんではないことになる。

 

さらに2018年のオリンピック後には彼はインタビューの中でかなりはっきりと噂を否定していたし、その時の印象では、その言葉を疑う要素などまったくなかったのだ。その後、2018の秋ごろから2020年あたりにはメドベデワさんは確かにカナダに行っているが、たしか2年もいないうちにコロナが始まったのではなかったか。羽生さんはコロナが始まって早々に日本に帰国している。彼女はロシアにボーイフレンドもいたはずで、写真を一緒に撮ったりしていたではないか。

 

 

夫は「僕たちは何度もハニュウの試合を見て、エキシビションの練習などを何度も見たけれど、いつも寄っていくのはエフゲニアの方で、ハニュウは礼儀正しいから冷淡にしなかっただけ。あまり相手にしていたように見えないけど。彼は誰にでも優しかったよ」と、メドベデワ選手を特別扱いしていたようには見えない、というのだ。彼女の勘違いなんじゃないの?と。「ザギトワだって、ツルソワだって、みんなハニュウが大好きで、つきまとってたじゃない。ハニュウはみんなに優しくしてたよ」

 

確かに私も同じような印象を持っていた。しかも、彼は友人と食事にも出かけないほどリンクと自宅の往復だけをする修行僧のような生活をして練習に根を詰めていたのではないだろうか。

 

 

ま、もっとも、こういうことは第三者には全くわからないことだが。

 

本当は誰も知らないところで誰が誰と付き合っていても、全く不思議もなければ文句もない。それは彼らのプライベートの生活である。

 

 

ところで夫の分析はさらに続く。

 

「彼女はAttention seeker(かまってちゃん)だからね。なにかセンセーショナルなことを言って、メディアの注目を浴びるのが好きなんじゃないの。 それに今は、ワリエワのことから注目をそらそうとして、わざと色々言ってるんじゃないの。ロシアの作戦だって、Xでは皆言ってるよ…」と。

 

確かに、ドーピングの件ではカナダが怒っているのに、ISUは団体戦の銅メダルをロシアに渡したまま、順位を変えないという発表をした。 

 

なぜ? ルールブックにはっきりと、「補欠も含めて、誰かがドーピングしたチームは団体戦では失格」とかかれているのに? 

 

そういうことから目をそらそうとして、メドベデワは(わざと名前を言わず)ゴシップ誌が飛びつきそうな思わせぶりを言って、ワリエワの件から注意をそらそうとしているんじゃないか、ロシアのスケ錬の戦略じゃないか、というのである。

 

ははあ、そうかも。

 

そうだとしたら、実に迷惑な話である…。

 

ファンも、こんな根拠も証拠もない話に気持ちをかき乱されること無く、スルーすればいいんじゃないか、と思うのである。

 

 

それよりももっと大ごとは、ドーピングが確定したチームに銅メダルを渡したり、順位がワリエワより下だった選手の得点を上げないことである(団体戦に置いて)。

 

そして、フィギュアスケート界という小さなコミュニティの中で、繰り返し訴えられるセクハラ問題に注目した方が良い(ちょっと前には、アシュリー・ワグナーさん、ついこの間はグレーシー・ゴールドさん)。フランスではコーチになった元選手の生徒への暴力問題も取りざたされたが、うやむやになった。今どき、こういった人権侵害問題が頻発するフィギュアスケートのコミュニティには問題があるのではないか。

 

メディアはもっとそちらの問題を取り上げるべきではないのか。

 

 

一方で、羽生さんが誰と付き合おうと、誰と結婚しようと、誰と離婚しようと、彼の勝手である。不倫でも犯罪でもないんだから、ファンにも誰にも、許可を取る必要も、理解してもらう必要もない。 

 

しかも誰を指しているのかも分からないのに、いいかげんな憶測で一方の言い分だけを垂れ流すタブロイドのネタを拾って、羽生さんに当てはめて話を捏造する日本のゴシップ誌の無責任といったら。

 

万が一それが羽生さんだったとしたところで、元ナンタラがあとから何を言おうと、それはout of spite, つまり「腹いせ」であることが多いのは誰でも知っていることだろう。 別れたくなかった方は、後から嘘も取り混ぜて色々言うものなのである。私にも苦い経験があるが、安易に信じてもらっては困るのだ。

 

結婚・離婚、そして「元カノの暴露」で羽生さんの「神秘性が薄れる」と書く週刊誌もあるが、暴露ったってまず誰の話なんだかあやしいし、それにアスリートに神秘性なんて必要あるだろうか。 彼のことを神とか天使とか妖精とか言っている人たちがいるのは知っているが、私はそういう目で見たことがないから、元ナニが出てきても別に驚きはしない。

 

彼は血の通った29才の青年であり、その実像から離れた偶像崇拝をするつもりはない。が、神、天使とあがめて推し活をエンジョイしているファンを否定するつもりも、もちろん、ない。人それぞれの楽しみ方をすればよいのだ。

 

しかし、普通の人間なら当たり前のことが、彼の場合だけやたらにゴシップ扱いされるのは、これまで清廉潔白すぎるイメージで奉られてきたせいかもしれない。そう思うと、かわいそうな気はするのである。

 

私はアスリートに必要なのは、結果を出すために継続する練習を行うだけの忍耐力、そしてそれを本番で100%出して見せることのできる強さだと思っている。 フィギュアスケーターであれば、そこに美を表現できる能力も必要だ。

 

それがあって、その結果をしっかり見せてもらえさえすれば、私は満足なのである。女性関係のああだこうだは、彼のプライベートの生活にすぎない。

 

