1月2日に起きたJALと海保の衝突事故。
海保の側から5名の尊い命が失われました。
Japan plane crash: Key moments leading to the collision | AP News
ヴォイスレコーダーから原因がいろいろとわかってきているといいますが、航空業界はエラーが人々の死に直結する、ということで、その原因をくまなく調べて将来的な再発防止に努める業界として、他の業界から彼らのエラー回避のシステムは手本にされています。
私が翻訳した社会福祉の本にも、児童福祉士たちのディシジョンメイキング、つまり、手にした情報を分析して判断を行うというプロセスの際に、どのようにエラーを防ぐかの見本として航空業界のことが書かれていました。
エラーが起きた際、間違いをした個人にスポットをあて、個人を批判して終わるのではない。
エラーが起きるときは、必ず2重、3重の抜け落ちが重なって起きるものだ、という姿勢です。エラーを防ぐのには、個人の努力に頼るのではなく、システムの改善によってエラーを防ぐことが肝要、と。 なぜエラーが起きたのか。 フィードバックを繰り返すことで、そこが見えてくるはず。
今回、1月3日の段階で、海外の報道は、多くの国で義務付けられている装置、衛星を使ったADS-B トランスポンダーが、海保機には搭載されていなかったことを「テクノロジー・ギャップ」としてすでに指摘しています。 この装置が搭載されていれば、JAL機、あるいは管制塔で、滑走路上の海保機の位置がわかり、自動的にアラームが鳴ったのではないか、と。
How the Japan coast guard plane crash unfolded: A visual explanation (usatoday.com)
Concerns mount over runway technology gap as Japan probes crash | Reuters
A GPS Transponder Could Have Prevented Japan's Fatal Plane Crash (yahoo.com)
なぜか日本の報道ではこの指摘がほとんどなされていないようですが、詳細は下の夢人さんのブログでごらんください。
今回、JAL機のキャプテンも副操縦士も、「ランウェイ上の海保機は視認できなかった」としていますが、人間の視力には限界があります。また、管制塔と海保機キャプテンとのコミュニケーションでの勘違いの指摘もありますが、人間には思い込みというものが必ず起きます。また、管制塔の人員が足りていない、という声も聴かれます。人手が足りない中での仕事は、必ずと言っていいほど、エラーがおきます。
そうであれば、システムの中に2重、3重のセイフティネットを用意しておくことが、将来的な再発を防ぐことになるでしょう。
失われた命は戻ってきませんが、せめてそこから教訓を得て、将来的な再発を防ぐためのシステムの改善を願ってやみません。
