南アフリカあっぱれ! | ロンドンつれづれ

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この週末、ショッキングなニュースが英国で流れた。

 

アメリカと英国が、イエメンに空爆を始めた、というのである。理由は、紅海を通る商船をイエメンの「テロリスト」、フーシが襲撃している、というものであった。フーシ派は、2015年のクーデターに成功し、今はイランの支持を受けてイエメンの実権を握っているようである。

イエメンで大規模抗議集会、米英のフーシ派攻撃受け | ロイター (reuters.com)

 

英国では、リシ・スナク首相が国会にかけずに軍事行動に出たことに対し、野党などから批判が起きた。Should Parliament be consulted before military action? - BBC News

 

また国民も、「英国が戦争を始めた」とざわめいたのである。

 

イエメンのフーシ派はかねてイスラエルのガザ攻撃を批判しており、イスラエルもイエメンを空爆したりしている。フーシ派は紅海を通ってイスラエルに物資を運ぶ船だけを狙って襲撃しているし、これまで人的被害は出していない、と抗議している。英米の空爆で、イエメンでは6名が亡くなった、と報道されている。

 

イエメン爆撃の正当化として英国政府は、紅海を通る商船はイギリスに石油や物資を運んできているため、これを阻害されれば英国内の物価が上がる、としている。 しかし、イスラエルがガザでのジェノサイドをやめさえすれば、イエメンが商船を攻撃することはおさまるだろう。だったら、なぜイスラエルに攻撃をやめろ、と言わないのか…と考える英国民は多い。そうすれば、ガザで子どもが死んでいくことも同時に防げるだろうに、と。

 

もちろん、欧米のメディアはフーシ派をテロリストとし、今回の欧米のイエメン爆撃は、「報復措置」としている。そしてフーシ派は、イスラエルへの攻撃を、「ガザの同胞を守るため」としている。

イエメンのフーシ派とは何者か、米英が軍事拠点を空爆-QuickTake - Bloomberg

 

イスラエルのガザ攻撃はもっと大きな戦争に拡大していくという懸念が、もうすでに現実のものになりつつある。アメリカはそのうち、日本の自衛隊を派遣しろと圧力をかけてくるかもしれない。そうすれば、自民党は憲法改正が必要だ!と言い出すだろう。ガザでのジェノサイドは、日本にとって対岸の火事ではないのである。

Strikes on Houthi targets in Yemen show war in Gaza has already spread - BBC News

 

 

「中国のウイグル人に対する扱いを「人権侵害」として厳しく追及してきたアメリカやイギリスは、今ガザで行われている大量殺戮を「イスラエルには自衛の権利がある」という理屈で見過ごしている…。」と、厳しく記者会見で追及されるアメリカの報道官。

 

確かに、なんというダブルスタンダードだろうか。EU諸国も、そして日本も、それに倣っているのだ。

 

 

 

ハマスやフーシ派の攻撃、そしてイスラエル人を人質にとることももちろん「人権侵害」だが、今イスラエルの行っているガザへの攻撃は、その圧倒的な戦力の違いからも、また非戦闘員である女性や子どもの犠牲者の膨大な数を見ても、「報復」・「自衛」の域を大きく超えていることから、国連決議でも多くの国がシーズ・ファイア、停戦を求めているのだ。短期間にこれほどの破壊と殺戮を繰り返したイスラエルの人道法違反は明らかだとみているからだろう。

 

国連の国際司法裁判所(ICJ)では、南アフリカによって訴訟されている「イスラエルのジェノサイド(大量殺戮)」が議題に上がって連日双方の討論がなされている。

 

以下で南アフリカの提訴の詳細を見ることができる。

 

Application of the Convention on the Prevention and Punishment of the Crime of Genocide in the Gaza Strip (Sou (icj-cij.org)

 

https://www.icj-cij.org/sites/default/files/case-related/192/192-20240112-pre-01-00-en.pdf

 

 

イスラエル側の反論に、一歩も引かずに「人種差別主義政権による、重大な人権侵害であり、ジェノサイド」と断じる南アフリカの女性。

 

 

 

南アフリカの提訴に対するイスラエルの反論。

 

南アフリカの法務大臣によるスピーチ。「我々は法による事実とエビデンスを提示した。イスラエルは我々に納得のいく反論をすることはできなかった」としている。

 

 

 

イスラム国だけでなく、多くの西側ではない国が、南アフリカのICJへの提訴を「勇気ある行動」と称賛し賛同している。英国内でも、南アフリカの動きに対する市民の支持は多い。民間人や子どもを大量に、そして無差別に殺すことに対し、抵抗が大きい人が多いのだ。

 

南アフリカが勝つだろう、という意見を述べる教授。

 

 

 

「南アフリカ、ありがとう!」と声を上げる少女

 

 

 

 

また、国連も、イスラエルの人権侵害がICJにより国際法違反として正しく裁かれることを期待している。

 

 

 

今週末は、ロンドンで50万人を超すとみられる大変に大規模なパレスチナ支持のデモが行われた。

 

 

 