 

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それはそうと、タモリさんの番組の羽生さん、すっきりとスーツを着こなし、羽生節がさく裂していましたね。

 

2015年、なつかしいグランプリファイナル、330.43点をたたき出したパーフェクト・パフォーマンスを自分で観ながらコメント。

 

(写真は夫撮影)

 

「この時のジャンプや精神状態は参考にしている」というフリーの演技では、3本の4回転のうち演技後半の「トーループを跳べる確率自体は練習でも30~40%だった」「皆さんの目に映るのは結果なんです。結果が伴わなければ見てもらえないと僕は思っている。 (僕は)目標設定が高くて、人よりも。だから、もう少し無難なところに目標設定をすれば、人生を楽に生きられたと思うけど」と。

 

(写真は夫撮影)

 

しかし、「目標設定が高いからこそ、達成感がすごいのだと思うし、世界記録を塗り替えていけるようになったと思う」というのは、いかにも羽生さんらしい。

 

 

正直に言おう。

 

私は、「練習ではできるけど、本番でどうしてもコケる」というアスリートを応援する気にはなれないのだ。 なぜなら身内でもないのに入れ込んで、「ああ、またダメだったか…」と床に手をつくガッカリ感、あれを何度も味わうのが嫌なのである。 楽しむためのスポーツ観戦でストレスをため込むことはしたくない。

 

「弱い選手を母親の気持ちになって育てるように応援する」ということが好きな人もいるだろうが、そんな疲れることは私はもうしたくない。子育てを終わって余生を生きている私が競技スポーツ観戦に求めているのは、「勝利する快感」なのである。

 

ここ一番というところで勝負強さをしっかりと見せてくれるアスリートに、私はプロ根性を見出すのである。 それが、いかにたいへんか。どれほど難しいことか。 「高い目標を設定し、達成する」ことは、口で言うのは簡単だが、実現することがどれほど難しいか。自分にはとうてい、できない。

 

それが分かるからこそ、He delivers when it matters...! (ここぞ!というときに必ずやってみせます!) というコメンテイターの絶叫とともに、最高の舞台で、最高の演技をして見せる羽生選手を応援していたのだ。

 

それがいかに難しいことか、どれほどの努力をしたかを知っているからこそ、演技が終わったとたん、選手のガッツポーズと共に跳び上がって熱狂する喜びに浸っていたのだ。

 

羽生選手は、その瞬間を何度も何度も私たちファンに味あわせてくれた。 

 

顔が好きとか、性格が素敵とかいう人もいるだろうが、羽生さんが多くのファンを持つのは、やはりアスリートとしての気持ちの強さ、そのことが一番大きいと思っている。

 

もちろん、彼だって「いつも勝つ」選手ではない。しかし、負けた後には悔しがり、人一倍の練習を重ね、勝つことを目標に過酷な練習を積み重ねるのだ。

 

だから、怪我をしても、勝てなくても、見守る覚悟がこちらにもできてくるのである。「彼なら、いつか必ずやり遂げる」と思っているから。

 

 

だが、2度のオリンピック金メダルのあとは、もう、目標は遂げた、あとの選手生活はボーナスだね、と思ったファンは多いだろう。あとは、負けても勝っても、彼のやりたいようにやればよい、彼の長年の夢はかない、挑戦は終わった、と。

 

しかし、彼はそれでも新たな目標、4Aを掲げて、全力疾走したのだ。 

 

たとえその夢がかなわなくとも、私はただもう心安らかに見守るだけだった。

 

 

そして、プロになった彼は、今またとても高い目標設定で全力疾走しているんじゃないかな。

 

勝敗というわかりやすいゴールは無いけれども、観客にどれだけの質の高いエンターテイメントを提供できるか、どうしたら満足して帰らせることができるか、勝敗よりも難しいものを相手にして、奮闘しているんだと思う。

 

いまだって思い通りにならないことはたくさんあるだろうけれど、きっとそれも「挑戦」ととらえて乗り越えていけるんじゃないかな、と私は思っている。羽生さんなら、きっと。

 

今は、アスリートとしてだけではなく、クリエーター、プロデューサー、興行師、ビジネスパーソンとしての才能も問われる環境の中、いくつもの大成功を達成している。「ただの」アスリートではないということを、証明して見せた。

 

彼はローンウルフかもしれないが、彼の才能にほれ込んで協働したい、という一流の才能はこれからもいくらでもでてくるだろう。「羽生と組んだ」ということが、彼らの名誉になるからだ。

 

いつも同じ仲間と徒党を組む、ということはしないかもしれないが、彼はショーごとに新たなエレメント、才能を自由に組み込み、色々な枠組みにとらわれない奔放に形を変える、アメーバのように成長するエンタテイメントを作り出すだろう。

 

 

どうでもよい些末なゴシップにかかずらわっているエネルギーも時間もないはずだ。

 

 

彼は今や、とてつもなく大きなもの、前だけを見て、進んでいるんじゃないかな、と思うのである。

 

 

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いくつか楽しみなテレビ放送。

 

 

 

テレ朝チャンネル2で生中継
2月19日(月)午後4:00~

 

Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd “RE_PRAY” TOUR|テレ朝チャンネル (tv-asahi.co.jp)

 

 

GIFTの再放送が、CSテレ朝で。

 

2/26(月) 午後5:00-よる7:30Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 “GIFT” at Tokyo Dome

 

Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 “GIFT” at Tokyo Dome|スポーツ|テレ朝チャンネル (tv-asahi.co.jp)