世界はどう報じた(追記あり) | ロンドンつれづれ

ロンドンつれづれ

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(先ほど、海外記事の翻訳サマリーの載っていないものがアップされてしまいましたので、その部分、修正版をアップします)

 

 

3月に、英国公営放送のBBCが、ジャニー喜多川の児童に対する性的虐待の問題を取り上げた。

 

モビーン・アザー記者の1時間弱のドキュメンタリーの内容に驚いた私は、すぐにこのブログでその動画を紹介した。

 

その後、元ジュニアだった比較的若い被害者の一人、カウアン・オカモトさんが東京の外国人記者クラブで実名と顔を晒して告発した時も記事にした。

 

上記の2件が、この大規模な子どもに対する性加害の事件が公にされて事態が大きく動くきっかけになったのである。 どちらも海外のジャーナリストが事態を深刻に受け止め公表したことが大きかった。

 

また、78歳になる俳優服部吉次氏(音楽家服部良一氏次男)が自身の性被害について公表したことも大きく潮目を変えたように思う。

 

 

それでも日本の報道機関は腰が重かった。 上記の出来事及び8月の国連の聴き取り調査結果の発表があっても、まだなかなかそれらをメインニュースとして報道することは少なかったのである。

 

そして、このブログでこの話題を取り上げた時も、他の記事に比べて「いいね」の数が少ないことから、私は「一般社会はこの問題に興味がないか、不愉快に思う人が多いんだな」という印象を持っていた。

 

8月末。 ジャニーズ事務所が設置した「再発防止特別チーム」が「ジャニー喜多川氏による数百件に上る児童に対する性的加害」を認め、事務所に対する提言を行った時、初めて大手の報道機関の多くがそれを報道。しかし、ワイドショーなどでそれを詳しく後追いするテレビ局は限られていた。

 

9月7日。新旧の社長とジャニーズジュニアの担当者と弁護士ががん首を揃えて4時間にわたる会見を開いた。 会見場には多くのジャーナリストが大手報道機関から集まり、質疑応答は活発だった。 ジャニーズ事務所が公にジャニー喜多川の罪を認め、被害者に対する補償と救済を約束したのである。

 

その段になってやっと日本の報道機関がフルに動きはじめたという印象である。 それでも各テレビ局が発表した文言は、某フランス人ジャーナリストが言うように「チャットGPTで作成したような」画一的なものがほとんどだった。

 

 

ジャニーズ事務所の会見について、BBCのアザー記者は、以下の動画でこう述べている。

 

「会見で事務所が謝罪したことは大きなステップ。しかし多くの疑問の答えは得られていない。社会正義の実現にはまだ遠い。」とし東山新社長については「そもそもジャニーズ事務所の環境のなかで生きてきた元アイドル」とし、人選に疑問を呈した。また「日本のメディアが何十年もこの問題を無視してきたことは大きな問題」と指摘。「事務所が何十年も力をもっていたことは危険なこと。一つの組織や会社が何をニュースにすべきか、何を黙殺するか決める力を持つべきではない。プレス(報道機関・メディア)は自由に発言できるべきです。今後日本の報道機関に関わる人たちが自問自答しその文化が変わることを心から願っています」と述べた。

 

 

 

かなり昔にも記事にしたことがあるが、日本の大学生の集団がロンドンに訪れた時にFTとThe Economistのアジア担当の編集長と面会し、「日本のジャーナリスト」についての質問をした時、別々に訪問したにも関わらず、彼らは異口同音に以下のように話した。

 

「日本のジャーナリストは良い大学をでて新聞社、テレビ局に就職するエリートサラリーマン。会社のトップの方針に逆らわない。欧米ではジャーナリストはマーベリック(一匹狼)が多い。スクープを放って成り上がっていく。僕らの哲学は、正しい情報を捕り、それを視聴者・読者と共有することだ。日本のジャーナリストは情報を権力者とシェアすることを選んでいるように見える。我々とは哲学が違う」と言われたことだ。

 

今回の問題は、子どもに対する性犯罪を犯したジャニー喜多川という個人の問題だけでなく、それを知りながら放置してきたジャニーズ事務所という組織の問題、またうすうす知っていながら黙殺し続けてきた日本の報道機関の問題、また一般社会の無関心という問題が大きいだろう。

 

先日のジャニーズ事務所の会見を見ていると、彼らの関心事は会社の存続、そしてファンの人々が離れないかどうか、まずそこにあるのではないかという印象を持った。被害者救済を最優先事項にすることは当然、次に大切なのはこの事件が社会にどういう影響を与えたのか、事務所の今後の対応が社会正義という観点からどのようにプランされていくのか、そういう視点が欠落しているように見えた。

 

また日本のメディアは、特にテレビと言う媒体は一般社会に大きな影響を与えるという自覚をしっかりと持って、ジャーナリストとしての矜持を保って報道に臨んでもらいたいと強く思うのである。

 

