開会式… | ロンドンつれづれ

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私は今回のオリンピックには基本的に反対の立場なので、視聴率を上げるような行為はしないと決めている。 なので、たとえ英国で放映されているものも、ライブなどは見ない。

 

しかし、まったく見なければ、意見を言うこともできないので、開会式をBBCのネットサービスでザーッと観てみた。

 

オリンピックについても、開会式についても、いろんな人がいろんな意見を持っていいと思う。 そもそもオリンピック自体興味のない人もいれば、私のように世界がパンデミックに苦しんでいなければ喜んでみよう、という人もいるだろうし、世界がどんな状況だってスポーツの祭典が人の気分を高揚させるからOKという人もいるだろう。

 

イギリスではNPOなどのチャリティは年間の収支をしっかりオープンにして、一般人がウェブサイトなどからいくらでもチェックできるようになっているし、議員の収入や支出についても明細が公表されており、もちろん政府がどんなことにいくら使ったか、国民は調べればわかるようになっている。

 

が、日本ではなぜかそういうことがウヤムヤのままになっていることが多い。 今回、東京2020の開会式については165億円が使われているという報道が複数されているが、もしそれが本当だとしたら、私の感想は、コンセプトなどより先に「あの開会式のどこにそんな額のコストがかかっているのか」というのがまず第一である。 これは絶対にはっきりと説明をしてもらいたい部分だ。

 

 

ひとりひとりのパフォーマーや演技内容については、あまり多くを語るつもりはない。 彼らはそれぞれに一生懸命だったろうし、もしかしたら直前になって急に頼まれたりした人もいただろうから。 

 

 

しかし、次に気になったのは「いったい何を世界に見せたかったのだろうか?」という点である。

 

まず、そもそも招致の時に前面に押し出していた、「復興五輪」はどこへいってしまったのだろうか。 ちょっとだけ触れたけれども、あとはもうまったく見えない、というのが印象だ。 しかし、実際復興は思うように進んでいないのだから、これは仕方がないのかもしれない。 しかしあの時世界中が日本をサポートしてくれたことに対し、今ここまで来ているということはもうちょっと見せられたのではないだろうか。

 

そして、オリ・パラ開会式の常とう手段である自国の文化紹介である。 日本の文化を伝えようというのであれば、伝統芸能から現在のポップカルチャーに至るまで、よく理解できるような流れで見せていただろうか。 否である。 そしてゲーム音楽を紹介するというのなら、日本を代表する企業のものを漏れなく使うべきだったが、任天堂など一つも使われていない企業もあった。なぜ?

 

 

下に面白い情報がある。 4月に組織委員会は、週刊文春の4月8日号の発売中止と回収を求めたそうである。 なぜ? そこには、政治家の口利きリストが載っていたそうである。 詳細は下のツイッターの漫画を見ていただくこととして、電通がトップダウンで佐々木体制に決め、こんな感じで開会式にだれを使うかの人選が行われていたとは。

 

報道によると、森元会長が白鵬と市川海老蔵氏と開会式出演を要請し(襲名祝いにしてやってくれ)、小池都知事が「火消と木遣り(江戸消防記念会)」を演出に絶対入れてと主張、その他、いわゆる政治家がたくさん口を出し、佐々木氏がそれらの政治案件をさばいていたらしい。 そしてご存じのように辞任や解任になった面々やその他クリエーター・チームは、この佐々木氏の「お仲間」としてかき集められた人々である。

 

 

 

開会式は、外されたメンバーのものは使えないということであんな脈絡のないバラバラなものを並べたような形になったのかもしれない。 が、それにしても一貫したテーマがわからないまま、次から次へと手持ちのものを並べて見せただけのような散乱した印象だけが残ったのである。 よく日本人の書く論文は「飛び石的」と言われる。 序章から結論まで一貫した一筋の流れが見にくく、あちらこちらに話が飛ぶので、理解できないというのだ。今回の開会式もそんな印象だ。

 