スカイニュースでは、ロンドンのデモは反イスラエルだけでなく、ICJに提訴した南アフリカや、米英に攻撃されているイエメンに対する支持を強く訴えるものがあった、と伝えた。

 

 

 

 

 

ロンドンだけでなく、スコットランドでも大規模なデモがあったようだ。

 

イギリスではこんな動画も作られている。

 

 

またこのデモでは、元労働党首のジェレミー・コービン氏が街頭で停戦を求めるスピーチを行った。

ジェレミー・コービンはかねてから強い戦争反対の立場をとっており、ガザへの爆撃に対しても強い言葉で発信し続けている。

 

コービン氏は自分のXで、ロンドンのデモの様子、ガザの人々の苦難、そしてイスラエル警察の自国民に対する暴力などを集めた動画を発信している。

 

 

また、南アフリカの訴訟についても発言している。

 

 

国会で政府の批判も。

 

 

 

イギリスの外務大臣、デビッド・キャメロンは、元首相で、ブレグジットを国民投票して敗北、政権を追われた人物である。 今回、英政府は強くイスラエルを支持している立場だが、ガザのパレスチナ市民に対し、飲み水の供給源を断っていることは「国際人道法」に反しないか、と英国議員から厳しく指摘されている。

 

また、子どもの殺戮は、何人まで許容範囲と考えているか、との質問も受けている。

 

 

日本の政治家はオフィシャルにこのような質問を受け、イスラエル‐パレスチナ問題についての日本政府の方針を問いただされるという機会はあるのだろうか。

 

それとも、アメリカのいいなりの日本政府の方針に、野党も国民もあまり関心がないのだろうか? 気になるところです。

 

 

アメリカではブリンケン国務長官ですら、イスラエルによる「無差別攻撃」で殺される子どもの数の多さに言及した。

 

米国務長官、ガザで「子供の犠牲者あまりにも多い」 軍事衝突後4回目のイスラエル訪問 - BBCニュース

 

 

「いったい、世界はいつになったらこの子どもに対するジェノサイドに関心を持ってくれるのか、なぜ誰もイスラエルを止めてくれないのか? 」という悲痛な声がガザからは発信されています…。

 

 

 

夜通し埋まっていて、やっと助け出された赤ちゃん。生きていて良かった…。

 

 

電力を切られて、病院の中で命の灯が消えかけている保育器の中の赤ちゃんたち。

 

 

 

病院で手当てを受ける子どもたち。もう亡くなっているのか…?

 

ほとんどの病院は攻撃を受けて、医療を施す設備も薬もなく、麻酔なしで子どもたちの手足を切ったりしているという。

 

https://twitter.com/DrLoupis/status/1745540929157476443?t=mam3vA4JRy_mLe72yFh1BA&s=06

 

 

 

「ガザの人口の5%が、殺されるか行方不明か怪我をしている。こんなホロコーストが目の前で行われているのに、世界は沈黙している…。」

 

 

 

バイデンもたじたじ…。 バイデン、人相が悪くなったな…。

 

 

 

アメリカを走る輸送トラックにはこう書かれていた。 

 

「医療費が払えないって? 悪いけど、アメリカ政府はイスラエルが何万人もの子どもの上に落とす爆弾を買うお金をたくさん渡さなくちゃならないからね…」

 

今すぐ停戦を!-平和のための納税者より

 

 

 

 

「白人のいわゆる「西側の価値観」ってなんなんだ? 本当は国際法や、人権なんて、どうでもいいんじゃないのか?ガザの状況を見ていると、そう思わないか?

 

過去400年にわたって、アメリカ・インディアンを殺し、パレスチナ人を大量殺戮し、コンゴ人を殺し、土地を盗み、奴隷を作り出し、原爆を市民の上に落とし、勝手に中東やアフリカに国境をつくり、朝鮮半島もベトナムも分断させ、ラオスにもカンボジアにもユーゴスラビアにも爆弾を落とし、イラクやアフガニスタンに侵略し、制裁や禁輸をし、アフリカの人種差別を支持し…他にもたくさんある。西側の価値観って、いったいなんなんだ?!」

 

ご都合主義で「正義」や「人権」を持ち出す西側白人社会に対し、疑問をぶつける男性。

 

 

西側だけじゃないと思いますけどね。 ロシアだって、中国だって、政治家たちは自分たちのしていることは棚に上げて、人のことは批判する…。

 

 

イスラエルのシオニスト政府のジェノサイドに反対している人は国内にもたくさんいる。

 

この野党議員は、南アフリカによるイスラエルの国際法違反、人権侵害、人道法違反に対しての提訴を支持している。

 

 

 

西側の報道は、ハマスをテロリストとして描いていますが、ハマスの政治部門はパレスチナ人に選挙で選ばれている政権です。ハマス=テロ組織と思っている方が多いのはイスラエルや欧米のプロパガンダとそれを垂れ流す日本のメディアのせいだという意見もあります。 フーシ派についても、西側メディアの言説だけを信じることなく、アル・ジャジーラなど中東発のメディアも目を通すことが必要かと思います。

 