元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏がこう言っている。

「他局よりも有利になりたいがためにジャニーズ事務所に便宜を図っていたのは明らかで、以前から性加害の噂はあったわけですし、仕事をエサにした性加害に加担したテレビ局の責任は免れないと思います。“報じなかったこと”を問うのではなく、メディアは“協力者としての責任”を果たしていくべき。」

 

メディア内部の人間として、鎮目氏も自分ごととして反省してほしい。

 

この事件に関して、一般社会のメディアに対する目は厳しいのだ。ネットニュースには以下のようなコメントがつけられている…。

 

 ・日本のテレビ局の幹部らは、今すぐ自分の名刺にこう刷るべきだろう。「弱きを挫き、強きを助ける」。

 

 ・テレビ局に対して長きにわたって娯楽を提供してきたジャニー喜多川という男が、世界最悪級の連続児童性加害者の1人であったということに対して、日本のジャーナリズムはことごとく「無力」だった。人的、財務的、物質的資源が豊富にあるにもかかわらず。

 

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一方2004年には最高裁まで持ち込んでジャニー喜多川氏の未成年に対する性加害が認定されたという事実を見れば、日本の司法の関与のありかたにも疑問を持たざるをえない。 たとえ時効というハードルがあっても児童に対する性虐待という重大な犯罪が行われたことに対してもっと取るべき方法はあったのではないか。当時の報道関係者の黙殺も含め、司法がもっと踏み込んでいれば、裁判の後もジャニー喜多川による性加害による多くの被害者を生み出すこともなかったと思うのである。

 

下は英国で起きた類似の事件に対する警察の関与である。 犯人の死後であっても、このように警察が事件を詳細に検証し、被害者の救済になっている良い例である。

 

ジミー・サヴィルという芸能人が何十年にもわたり、多くの子どもたちに性加害をくわえていたというのである。

 

ジミー・サヴィル

 

こちらは企業ぐるみで隠ぺいしていたというわけではないが、中・高年の男性が10歳にもみたない男児、女児に手を出していたという点ではそっくりである。ジャニー喜多川も80歳を超えてまだ少年に加害を続けていた。お爺さんだから安全、と言うことはないのである…。

 

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著名な芸能人、ジミー・サヴィルはBBCなどで子ども番組の司会などをつとめ国民的人気を集めていた。彼は障害児支援などの慈善事業も積極的に行っていた。その功績が認められ、ナイトの称号も与えられていたが、ジャニー喜多川と同じように、死んでから子供への性加害被害者たちが声を上げ始め、イギリス国内に衝撃が走った。

 

被害者の多くは女児だったが、少年もターゲットにされていた。その一人、ケヴィン・クックさんは9歳の時、彼のテレビ番組の楽屋の中で二人にされ、サヴィルの性器を口の中に押し込まれたという。彼はもがいて泣いたが、永遠に続くと思うぐらい長く感じたそうである。性加害のあと、サヴィルは「誰もお前のいう事なんか信じない。だからこのことは誰にも言うなよ。お前の住んでいるところは分かっているんだからな」と脅したという。クック氏はその後何十年もその恐怖に苦しめられ、自分自身を責め続けたという。

 

2011年にサヴィルが死去、クック氏ら被害者たちは一斉に声を上げ始めたという。その声に押され、イギリスの警察当局は大規模な操作を開始。約450人の被害者を聴取、サヴィルがレイプなど200件以上の性犯罪を行っていたと認定し「イギリスで最も多くの罪を犯した性犯罪者のうちの一人」と断じた。

 

当時調査の陣頭指揮をとった元警察官は「それまで警察は『適切に捜査しない』という失敗を犯していたのかもしれません。しかし、捜査によって、『社会正義がある』ということを被害者に伝えようとしたのです。それこそが非常に重要です。被害者たちは自分たちの声に耳を傾けてもらえたことをとても喜んでいました」 加害者が死亡しているにもかかわらず、進められた警察の捜査。彼は、日本について次のように指摘した。「(日本の警察には)この事件を真剣に受け止めてほしい。『彼が死んでいるから起訴できない』ということにとらわれず、社会正義の観点から考えてほしい

 

また被害者のひとりの女性は、たとえ加害者が死亡している場合でも警察による捜査が必要だと訴えている。「イギリスの警察ができるなら、日本の警察にもできるはず。被害を受けた人たちを救済して、正義をもたらしてほしい」  

 

日本でも、「ジャニーズ性加害問題 当事者の会」が刑事告発を検討していると明らかにしていいる。性犯罪に詳しい弁護士は、ジャニーが死亡していても捜査が行われることに意義はあると話す。 

 

「こういう形で世間に取り沙汰されている中で、きちんと声を上げれば警察も動いてくれるんだということを社会に知らしめる。そういう社会的意義は、特に今回に関しては出てくると思う」 

 

 

イギリス名物司会者の性加害 加害者死亡も…被害者の声で“異例の捜査”「社会正義の観点から考えて」(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

 

 

 