さらに、イベントのクオリティである。 五嶋みどりさんや辻井伸行さんのように、世界中が知る、日本が誇るクラッシック・アーティストが出てきたわけでもなく、これまた世界中で人気の日本のポップカルチャーであるアニメキャラがフィーチャーされたわけでもなく、伝統文化を掘り下げて紹介したわけでもなかった。 誰がどういう根拠でこういう人選をし、こういう見せ方を決めたのだろうか。 広く浅くでもなければ、狭く深くでもなかった。 実にランダムな感じがしたのだ。

 

歌舞伎を見せるのであれば、もっと時間をかけて(4時間もの長さの開会式であった)、多くの演者を出した迫力のあるものにすることもできたのに、なんだか中途半端だった。 本来歌舞伎に使われる伝統的音楽でやった方がインパクトも大きかったのに、と夫も残念がっていた。 ジャズピアニストさんが素晴らしい演奏家だということは知っているが、あのマリアージュはミスマッチでもったいなかった。

 

ひとつひとつのパフォーマンスの質がどうこういうのではないが、いわゆるオリンピック・パラリンピック開会式だからこそ見られるというレベル・内容のものではなかったという印象が強い。コンセプトがぼやけているというか、伝わらないというか、壮大さがなかったというか。 リオの閉会式で見せた「予告編」から期待したら、「がっかり」というのが一言での感想だ。もっともあの時担当していたMIKIKOさんはチームからはずされており、彼女の描いたものは使われなかったのだが。

 

それにしても、いくらコロナ禍とはいえ、165億円も予算を組んだのであれば、そして4時間もかけて行われる開会式であれば、もっと日本のこれまでと現在、そして未来を紹介できる内容のものを作ることは可能だったのに。 電通がらみで、佐々木氏がいろんな政治家の思惑を裁くために適当なやっつけ仕事をした、そんな印象である。 そこには、日本のどういうところを国民が誇りに思っているか、そして世界が日本の何を見たいか、という視点が欠けていたのではないか。

 

ほとんど予算なしで行っていたロンドンの私などの文化紹介の仕事を通じてさえ、漆工芸や日本刀の刀鍛冶の仕事、人形浄瑠璃、着物や帯などの織物や四季を反映した美しい和菓子などの紹介をするイベントには、あっという間に申し込みが殺到し、いかに海外の人が日本の伝統工芸や文化に興味を持っているかが分かる。そしてそれは今まで日本の文化に興味の無かった人々をも惹き込むことができたはずだ。 4億円もの寄付で行った各国の特徴を着ものに織り上げたキモノプロジェクトも、結局ゴタゴタがあって、開会式で披露できなかった、というではないか。なんともったいない話だろうか。

 

そもそも、MIKIKOさんや、野村萬斎さん、椎名林檎さんを失礼な形で外した、という段階で「なにやってるんだろう?」と大変にがっかりし、悪い予感がしたが、それが的中した感じ。 それにしても、たとえコロナ禍で、人が集まることが難しかったとしても、テレビで視聴する世界中の人のためにもプロジェクション・マッピングやムービーを使い、震災復興のテーマから始まり、今世界が知りたい日本、日本独特のユニークな強みや文化、そして今世界が抱えている問題さえも、もっと効果的に描くこともできたはずだ。

 

MIKIKOさんの企画書を見ると、ワクワクするようなものがたくさんである。 開会式でまずAKIRAが真っ赤なバイクで乗り付けて…というのを夫に見せたら、「あ~!これだったら世界中が知っているのに!残念だったな~!」と。 夫、55歳だけれど、AKIRAは日本の漫画やアニメを世界にこれだ!と突き付けたアイコニックなキャラクターの一つである。 もちろん、パンデミックのあと、この企画書をそのまま使うわけにはいかなかっただろうが、彼女だったらきっとクールに変更したものを提供してくれたのではないか。

 

《幻の東京五輪開会式案》『AKIRA』のバイクが駆け抜け、スーパーマリオが競技紹介… 渡辺直美も絶賛した「MIKIKOチーム案」の“全貌” | 文春オンライン (bunshun.jp)

 

(上の文春の記事では、MIKAKOさんの企画を詳しく述べているからぜひ読んでみてください。)

 