南アフリカはイスラエルを人種差別のアパルトヘイト国家として提訴しています。パレスチナ人に対するジェノサイド、民族浄化を批判する大規模なデモは、ロンドンだけでなく、アメリカや欧州の都市で連日行われています。 

 

今イスラエルの行っているジェノサイドは、ナチスのホロコーストよりも悪質なものとして後日歴史に刻まれるでしょう。それをリアルタイムで見ている私たちは何をしたら良いのか、私は考えたいと思います。

 

エルサレムの中心でも、反戦の声は上がっていますが、自国民を暴力的に制圧しようとするイスラエル警察の姿は、だんだんと世界に報道されるようになっています。

 

エルサレム中心部で6日夜、イスラエルに対し、パレスチナ自治区ガザでのイスラム主義組織ハマスとの戦闘停止を求める反戦デモが行われたそうです。デモ参加者によると、エルサレムでの反戦デモは10月7日の戦闘開始後、初めてという。

 

デモには左派の活動家ら約100人が参加したが、イスラエルの警察官がデモ隊を暴力的に解散させ、参加者2人を拘束した。
 

参加者たちは、太鼓を鳴らしながら「戦争をやめろ」「ガザで子どもを殺すな」と叫んだ。警察の部隊がマイクで解散を命じ、参加者を殴るなどして排除した。

ベンヤミン・ネタニヤフ政権では、極右政党「ユダヤの力」の党首イタマル・ベングビール氏が警察を統括する国家治安相で、強権的な取り締まりを主導している。エルサレム在住の会社員女性(44)は「戦争ではハマスの脅威を排除できない。民主主義国家で言論を暴力で封じるのは許せない」と憤った。

 

エルサレムの中心で反戦を叫ぶ「ガザで子どもを殺すな」…イスラエル警察が暴力的に解散させる : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

 

ユダヤ人の中にも、ネタニエフのシオニスト政権を批判する人たちは大勢いる。

 

「ユダヤ人は、何世紀もモスリムの人々とこの聖なる地で仲良く平和に共生してきた、イスラエル国家ができる前は…。シオニストはユダヤ人とモスリムが敵対することを望んでいる。シオニズムこそが問題であり、平和を妨げるものだ」と話すユダヤ人。

 

 

 

「シオニストは常に嘘をついて世界中の人の意見に影響を与えようとしている。 イスラエルの問題は、10月7日に始まったのではない。 シオニストが真の土地の所有者であるパレスチナ人から聖地を盗んだ75年前にもう始まっていたのだ。」 こちらも反シオニズムのユダヤ人の発信。

 

 

エルサレムで、パレスチナの旗を持ってあるくユダヤ人。

 

 

 

ガザやエルサレムなどで起きていることが世界に報道されることを妨害するため、イスラエル政府は報道陣を狙い撃ちするスナイパーを用意している。 これまでの3か月にガザで殺害されたジャーナリストは、第二次世界大戦で死んだジャーナリストの数を上回ると言う。ジャーナリストへの攻撃は、もちろん国際法違反。

 

 

 

 

イスラエル国内で、自国政府のパレスチナ市民に対するジェノサイドを少しでも批判する発言をすると逮捕され、拘束され、職を失うと話す元教師のイスラエル人。

 

彼はSNSで発信した内容が元で、警察から逮捕され、家の中を荒らされ、独房に監禁され、そして仕事を首になった、と話しています。多くの友人が彼の発言に賛同をしているが、彼のところに個人的に連絡をしてきた彼らも、みな発言には用心をしているということです。

 

イスラエルは一応民主主義国家で、発言の自由も保証されているはずですが…。

 

まるで「魔女狩り」だと話すところを見ると、ロシアや中国の言論統制と一緒ですね。

 

 

 

 

 

 

今の状況は、ガザのパレスチナ人だけでなく、イスラエル内で平和を求め、停戦を求め、民間人や子どもへの無差別攻撃を批判するイスラエル人にとっても国家による過酷な人権侵害が行われる悲惨な状況なのだということが分かります。

 

建前上、法律で表現の自由が保障されていても、独裁的な政権が力を得ると国民はどのような扱いをされるか、良い見本になりますね…。

 

 

 

以下、追記:

 

米英軍は先週、紅海で相次ぐフーシ派による商船攻撃を受け、イエメン領内のフーシ派支配地域を攻撃。米軍はその後もフーシ派の拠点を空爆した。

フーシ派の交渉責任者ムハンマド・アブドゥルサラム氏はロイターに対し、「イスラエルの船舶や占領下のパレスチナの港に向かう船舶を阻止する攻撃は今後も続く」と言明した。

パレスチナ地区ガザにおける戦闘の終結とガザへの人道支援搬入を引き続き求めるとし、「紅海とアラビア海で事態がエスカレートすることをは望んでいない」と強調。同時に、米国と英国が紅海を軍事化したと非難。「われわれの立場を明確にし、イスラエル船舶やイスラエルに向かう船以外の紅海とアラビア海を航行する全ての商船が安全であると確認したい」と述べた。

 

紅海で商船攻撃継続へ、フーシ派が警告 米主導の攻撃後も(ロイター) - goo ニュース