このビデオを見ても、もう中年や高齢になった被害者が語っていても同情を得ることは難しいかもしれないが、被害を受けた時は8歳や9歳、あるいは12歳の小学生だったりするのだ。自分を守るすべのない子どもを相手の性搾取は卑劣極まりない犯罪なのである。

 

被害者のジュニア当時の写真。これを見れば、まだほんの子どもたちが、権力を持つジャニー喜多川に逆らうことはほぼ不可能だろうということが実感できる。

 

 

二本樹さんのジュニアのころ。 ジャニーから性加害を受けて後の彼は、うつ病に悩んだりして人生に大きな悪影響を受けた。

 

二本樹顕理のWiki経歴!ジャニーズJr.時代の同期は嵐や関ジャニ!若い頃の画像も - marymaga

 

 

 

被害者の会の会見で、ジャニーズ事務所の会見に際し、厳しい意見を述べる中村一也さん。

 

 

ジュニア時代の中村さん。

 

 

彼は、政府の聞き取りでも「男性専用の被害者ホットライン」の新設などを盛り込んだ「緊急対策パッケージ」について、「ホットラインに電話をして打ち明ける勇気を出すこと自体が難しい」など、被害者の立場から有意義な意見を述べている。

 

元ジャニーズJr.中村一也さん「自ら告白は難しい」「実情が分かってない」国会で証言 政府緊急対策に厳しく指摘(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

 

 

また、当事者の会では、事務所に対してもメディアに対しても一番厳しい姿勢をとったメンバー、元「少年忍者」の志賀泰伸氏は数少ないメジャーデビュー組で、4月以降、性被害を実名で告白した元ジャニーズJr.たちに対して「デビューできなかった腹いせじゃないか」「売名行為ではないか」などの誹謗中傷が寄せられているのを目にし、自分のことのように心を痛めていたという。

 

 

 

一番右が少年忍者の頃の志賀さん。まだほんの子どもだということが分かる。

 

 

 

同じく当事者の会の大島幸弘氏は「性加害を受けた後、ジャニー氏に渡された5万円の領収書を書かされた」と訴えている。一番右が大島氏。

 


 

 

 

ジュニアの頃の大島氏。まだほんの子どもだ。

 

 

 

 

10代前半、あるいはもっと若いころにジャニーズのタレントに憧れて事務所の門をたたいた子どもたちが、まさに「プレデター」であるジャニー喜多川によって「捕食」されてきた事実を、「デビューしたいから我慢したなら自分の責任」「お金をもらってたんでしょ」と言って誹謗中傷する人たちは、彼らがジュニアに入った頃の写真をみても同じことが言えるだろうか。

 

 

ジャニー喜多川の性加害が問題になり始めていたころ、私がBBCのドキュメンタリー動画を紹介した時には、被害者が嘘をついている、売名行為だ、といったコメントを寄せてきた人がいた。

 

いま、被害者のクレームは嘘ではなかったと認定され、次なる誹謗中傷は「お金が欲しいんだろう」、あるいは「なぜ当時ちゃんと訴えなかった、いまさら」というものだ。

 

子どもが性犯罪にあった場合、まず何をされたか理解できていない場合が多い。 また証拠(動画、写真、体液など)を提出することはほぼ不可能。ジャニーのように加害のあと子どもにシャワーを浴びさせたりして証拠隠滅を図る犯人も多い。被害届が受理されなければ記録も残らないが、警察が動かないから報道しないという姿勢でいれば、加害者はつけあがるのみである。物証を出せという誹謗中傷もあるが、そうしてしまえば性犯罪の場合ほとんどが泣き寝入りになるだろう。

 

被害を訴えている今は成人し、あるいは初老の人もいる。子どもの頃の状況を想像できない人たちからのセカンドレイプは彼らを著しく傷つける。

 

しかし写真を見れば一目瞭然、被害を受けた時には子どもに過ぎないのである。 こんな子どもたちが自分の将来の明暗を分けるといって先輩からも「我慢しろ」(この場合、共犯ともいえる)と言われてきている性被害について、だれに訴えて出ることができるだろうか。 親にだって話せない。 

 

前述した服部吉次氏も親に話せなかったことを未だに後悔しているというが、それほど難しいことなのだ。被害者が罪悪感を共有させられ、犯罪にあったことを恥と思わされているからだ。

 

「親が亡くなったから証言します」と言った当事者の会のメンバーの言葉を聞けば、英国の「お前の住所はわかっているんだ」というジミー・サヴィルの脅しを恐れた被害者と重なるではないか。 子どもだった当時の被害者の心情を思えば、胸がふさがる思いがする。

 

その恐怖が、大人になっても続くのが子どもに対する性加害の呪縛なのだ。 


「イギリスの警察ができるなら、日本の警察にもできるはずです。被害を受けた人たちを救済して、正義をもたらしてほしいです」

 

という被害者女性の言葉を重く受け止めたい。

 

 

まったく告発されなかったわけでもなく、北公次さんをはじめとする暴露本も複数回出され、最高裁まで上がった裁判でもジャニーの性加害が認められていたこの犯罪がこれまで問題にならなかった、警察も動こうとしなかったのは、統一教会のように、政治家が守ってきた可能性もある、と話している人もいる。 