トライアスロンの通過地点に、巨大ガンダムがあった、というだけで海外のメディアが書くぐらいである。 伝統文化だけでなく、昭和から始まった各時代を彩ってきた漫画文化を次々と見せることでも、世界中の人が湧いただろう。 鉄腕アトムやマッハGoGoから始まり、アルプスの少女ハイジや、キャンディキャンディ、セイラー・ムーンなどは、今50代-30代の世界中の人々が見て育っている。もっと最近ではベイブレードやポケモンはおもちゃやカードだって売り出している。あれらが日本のアニメだと知らないで観ていた人だっているのだ。そしてもちろん、宮崎アニメや新海アニメはつい最近、世界で大ヒットを出している。 日本の海外輸出の大きな品目の一つだ。それに日本のロボット技術は世界的に有名である。

 

Tokyo 2020 Olympic commentator says “Gundam” hard – Jioforme

 

 

 

そもそもオリンピックの開会式は、それぞれの国の文化的プライドを見せるものであり、それができないのであれば、もう選手入場だけすればいいのだ。 そうすれば165億円もかからないだろう。

 

今回の開会式は、参加したパフォーマーたちはみな一生懸命やっていたことはわかるが、そもそも企画サイドの工夫と努力が足りないという致命的な欠陥があった。要するにオリンピックレベルのイベントになっていなかったのである。 どこかで「テレビレベル」という感想を書いていた人がいたが、まさにその通り。 

 

質素で良かった、コロナ禍ではあれで十分、という意見もあるし、それはそうかもしれないと思うところもある。 しかし、それなら165億円は? 少なくとも税金が多額につぎ込まれているのだから、我々は165億円の行方をしっかりと見届けなければいけないだろう。

 

 

どこにお金が消えてしまったのか。 誰のポケットに入ったのか。 本当は、いくら使われたのか、そして何に?

 

日本人は税金の使われ方にもっと関心を持った方が良い。 本当に必要なこと、必要としている人のために、税金が使われていない。 それが散見されるのに、徹底的に追及することをしない。 

 

今回のオリンピックでは税金がかなり投入されており、それはこれから先に若い人たちの負債となっていく可能性がある。

 

権力のある人たちが、平気でこういうことを繰り返していくことを、ただ傍観しているだけでは、私たちは大人としての責任を果たしていないと思う。 これからを生きていく若い人たちが気の毒ではないか。

 

今回、海外で一応評判が良かったのは、ドローンによるディスプレイとピクトグラムのパントマイムだった。しかし、ドローンで地球を作る、というパフォーマンスはもう何年も前から、あちらこちらで披露されているし、平昌オリンピックでも使われており、Intelでも何年も前にそのからくりを動画で紹介したりしているから、特に日本の技術でもないのだ。

 

ピクトグラムは前回の東京オリンピックの時の日本の発案だというし、パフォーマンスとしては面白いが、このイベントにふさわしい壮大さには欠ける。

 

 

文句ばかり言いたくないが、キモノプロジェクトといい、運営側のお金の無駄遣いや胡散臭い問題が次から次へと出てきて、とても素直に手放しで喜んで観戦する気持ちになれないのである。

 

選手たちが頑張って金メダルを取ったりすることは、確かに喜ばしいし私も拍手を惜しみなく送りたいと思う。 運営側の胡散臭さと不手際や、世界に向けて日本の評判を落として恥をさらしたことについては、組織委員会と電通に損害賠償を求めたいぐらいだ。 しかし、それは選手たちとは切り離して考えなくてはいけない。 切り離すが、「感動」を押し売りされてごまかされてはいけないのだ。

 

 

わかりやすい感想を言わせてもらえれば、これは高い保育料を取って胡散臭い運営をしている幼稚園の園児たちのお遊戯を見て、感動している親たちのような図なのだ。

 

儲け主義の園長が金を支払っている親たちに向かって「ほうら、皆さん、園児たちは可愛いでしょう!みんな頑張って練習したんですよう! 皆さん、褒めてあげてください!」といわれ、親たちは涙を流して感動し、拍手の嵐である。 そして保育料がべらぼうに高いことも、胡散臭い運営も、すっかり忘れて運動会の後はもうハッピーで…という図である。

 

もちろん、園児たちに罪はない。 彼らには園長の思惑を知る由もなければ、おそらく興味もないし、問題提起する能力も無いだろう。

 

