”宗教に害された人々” | ロンドンつれづれ

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阿部元首相殺害の加害者である山上容疑者が、事件を起こした動機として挙げているのが、「ある宗教団体」である。

 

その宗教団体は昨日の午後に緊急会見を開いたので、もう名前を挙げても良いと思うが、かつて「統一教会」と呼ばれていた、世界平和統一家庭連合という、韓国の宗教団体である。

 

安倍元総理や、自民党の複数の政治家が、この「統一教会」とかかわりが深いということは、結構知られており、昨年の9月にも共産党機関紙の「赤旗」はじめ複数のメディアが、この宗教団体に安倍氏が祝福のビデオメッセージを寄せている、と報道していた。

 

旧統一協会系集会にメッセージ/安倍前首相「総裁に敬意」/宣伝利用で霊感商法被害拡大の恐れ (jcp.or.jp)

 

 

安倍晋三が「統一教会」イベントでトランプと共演! 前総理としてカルトの総裁を絶賛、同性婚や夫婦別姓を「偏った価値観」と攻撃 (2021年9月14日) - エキサイトニュース (excite.co.jp)

 

 

安倍氏が旧統一教会系イベントにメッセージ 過去には合同結婚式に祝電|NEWSポストセブン (news-postseven.com)

 

 

世界平和統一家庭連合の記者会見では、献金については、「警察の捜査中云々…」と言って明らかにしなかった。また、安倍氏とのかかわりに関しても、同系列の他の組織というような言い方をして、あいまいにしていた。だが総裁は同じ人物のようだから、(容疑者は)混同したのだろうというような言い訳だった。が、山上容疑者の母親は確かに自組織の会員だということである。そして、経済的に困窮していたことは把握していた、と。しかし、彼女からのお布施や寄付金を徴収したという「記録は残っていません」と、これまたあいまいにしてお茶をにごしていた。

旧統一教会 安倍元首相の銃撃事件で11日に会見「山上容疑者の母親が信者なのは間違いない」 | 東スポの社会に関するニュースを掲載 (tokyo-sports.co.jp)

 

“統一教会”記者会見 山上容疑者の母親について“経済的に破綻していたことは知っている”(日テレNEWS) - goo ニュース

 

それにしても、なぜ安倍首相は「統一教会」系列の集会に「総裁に敬意」などというメッセージを送ったりしたのだろうか。 元首相という地位の政治家が、いったい「統一教会」とどのような繋がりがあり、あるは誰に頼まれてビデオメッセージを送ったのだろうか。 昨年の9月当時、統一教会のPR紙であるワシントン・タイムズ紙から頼まれて、という情報も読んだ記憶がある。

 

ワシントン・タイムズ紙は、創価学会でいったら「聖教新聞」のようなものである。そして、アメリカの大統領選挙の時にはトランプ氏に有利になるようにずい分と印象操作の強い記事を掲載していたのは記憶に新しい。(ウオーターゲイト事件をすっぱ抜いた辣腕記者がいるのは、ワシントン・ポスト紙。これらを混同している人が多いので要注意)

 

 

ところで、こういった報道を読む限り、「統一教会」と安倍元総理の間にかなり深いつながりがあるのでは、と私でさえ思うのだから、統一教会のせいで家庭崩壊したと恨んでいる山上容疑者が、単に「誤解」した、あるいは「勘違い」した、とするのは無理があるのではないだろうか。

 

 

もちろん、安倍氏が実際に「統一教会」と深いつながりがあったとしても、それを理由に殺人を犯しても良いという正当性は、まったく存在しない。

 

だが、オウム真理教の時も、そしてここ数年台頭してきている「陰謀論」を拡散するQアノン系の連中の問題も、カルトにハマったり、悪質なデマを信じ込まされた人々の取る異常な行動により悩まされる家族や身内の苦難は、かなり耐えがたいものであることはよくわかる。離婚や、親子の断絶にまで発展するのだ。