 

ジャニー喜多川氏の葬儀には、安倍元総理が弔電を寄せたそうである。 ジャニーもメリーも、政財界に太いコネクションを持っていたようだ。 社内のスタッフまでがジュニアの少年たちに性加害をくわえていたことが特別チームの報告書に載っている。 あるいは組織外の権力者が共犯的な位置にいた可能性も100%否定はできないところが、恐ろしい部分である…。

 

以下の記事を読んでほしい。

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(一部抜粋)

 

「政治の責任」も問わなければならない。

 

「ジャニーさんへのエンターテインメントへの熱い思い、託したバトンは、必ずやジュリーさん、滝沢さんをはじめ、次の時代を担うジャニーズのみなさまへと、しっかりと受け継がれていくと私は確信しております」

 

これは、2019年9月に東京ドームで行われた喜多川のお別れ会で代読された、安倍晋三首相(当時)の弔辞の一節だ。

 

安倍氏もまた、ジャニーズ事務所を徹底的に政治利用してきた。

 

2018年末には、福島復興を支援してきたTOKIOのメンバーと首相官邸内で懇談し、2019年5月には行きつけのピザ店で会食している。

 

翌月のG20大阪サミットの開幕前日には、首脳会談の合間をぬって、関ジャニ∞の村上信五のインタビューを受け、2020年の元日にはラジオの新春番組でV6の岡田准一と対談。

 

2019年11月には、嵐の東京ドームのコンサートに足を運び、ステージ裏でメンバーと面会している。この数日前には、嵐が天皇即位を祝う「国民祭典」で奉祝曲を披露していた。

 

そもそも安倍長期政権の時代は、ジャニーズタレントの「報道進出」の時期と重なる。日本テレビでキャスターを務める桜井翔をはじめ、同じく日テレ系「news every.」のキャスターに小山慶一郎が、TBSのMCには国分太一が抜擢された。

 

現在でも「サンデーLIVE!!」(テレビ朝日)に東山紀之が、「シューイチ」(日テレ系)に中丸雄一が出演と、所属タレントが政治を扱う報道・情報番組に出演中だ。

 

要は、安倍氏のジャニーズ接近は、民放の政権批判を封じ込めようとする狙いもあったかもしれないのだ。

 

安倍政権もジャニタレを徹底利用。政治家に問われるジャニー喜多川「性加害」ダンマリの重大責任 - まぐまぐニュース! (mag2.com)

 

 

安倍氏は弔電でこうも言っている。

 

タレントの皆さん一人ひとりと、人間として向き合い、育みながら、その新たな挑戦を後押ししてきました。今や、歌や演劇のみならず、映画、ドラマ、バラエティ、報道・情報番組などタレントの方々の活躍の幅は、単なる「アイドル」といった枠を超え、大きく拡大しています。すべては、ジャニーさんという稀代のプロデューサーの存在なくしてはあり得なかったことだと思います。」

 

そうだろうか。 本当にジュニアの子どもたち一人ひとりと人間として向き合ったのなら、自分の性欲を満たすための道具のように扱ったりはしなかっただろうし、性加害を受け入れなかった子どもたちにチャンスを与えないようなことをしなかっただろう。 ジャニー氏、メリー氏と近しかったという安倍氏の言葉の軽さが残念である。

 

 

 

以下の記事では安倍氏がジャニーズのタレントを政治利用することで、被害者に絶望を与えてきたと指摘。その構図は、統一教会と与党政治家、とくに安倍元首相との癒着が統一教会被害者に絶望を与えてきたものとよく似ている。

 

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 ■被害者に「時の為政者まで黙殺」と絶望を与え…  

 

04年には週刊文春との裁判で、ジャニー氏の性暴力を真実と認める判決が確定した。  それを知ってか知らずか、安倍氏はジャニーズ人気にあやかり、事務所側も政権にスリ寄ることで「権威付け」に利用する“共犯関係”を築き上げたのだ。 

 

「政治利用されたタレントに罪はありませんが、いわゆる『身体検査』そっちのけ、過去にたびたび浮上した性加害疑惑に見て見ぬふりを決め込んだ安倍元首相の責任は重い。ジャニーズとの蜜月は、性被害の当事者にはどう映ったことか。メディアだけでなく、時の為政者まで黙殺するのかと感じ、ますます声を上げてもムダに思え、絶望したのは想像に難くない。

 

本来なら政治が救うべき人々を見捨てたも同然です。アベ政治を引き継ぐ今の政権・与党にはその贖罪の責任がある。被害者救済に積極的に関与し、自浄能力を発揮すべきです」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)  

 

安倍元首相もジャニーズ性加害を“見て見ぬふり”…「蜜月」をとことん政治利用した罪(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース

 

 

これまでジャニー喜多川の性犯罪について、政治がまったく関与しようとしてこなかった理由の一つがこんなところにもあるかもしれない。

 