しかし、お金を払っている親は、園がきちんと倫理的に運営され、支払ったお金に見合うサービスを提供し、さらに園児たちを安全に管理しているかどうかをチェックする責任があるだろう。 

 

始まってみれば、わけのわからない人事、指摘されていた通りの穴だらけのバブルや、規則違反に対する例外の数々、そして実はPCRの数が足りなくて検査は毎日行っていなかった、3日目ですでに150人にもなる感染者、さらに熱中症で競技中のアスリートが気絶した、などなどの報道を見ると、色んなことがはなはだ心もとない。

 

選手や関係者、メディアが安全に管理されていなければ、東京都民や国民のリスクも上がるのである。

 

そういうこと全てを、私たちは忘れてはいけないと思うのである。 いくら選手たちが頑張って金メダルをとったからといって、それですべてを忘れて喜んでいてはいけないのである。

 

メディアはもう、オリンピック、メダルラッシュ一色で、私が探したい児童虐待の記事もまったく見つけられない。 

 

本当に日本人は「のど元過ぎれば…」なのだろうか。そして菅首相の思惑通り、「始まってしまえば国民は喜んで感動して、やってよかったっていうに決まっている。 そして選挙は自民党が勝つ」のだろうか。

 

今日、東京都の感染者は、2848人、過去最多だそうである。 デルタ株を侮ってはいけない。 通り過ぎただけでもうつると言われており、また若年者の感染率と重症化はもともとのウイルスの数倍である。 そして日本人のワクチン接種率はイギリスなどの3分の1程度である。

 

その他埼玉、千葉、沖縄なども過去最高を記録、神奈川も半年ぶりの758人。全国的にも増加の勢いは収まらない。都の発表では年代別では20代951人(約33%)、30代610人(約21%)など若い世代を中心に感染が拡大し、ワクチン接種が進んだ65歳以上は78人(約3%)にとどまる。市中感染の広がりを示す検査の陽性率は、26日時点で15・7%に上昇し、年末年始の第3波のピーク時を上回った。

 27日時点で、都内の入院患者は2864人。都の基準で集計した重症者は82人で、約2カ月ぶりに80人を超えた。自宅療養者は若い世代で感染が広がった影響で増えて6277人となり、2週間前の約3倍になっている。 

 

この「都の基準」というのは、ECMOなどを使う患者のみだそうで、全国的な基準とは違うところは要注意。また、イギリスの入院患者と日本の重症者の数を比べて少ない、と言っている人がいるが、イギリスでは感染者を日本ほどホテル隔離せず、ほとんど病院に収容している。自宅隔離は中軽症者だが、イギリスの入院患者は日本の重症者(特に都のECMO患者)とはだいぶ違う。日本では最近も入院できずに自宅療養をさせられているうちに亡くなった30代の男性もいるので、自宅療養が軽症とは限らない。

 

2度のワクチンが成人人口の8割近く済んでいるイギリスでも、サッカーやテニスの大きなイベントの後では感染爆発が起き、せっかく収まっていた重症者や死亡者が数倍増えた。それも若い人の間で。 今、ユーロ2020とウインブルドンが終わって少し収まってきているが、テストイベントでの犠牲者は結構でているのだ。イギリス市民は制限が全て解除されても、油断はしていない人が多い。 案外、皆、まだマスクをしているのである。

 

 

日本でも、すでに東京に住む知り合いの30代の子どもで感染している人がでてきている。 

私は高血圧のある息子が本当に心配である。 大阪でも感染者が増えつつあり、それでも若い人は通勤をしなくてはならない。そして最近病院に入れなくて死んでしまったという30代の会社員の母親のインタビューを読んで、ゾッとしたのである。 今、私は駆けつけて、息子の面倒をみることすらできない。

 

オリンピックだといって浮かれている場合ではない…。

 

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またこちらは被災地でのリレーについて。 被災地では、聖火リレーでのコカ・コーラなどのスポンサーのギラギラのトラックにドン引きしていたとか…。

 

 

 

 

 

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東京の感染拡大、歯止めかからず 第3波のピーク時上回る (msn.com)

 

 

1964年の東京オリンピックのドキュメント映画。 あの時は良かった…。