 

ましてや、母子家庭で暮らす家族の母親が新興宗教にのめり込み、生活費を使い込んで家庭崩壊を起こすようなことになっていたとしたら、本来人々の苦しみを救うべき宗教の役割を、「統一教会」は何ひとつ果たしていなかったことになる。「経済的困窮は把握していた」というわりには、この家族の救済には動いていなかった、ということだろうか。

 

困窮した人に、お布施や寄付を強要することはない、と言っていたが、「世界平和統一家庭うんぬん」という名前を付けた集団だったら、それだけでは足りないんじゃないか。信者の家庭の平和はどうなっているのか。 そして実際、母親がカルトに入れあげた挙句、子どもに食べるものも苦労するような生活を強いていたとしたら、何が世界平和統一家庭だ、と言わざるを得ない。

 

 

「統一教会」といえば、桜田淳子さんが合同結婚式を行って仰天した人は多い。その「統一教会」には長いこと、良くないうわさが付きまとっていることは、知っている人は多いのだが、そこに元首相と言う立場の政治家が関わっていた。そして実際に被害にあった家庭で育った子どもが、この新興宗教団体を恨んで殺人者になってしまった。 これは信者の家庭で起きた、深刻な被害である。 安倍氏も、山上容疑者も、被害者だと言えよう。

 

 

それを単に「犯人の個人的トラブルで逆恨みして、安倍氏が殺された」と結論付ける人々がいるようだが、それは少し違うのではないか、と思うのである。

 

オウムの時には、信者たちの家族が弁護士をつけて、自分の家族の「洗脳」を解こうとした。 

 

この統一教会という新興宗教にのめり込んでしまった信者の家族も、同じように感じているのではないだろうか。 山上容疑者を含め。

 

「統一教会」が信者が破産をしてしまうほどのお金をつぎ込むようなことを許している集団であれば、いくら権力を持った人たちにとって都合の悪い状況であろうとも、ジャーナリズムはしっかりそれを暴いて正すことが仕事ではないだろうか。オウムの時にはちゃんとやったではないか。

 

山上容疑者の同級生や、親族の言葉を聞くと、胸が痛むようだ。

 

 

 

【安倍元首相銃撃】山上徹也容疑者の高校の同級生が証言「応援団であだ名は『団長』、強くなりたい思い」|NEWSポストセブン (news-postseven.com)

 

 

下に、この件に関してのブログ友達の考察がある。 私が感じていたこととずい分重なるので、ご紹介したい。

 

 

 

 

そして、今日本がどちらの方向に向かっているのか、不気味な予感がしてならない…と言う人たちが少なくないことも忘れてはならない。

 

 

下に、ジャーナリストの青木理氏の言葉を抜粋する。

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昨年亡くなったノンフィクション作家の半藤一利さんと生前対談した際、半藤さんが「社会が戦争に向かう危険な兆候」をいくつか挙げていたのを思い出します。(1)被害者意識と反発が国民に煽られる、(2)言論が不自由になる、(3)教育が国粋主義に変わる、(4)監視体制が強化される、(5)ナショナリズムが強調される、そして(6)テロの実行が始まるーー。  

 

当時は重大テロなど起きていませんでしたが、その他の要素はかなり揃ってしまっているのではありませんか、と尋ねる私に、半藤さんはこう即答しました。「ええ、しかもそのスピードは戦前より速い」と。  

 

私もそうですが、昭和史の探索に生涯を捧げた半藤さんは、皮相なナショナリズムや排外的風潮が強まる昨今のこの国の政治を危ういものと捉え、強く憂いていました。今回はそうした風潮を煽る側だった元首相がテロの凶弾に襲われたわけですが、それはいったいなぜだったのか。現時点では判然とせず、犯行の動機や背景の解明を待つしかありませんが、少なくとも半藤さんのいう「危険な兆候」の最後のピースを埋めてしまうような結果につなげるわけにはいきません。