国連人権理事会の専門家が「政府や、被害者たちと関係した企業に対策を講じる気配がなかった」と指摘、その上で、芸能界をはじめ日本の全企業が被害者救済や虐待への適切な対応をとるよう、政府の主体的な取り組みを促したことを忘れてはならない。

 

 

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以下、ジャニーの性加害の経緯と、海外のジャーナリストがどのように報道しているかのサマリーをご紹介する。

 

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ジャニーズ性加害の主な経緯

 

■1965~67年
「初代ジャニーズ」メンバーも所属した芸能学校での、ジャニー喜多川氏による少年へのわいせつ行為を、一部週刊誌が報道

 

■1988年
フォーリーブスのメンバーだった北公次さんが、著書で喜多川氏の性行為強要に言及

 

■1999年
週刊文春が喜多川氏によるジャニーズ事務所所属の少年へのわいせつ行為などを報じる

 

■2003年
週刊文春の記事をめぐり、事務所などが起こした訴訟で、東京高裁がセクハラ行為の真実性を認める。翌年確定

 

■2019年
喜多川氏が死去

 

■2023年
3月
英BBCが喜多川氏の性加害を報道。以降、元所属タレントらの告発が相次ぐ

 

5月
事務所の藤島ジュリー景子社長が動画と文書で謝罪

 

8月4日
国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会はが、日本政府に被害者救済を要請

 

8月29日
事務所が設置した再発防止特別チームが調査結果と提言を発表

 

再発防止特別チームは、「マスメディアの沈黙」という言葉を使い、マスメディアが性加害を知りながら、メディアが正面から報道しなかったと指弾する。

 

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東洋経済では仏フィガロ紙、『フランス・ジャポン・エコー』の編集長、レジス・アルノー氏の記事を掲載。一部抜粋サマライズします。

 

すぐにヘリコプターを飛ばすだけの財力のある日本のテレビ局は、ジャニー喜多川の取材に金を使おうとしないが、一方で温泉の水を6か月入れ替えなかった経営者を大衆がネットリンチして自死に追いやるまで報道した。また寿司テロリストの報道にも言及し、半世紀にわたって子どもに性犯罪を行ってきた事件と比べ、いったいどちらに報道の価値があるかと問いかけた。日本のメディアはバックのない弱いものばかりを過剰に報道する、と批判している。

 

メディアは不倫をした有名人を容赦なく攻撃する。それなのに、有名人が何百人もの子どもに対して性加害したことはスルーするのか。発展途上国においては報道の自由が保障されていないために、自国の出来事を理解するには先進国のメディアに頼らざるを得ないことが多いが、日本でもBBCドキュメンタリーがジャニー喜多川の行為を暴露報道して初めて多くの人が実態を把握した。

 

今回、再発防止特別チームの報告で、下は8歳から14-5歳の少年たちが性的虐待を受けていたことが認定されたが、「喜多川システム」が完全に解明されることはなかった。誰が彼に少年たちを提供したのか?誰が被害者を黙らせたのか?メディア業界でこれを知っていて報じずに無視したのは誰なのか?子どもたちの魂が殺され、夢が打ち砕かれたのに国民全体がみて見ぬふりをできたのはなぜか?これらの疑問は未解決のままだ。

 

英国のジミー・サヴィルは喜多川とほぼ同時期に何百人もの子どもに性的暴行を加えた。2022年のガーディアン紙では、元BBC記者がサヴィルの疑惑に対し、英国メディアと権力が消極的だったことを認めている。

 

「本当の物語は、彼の被害者たち。そしてBBC、保健省、保守党、カトリック教会、警察、地方議会、名誉毀損法がいかに被害者らを失望させたかである。(中略)政治、王室、放送、教会、医療、慈善など、イギリスの体制がまばゆいばかりの盾を彼に提供した怪物だったのだ」。同じことが、今日の日本のメディアや社会全体にも言える。

 

日本でも勇敢に暴露を試みた人々、そして雑誌の評判と財務をリスクしても喜多川の行為を報じ続けた週刊文春というメディアがあった。この時の文春の報道や日本のメディアの姿勢を米国のニューヨーク・タイムズ紙が報じていた。同紙は2000年1月30日の記事で文春の報道にも関わらず、日本のメディアが同件を扱わない理由を報じている。 同記事では日本の芸能記者が、「ジャニーズ事務所に従わないと、ジャニーズの人気タレントを番組に出させてもらえず、バラエティ番組の視聴率が下がる」「出版社も同じだ」と語っている。

 

また、同記事ではニューヨーク・タイムズ紙の記者が、文春の記者帯同のもと、被害を訴える1人のほか、喜多川の弁護士、矢田次男にも取材(ジャニー喜多川にも取材依頼をしたが断られている)。この時矢田は、依頼人に対する性的虐待疑惑は「完全なでっち上げ」であり、「ジャニー喜多川氏は素晴らしい評判を持つ善良な人物であり、誰も掲載された嘘を信じていない」と語っている。

 

