次男、来る | ロンドンつれづれ

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イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)

 
仕事が忙しいクリスマス時期を避けて、夫の息子がいま遊びに来ている。
 
そう、我が家の次男である。 我が家は再婚家庭なので、長男は私の息子、そして次男は夫の息子なのである。 次男は私にとっては、「ステップ・サン」というやつである。そして私は彼にとって、「ステップ・マム」である。
 
しかし、さすが離婚再婚の多いイギリス、連れ子同士の再婚でステップ関係の親子の場合、無理に親になろうとはしない。あくまでも親の「連れ合い」であるにすぎない。また、そのぐらいの距離があった方が、子どもにとっては助かるのである。
 
頑張って親になろうとしない。無理にしつけようとしない。そうやって何年かやり過ごしているうちに、子どもがちゃんと大人になって、コミュニケーションも楽になる…。
 
基本は、相手の子どもが「ここは自分のうちだ」、「うちに帰ってくるのは楽しいし安心する」と思えるようにすることだけだ。自分の居場所が家の中にちゃんとあること、それが一番大事なところだろう。
 
なさぬ仲の子どもと一緒に時間をすごすステップファミリーは、難しいに決まっている。だけれど、大人が子どもの心を大切にすることを忘れなければ、きっと何とかなるものだと、私は体験から分かっている。
 
さいわい、我が家の長男も次男も、とても良い子たちである。思春期には大変なこともあったが、それは血がつながった子どもだっておんなじだ。
 
長男も次男も、16歳ぐらいからはもうかなり自立してくれ、今ではどちらも30歳を過ぎているのですっかり大人である。話し相手にも楽しい、すてきな男たちに育ってくれている。 
 
ここ何年も、クリスマスから5月ぐらいまで私は日本で過ごすことが多かったので、次男に会うのは5年ぶりぐらいかもしれない。
 
さて、そんな次男がやってきて、我々3人集まったので、私は買ってから何年も使っていないモノポリーを持ち出した。
 
これは特別なモノポリーで、あのボヘミアン・ラプソディのQueenのモノポリーなのである。
 
 
自分の駒は、彼らの楽曲にちなんだブライアン・メイのギター、レディオ・ガガのラジオ、バイシクル、掃除機などから選ぶ。
 
 
 
そして、さいころをふっては、Queenにゆかりの世界中のコンサート会場を巡るのである。
 
ウェンブリー・アリーナあり、マジソン・スクエアあり、ミルトン・キーンズ・ボウルあり、ザ・フォーラムあり。 
 
 
しかし、これは夫婦でやると良くないゲームなのだ。
 
 
 
夫の持っているプロパティにうっかり私が踏み込むと、「よく来たね~!」と実に嬉しそうに叫び、情け容赦なく「はい、家賃150ポンド!」などといって夫は取り立てるのである。
 
さらに、私は実に何度も「タックス」というところに踏み込んで、無駄な税金を支払ったのである…。ゲームとはいえ、なんで私ばかりが税金をこんなに搾り取られる…。さいころの目は無情なのだ。
 
結局最後には、私からお金をいっぱい巻き上げて夫が大勝ちし、次男は私にたくさんの家賃を支払って破産して終わったのである。
 
私はミイナに「あそこにいって、あいつ(夫)に噛みついておいで」とけしかけた。次男もかなり本気で「そうだ、そうだ、(父親に)噛みついていいぞ!」とけしかけたが、ミイナは知らん顔をして、自分の手をなめていた…。




夫婦間、親子間の関係が悪くなったので、ちょっと気分を変えるために、私たちはみんなでスーパーに行くことにした。
 
我が家では、ショッピングは夫の役目なので、私は2か月に1回ぐらいしかスーパーにいかないが、この日は野菜をいっぱい食べたかったので、ついていった。夫はいつも同じようなものばかりを買ってくるのである。
 
 
そうしたら、懐かしいものがあった。
 
そう、スパゲッティの缶詰である。
 
 
 
 
夫、缶詰をかごに入れた私に対して、「なんでそんなまずいジャンクを買うんだ!」と叫ぶ。
 
「いや、18才でイギリスに初めて来たときのホストファミリーのところで、いつも朝ごはんに食べていたから」というと、「いったいどんなファミリーと暮らしていたんだ!」と。
 
「そんなトラウマ的な体験を、なぜわざわざ再現するんだ! これは、イギリスでは貧乏人の食い物なんだぞ」という夫。
 
「貧しい学生か、給料前の若いサラリーマンがいやいや食べるものなんだ」という。
 
 
う~ん、確かに。おいしいものではない。でも、スパゲティの缶詰というショックとともに、「イギリス人の朝食」としてインプリントされてしまった、私にとっては懐かしいものなのである。
 
 
さっそく作ろう、スパゲッティ・オン・トースト。
 
トーストといっても、食パンはかなりたっぷりの油で揚げなくてはならない。
 
 
そこに、レンチンしたスパゲッティを乗せます。
 
 
仰々しく、ナイフとフォークで刻んで食べます。
 
 
炭水化物 on 炭水化物。 まあ、やっぱりまずかったですが、懐かしい味ではありました。
 
 
このほかに、イギリスの「貧乏人の食い物」としては、ポテトチップスを具の代わりにはさんだサンドイッチ、というのもあります。ははは。案外おいしいです。
 
 
 
 
さて、スーパーのケーキのコーナーで、いかにもイギリスらしいケーキがいっぱいあったので写真にとりました。
 
Tレックスのケーキ。
 
 
 
こっちはサッカーボール。
 
 
 
これは、X-BOXのコンソール。これもケーキですよ。
 
 
 
ピンクのケーキの上に、ディズニー・プリンセスがいっぱい。懐かしいシンデレラやオーロラ姫も。
 
 
 
これはバービーのケーキ。
 
 
 
ペッパ・ピッグのケーキは水色。
 
 
 
こんな風船の模様のものも。
 
 
 
こんなものを写真に撮っている私を、不思議そうに見つめる次男。
 
「日本にはこういうケーキ、売ってないからさ」と説明する私。
 
 
日本には、こういう感じのバースデーケーキって無いですよね。私はあんまり見たことないんですが。
 
 
やっぱり、生クリームがおいしい。生クリームと、フレッシュなフルーツが主流じゃないでしょうか。
 
このケーキはおそらく、「マジパン」か、「アイシング」というのでスポンジを包んであって、ものすごーく甘いんですよ。
 
 
 
 
ところで、次男、子どものころ大変な偏食だったのですが、今回は私の作ったチキンチャーハンを、「おいしい!」といって完食しました。野菜もちゃんと食べましたよ。
 
お皿をキッチンに持ってきたときも、「とってもおいしかった、ありがとう!」とかわいいことを。
 
大人になったなあ、とまた感慨深く感じたものでした。
 
いや、もう31歳だし…。