素晴らしいゲームだった。
ずい分と体を絞ってきたセリーナ・ウイリアムズは39歳。 対して23歳の大坂選手は気力も体力もベストに見えた。
テニスの全豪オープンの女子シングルス準決勝で、第10シードのウィリアムズ選手は第3シードの大坂なおみ選手に3-6,4-6のストレートで敗れて、9度目の決勝進出とはならなかった。
試合後の記者会見で、「もうこれで豪州での試合とはお別れか」と聞かれて思わず目に涙を浮かべたセリーナは「わからない。 もしそうだとしても誰にも言わないわ。 会見は、もう終わり」と立ち上がり、途中退席した。
大坂選手は強かった。
この全豪オープンでこれまでに見せた戦い方で、メンタルの成長をはっきりと見せた。 試合展開がどのようであっても、気持ちが安定しているように見える。
一方、レジェンドのセリーナも39歳で出産後にここまで戦えるというのは凄すぎる。
私は28歳で4年制大学に通ったのだが、試験前に「ああ~、もう徹夜はできないな!」と実感したものだ。
そして、31歳の出産・育児で、「これはきつい、やっぱり若い時に産まないと…」とつくづく思ったのだ。
45歳で大学院に戻った時には、なんで金を払ってこんな拷問のようなことをしているのかと後悔して自分を呪ったのである。その位、体力も気力も衰えていて、勉強することがきつかったのだ。
テニスはアドバンテージを取り合って長引くと、3時間を超すこともある。 しかもサッカーやバスケットなどのチームスポーツと違って、最初から最後まで自分一人で戦い抜く競技だ。 交代もなければハーフタイムもない。 一時たりとも気を抜けないのである。 39歳で数時間つづく競技をトップクラスで続けていること自体、驚異である。
記者会見では思わず悔し涙が出てしまったセリーナだが、大坂選手に右に左に振られてスタミナが持たなかったのかもしれない。 ミスが多かった。
これで引退する必要はないが、もしかしたら限界を感じての涙だったかもしれない。
でも彼女ほど勝ちをもぎ取ってきた選手は他にあまり思いつかない。 負けず嫌いのチャンピオンがここまでトップクラスを保ってきたことは素晴らしい功績だ。
もし引退したとしても、レジェンドの姿には何の傷もつかないだろう。
そして大坂選手にはこの勢いのまま決勝戦で勝利をつかみ取ってほしい。きっとそうなるような気がする。