またニューヨーク・タイムズ紙は同年4月1日に、自民党の阪上善秀議員(当時)が、「少年問題に関する特別委員会」で喜多川に関する性的虐待に対して厚生労働省などに意見を求めたことを報じている。 同紙によれば、阪上議員が「児童から信頼を受け、児童に対して一定の権力を持っている人物が、その児童に対して性的な行為を強要する。もしこれが事実とすれば、これは児童虐待に当たるのではないか」と質問したのに対して、厚労省の担当者は「性的な行為を強要した人物がこの手引き(「子ども虐待対応の手引き」)に言う親または親にかわる保護者などに該当するわけではないので、手引で言うところの児童虐待には当たらないというふうに考えている」と回答している。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は阪上議員が本件を取り上げたことについて「主要メディアがこの特別委員会や調査について取り上げるか定かでない中でのギャンブル」と書いている。「この委員会がメディアで取り上げられることは、小渕首相(当時)の心臓麻痺よりショッキングなことだろう」。

 

サヴィルの場合、彼の死後に疑惑が浮上すると、イギリスメディアは複数のドキュメンタリー番組を制作した。当局の対応については、ロンドン警視庁(MPS)が小児性愛者や重大犯罪捜査の経験を持つ警官30人を動員し、児童保護チャリティーの大手NSPCC(全英児童虐待防止協会)と連携して、独立した透明性の高い報告書を発表した。

 

サヴィルが死んだ以上、彼に対する刑事訴追は不可能であり、被害者の証言は法廷で争うことができない。しかし、MPSとNSPCCが共同報告書を公開したのはこのような刑事訴訟の欠如と被害者のための正義の欠如があったため、と報告書では示した。

 

報告書はサヴィルが単独で犯した犯罪、サヴィルの周囲の人々が関与した犯罪、サヴィルに関する公表の結果、名乗り出た人々への犯罪という3つの柱に焦点を当てた。1955年から2009年までの犯罪が報告された。名乗り出た600人の被害者の年齢層は、8歳から47歳(虐待当時)であった。日本の報告書では、被害を名乗り出たのは23人だったという。

 

日本のメディアはイギリスのメディアのように責任を取らない。テレビ局はチャットGPTを使って声明を書いているのだろうか? 報告書が出された翌日、各局は同時に同じような薄い水割りのような空文を発表した。

 

「私を含むマスメディアが、特に最初に本が出た時、被害者の訴えについてかなり前からきちんと調査をしていれば、他の少年の性的被害を予防できたかもしれない」と、2000年にニューヨーク・タイムズ紙にコメントしている前述の芸能記者は語っている。今から23年の前ことである。

 

今に至っても薄っぺらな反応しか示さないことで、日本のテレビ局はジャニー喜多川のような人物を守る沈黙の陰謀に加担しているのだ。ここでメディアが変われない限り、日本の芸能界が、彼のような怪物にとって理想的な遊び場であり続けることは間違いない。

 

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海外記者が見た「日本のジャニーズ報道の異常さ」 「弱きを挫き、強きを助ける」歪みまくった構造 | メディア業界 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

 

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BBCニュース

Jポップ事務所の社長、「捕食者」の性虐待により、辞職

 

日本で最大の芸能事務所の社長、藤島ジュリー氏が、創業者の故ジャニー喜多川による性的虐待をついに認めた。自身の叔父の被害者に公的な謝罪を述べて、木曜日に辞職をしたのだ。 60年にわたり、所属の少年タレントたちに性的加害を行ってきた事件の調査を行った再発防止特別チームの報告書から1週間だった。

BBCドキュメンタリーが今年放映されたことで、告発を行う被害者が増加した。2019年に死亡したジャニー喜多川は、自分の悪行を認めたことはなかった。死ぬまで罪を償うことはなかったのだ。 木曜日に、彼の姪であり代表取締役だった藤島氏は、初めて彼の虐待を認め、「被害者の方には心よりお詫び申し上げます」と述べた。

会見では「当事者の会」のメンバーの様子も映されていたが、何人かは明らかに怒りの表情を浮かべていた。「彼女の謝罪は誠実だったと思うが、まだまだ道は長い」と話した。「原稿を読むこともなく、自分の言葉で救済や補償について話してくれたが、これでもまだ10%しか心は楽にならない」と話すメンバーもいた。
 

このスキャンダルは日本の芸能界にとって、ハリウッドでレイプや性虐待をおかしたハ―ヴェイ・ワインスタインに匹敵する規模であり衝撃と言える。 喜多川は日本のエンタメ界で一番パワーを持つ人物と言われていた。彼の事務所は長いこと少年たちにとってスターダムを駆け上がる登竜門と言われていた。被害者の何人かはBBCの番組で、喜多川の性的要求に応えなければ、芸能人としてのキャリヤが滅ぼされると思っていたと話している。

 

Johnny Kitagawa: J-pop agency boss resigns over predator's abuse - BBC News

 

BBCニュース

ジャニー喜多川:Jポップ事務所の新社長、東山にも虐待の疑惑が

 

創業者、故ジャニー喜多川による多数の性虐待告発によって汚名を着せられたジャニーズ事務所の新社長にも、少年たちへの性的虐待の疑惑がもたれている。

 

喜多川の姪が辞任した後任に任命された東山紀之氏は、それに関して「そんなことがあったかもしれないし、なかったかもしれない、よく思い出せない」と話している。彼は(ジャニーの)被害者たちへの補償と救済を行う事務所を引っ張って行かなくてはならない立場だ。

 

しかし、会見で東山氏はこれまでに出版された本に書かれた後輩に対するイジメや性虐待の詳細を言及され、本当かどうかを問われた。若気のいたりで、今の自分だったらしないことを20歳の自分はしていたかもしれない、と彼は答えた。

 

ジャニーズ事務所では一番キャリアのながいタレントの一人である東山氏の社長任命という人事には、ネット上で批判的な意見を表す人々も多い。

 

失われた信頼を取り戻すには時間がかかる、と東山新社長は述べ、自分は性加害を受けてはいない。ウワサは聞いていたが当時は何もできなかったとも話した。

会見後、被害者の一人のカウアン・オカモト氏は、この件で一番傷ついているのは母親だと話した。「母は僕がどのような目にあったかを何度も何度も聞かなくてはならない。母には話せないこともたくさんあるけれど、彼女にこのような思いをさらにさせたくはないから。」

オカモトは、東山新社長に関しては「誰もやりたくない仕事を引き受けたのは勇敢だ」、また「ジャニーがしたことを憎んではいるが、音楽の世界を見せてくれたことには感謝している」とも話した。

 

ジャニーズ事務所は少年たちにとってスターへの登竜門だったが、今では性の捕食者(セクシュアル・プレデター)の汚名を冠するようになった。

ジャニーズの名前はそのまま使う、と東山氏は会見で話したが、ネットでは「皆に色眼鏡でみられるような名前をなぜ使う?」という声も。

何十年も喜多川の性加害は「公然の秘密」だったにも関わらず、日本の主流メディアはこれをまったく報じてこなかった。が、3月にBBCがこれを取り上げたことが全国で話題になり、より多くの被害者が告発するきっかけになった。そこから調査報告、そして社長の辞任への提言がなされたのである。


元社長のジュリー氏は、事務所内のジャニーの権力が強すぎて、彼女を含め他の人間は黙認するしかなかった、と話した。

 

ジャニーズ事務所はまたメディアにも大きな権力を持ち、ジャニーズのタレントに依存しているエンタメ界は忖度をしていた。

 

Johnny Kitagawa: J-pop agency's new boss Higashiyama also faces abuse allegations - BBC News

 

 

ガーディアン:

ジャニー喜多川のJポップ事務所の社長、性虐待醜聞が原因で辞職

 

日本の芸能界最大のボーイバンド事務所の社長が、その創業者、故ジャニー喜多川による事務所所属の少年タレントたちへの性的虐待を、初めて認めた。

 

2019年に87歳で死亡した日本の芸能界で最も権力のあった男、ジャニー喜多川は、少年に対する数々の性的加害を疑われていたが、被害者が自分のキャリアが滅ぼされることを恐れて告発をしなかったため、罪を問われることがなかった。

 

木曜日、彼の姪でありジャニーズ事務所の元社長、ジュリー・藤島氏は、彼の生存中にしかるべき手段を取らなかったことを謝罪し、被害者への補償を約束することで事務所の評価を落とさないように必死であった。彼女はこの日辞任することを発表した。

 

後任には事務所のタレントとして長期活動してきた俳優・歌手の東山紀之氏が着任する。「自分の人生をかけて、失われた信用を取り戻し、この問題に取り組む」と話した。

 

(中略)

 

再発防止チームは藤島社長が喜多川の犯罪を知りながらなんの対策も取らずに来たこと、喜多川の性加害が無かったように扱ってきたことを理由に、辞任を提言した。藤島氏は5月に謝罪をした時も、叔父の犯罪については知らなかった、と話したのである。

 

報告書には41人の被害者からの「生々しい」被害の様子が示されていた。多くの被害者はトラウマを持ち、「初めての体験に何が起きているのかわからなかった。翌日お金を渡され、自分が汚いもののように感じた」と話した。

 

(中略)

 

喜多川はSMAPや嵐などという東アジア地域に人気の高いグループをプロデュースし、ピーク時にはテレビで何十もの番組やCMをクライアントに持っていた。

何年にもわたり、彼は性虐待の疑惑を持たれていたが、日本の主流の新聞やテレビはそれを報道することは無かった。ジャニーズ事務所のスターを回してもらえなくなると若い視聴者を失うと考えていたのだ。

1999年から2004年まで続いた週刊文春との名誉棄損の裁判では、高裁、最高裁でジャニーの性加害が認定されたが、彼はその犯罪に対し訴訟を起こされることは無かった。

国連人権理事会が7月に訪日し行った聴き取り調査の結果、数百人の所属タレントが性的被害を受けたという「大変に憂慮すべき申し立てがあった」と述べた。

 

Head of Johnny Kitagawa’s J-pop agency resigns over sexual abuse scandal | Japan | The Guardian

 

 

 

特別チームの報告書の会見、そしてジャニーズ事務所の会見、さらに「当事者の会」の会見。一連の会見が終了し、ジャニーズファンはどのように感じているのだろうか。大阪のジャニーズショップに集うファンたちにFNNが取材をしている。


 - (ジャニーズの名前を)自分は変えてはほしくないな。「ジャニーズ」って名前がグループ名に使われているところあるので、できればジャニーズのままでいてほしいと思いますね


 - 新しくなって、今がんばってるグループの子たちがちゃんと守られて、今まで通り活動できるようにしてあげてほしいな

 - もう何も隠さず、ファンとか活躍しているアーティストが安心できるような事務所作りをしてほしいと思いますね

関西テレビ 加藤解説デスク:
やはりファンのみなさんが口をそろえて言うのが、今いるタレントやジャニーズジュニアの方たちが、活動しやすい、安心して活動できる環境を作ってほしいということでした。

会見の中で東山新社長がジャニー喜多川氏について、「誰も幸せにしなかった」と言っていましたが、「ファンの私たちは幸せにしてもらったし、楽しい思いもさせてもらったから、今後も楽しい活動を見続けていきたいから、がんばってほしい」という声があった。

 

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会見をファンはどう見た?「私たちは幸せにしてもらった」「ジャニーズの看板が残るのは足かせになるのは…」という声も…"性加害"問題|FNNプライムオンライン

 

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上記のネットニュースには以下のようなコメントがついている。

 

 - ファンは幸せにしてもらったかもしれないが、その何倍も不幸になった当事者がいたという事実がある。

 

 - 酷なことを言いますが、その幸せは子どもたちの悲鳴と被害を礎にして築かれたものだと言うことです。

 

 - 犠牲になった人が居て幸せにしてもらったはやっぱりいかんと思います。

 

 - 私たちはしあわせにしてもらった。多くの犠牲の上に。それでしあわせですか?

 

 - 性虐待って「心の殺人」っていうよね?ジャニーズって名前は、「ジャニー喜多川」の名前であり、1000人の児童の「心を殺した殺人者の名前」であることを、忘れることはできないよ。ジャニーズファンは、自分の推しさえ良ければ、この性犯罪を容認できると言うことか。寒気がするくらい異常に感じる。

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「推し活」に励む若いファンなら「推し」にこれまでと同じに活躍してほしいと思うだろうことは理解できるが、あまりにも目が自分たちの楽しみと自分の「推し」に向き過ぎており、社会正義と言う点に無関心すぎる。児童に対する性加害を黙認してきた企業、そしてそれを知りながらその企業に所属し続けているタレントに対して、世間の目はこれからますます厳しくなるだろうことを理解していないかに見える。

 

今所属しているジャニーズのタレントのためには、第三者的プロが入ってマネジメントを行い、名称も替えてすべてを刷新し、ジャニーズの名前を冠した会社は被害者補償と救済に専念するか、まったく独立した別の芸能事務所にタレントが散り散りに移籍をした方が良いだろう。今のジャニーズの名前と体制を残したままで、なるべくこれまでと同じようにというのがファンの希望だろうが。

 

先日のジャニーズ事務所の会見を見ていると、新旧社長らの目もこういったファンの方にまず向いており、彼らの希望はこういったファンと同じようなところ、つまり「今後も楽しい活動を所属タレントが続けていけたら」というところだろうという印象を持ったことは否めない。児童に対する性犯罪に対し世間はそんなに甘くないだろうし、甘くあってはいけない。

 

ファンの中にはすぐに署名を集め始めて、この件に関しジャニーズ事務所に調査を求めた人たちもいる。彼女たちは本当の意味で所属タレントの安全と幸せを願うファンだということは忘れてはいけない。

 

一方、「推し」の活躍を見たいあまりのファンたちの中から、声を上げている被害者に対し「もう黙れ」と言わんばかりの誹謗中傷を行ういわゆる狂信的な「ジャニオタ」がこれ以上生まれてこないことを祈るしかない。それは被害者の尊厳を踏みにじる二次的加害であり、加害に当たるネット投稿を正当な批判と思い込むことは間違いだということを、今後ジャニーズ事務所はファンに対して明確にしていく義務がある。

 

告発している当事者たちが、ジャニーによる過去の性的被害の上に、今度は狂信的ジャニオタによる二次加害に苦しむようなことを、ジャニーズ事務所は今度は黙認してはならない。被害者への誹謗中傷に対する法的措置はジャニーズ事務所が弁護士を雇い、積極的に行うようにしてもらいたい。

 

そして、被害者救済や補償に関しては、被害者を蚊帳の外に置いて加害者側が勝手に決めるという理不尽を避け、被害者に寄り添い被害者の要望を聞き届ける形で、こういった問題に専門知識を持つ第三者にも介入してもらって行うべきである。