スケート選手の罹患 | ロンドンつれづれ

ロンドンつれづれ

気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)

1月30日付で、FS Gossipsにアナスターシャ・シュピレヴァヤ元選手のインタビュー記事がでた。

 

The coronavirus ruined her career, but not her character. Anastasia Shpilevaya about her career and new life in figure skating « ⛸ FS Gossips (fs-gossips.com)

 

コロナに罹患して、スケーターとしてのキャリアをあきらめざるを得なかったが、今はコーチを目指して頑張っている、という内容でかなり長いインタビュー。

 

 

下は、2019年のフィン杯。 夫と私は現地観戦したので覚えている。

 

 

記事は彼女の生い立ちから始まっているが、その中でも、コロナに罹患した時の状況を詳しく話してくれているので、スケーターがコロナに罹患した時に、最悪の場合こういう状況になるのだ(最悪はもちろん重症化➡死亡ですが)ということが分かるので、こちらに簡単に訳して載せることにした。 おそらくスケーターさんたち自身も、よくわかっていないだろうし、スケ連の方たちも甘く見ている部分があると思うので…。

 

アナスタシアたちは、2020年の2月のロシアカップファイナルを最後にしばらく練習ができなくなった。コロナのまん延による検疫が始まったからだ。その後コーチを替えたりして検疫期間が終わるのを待った。

 

「検疫の間は、氷にのることができず、家でスカイプなどを使ってトレーニングをしていました。私はマスクをして毎日走っていましたが、それはたいへん不快でした。」

 

 

そして以下のタイトルで始まる部分を、略訳する。


CORONAVIRUS: INTOXICATION, ARTHRITIS AND TWO FRACTURES

(コロナウイルス: 中毒症、関節炎、2か所の骨折)

「検疫が終わって1週間氷の上で練習しましたが、私はすぐに具合が悪くなりました。 コロナに感染したのです。最初は自宅療養をしていましたが、どんな薬を使っても2か月も熱が下がらず、医師を呼びました。

 

抗生物質を2種類使いましたが、まったく症状は改善しませんでした。 腎臓が痛み始め、その他にも症状が出始めました。気が狂うかと思うぐらい息が苦しくなって・・・ベッドから起きてトイレに行くだけで、窒息しそうになるのです。歩こうとしましたし、呼吸の訓練をしましたが、何も役に立ちませんでした。

ガマラヤの中心部にある病院に行くことにしました。スポーツ専用の病院です。そこで10日入院しましたが、その間中彼らは私の血をきれいにしようとしました。コロナウイルスにより血が大変に汚れていたのです。コロナによる合併症が全身に及んでいたのです。つよい中毒症状がありました。 少し良くなって、退院しましたが、家でもまだ熱は続きました。そして病院をでても隔離されていましたから、練習ができない期間は大変に長期に及んだのです。

やっと氷に乗ることができるようになっても、これは大げさではなく、たった1時間でした。 次の朝、私の足は大変に痛んで、立つことすらできませんでした。 いったいなにが起きているのか…まったくわかりませんでした。なぜこんなに足が痛むのでしょうか。もちろん、すぐに病院に行きました。「反応性関節炎が起きている」と言われました。 「コロナ後の合併症です。 これは良く起きることで、さらに3週間自宅療養が必要」といわれました。私はダンスパートナーとコーチにそれを伝え、自宅で座っていました。そうするしかなかったのです…。

その間、自宅でもできることをしようと思いました。絨毯の上で腹筋をしたり背中や足を鍛えたりしました。でも、氷の上での練習やエアロビックとは違います。もう治ったと思って、またスケートの練習を始めましたが、1週間したらまた足が痛くなったのです。今度は両足とも、そして2倍の痛さで戻ってきたのです。

 

最初は、これ以上訓練を怠ることはできないと思って痛み止めを飲んでいました。アスリートならそれで数週間はもつことを知っています。でも状態はどんどん悪くなるのです。まず、鎮痛剤の中毒になります。そして本当のところ、それは実際の治療ではなく、問題はどんどん悪化するのです。私の場合もどんどん悪化しました。再度検査に訪れたところ、両足とも中足骨が骨折していることが分かったのです。

医師によると、病気の後、私の関節は全て弱ってしまっており、骨が(練習の)荷重に耐えられないということでした。いつもの半分しか練習していなかったというのに…。いったいどうしたらいいの?私はパートナーとコーチに自分の治療について話しました。


PSYCHOLOGIST’S HELP AND READINESS FOR A NEW LIFE

(精神分析医の助けと新たな人生への覚悟)

 

アナスタシアは、上記のタイトルで、ダンスのパートナーシップの解消と、競技生活からの引退についても話し、その後の彼女の精神的苦痛と最後にはコーチを目指している心境を語っている。 パートナーからは、もう待てない、と言われたというが、それも仕方のないことだろう。

 

精神科医には「いくつで引退しようと思っていたの?」と聞かれ、「30歳位」と答えた時、「そう、その後何をしようと思っていたの? そして、それを9年早く始めたたと思えばいいんじゃないかな?」と言われて、前向きになれた、と答えている。

アイスダンサーの競技寿命は、ジャンプなどを跳ぶシングルスケーターに比べては長いものだから、21歳での引退はたしかに悲しかっただろう。

 

しかし、コロナの後遺症を抱えたままあと何年かかるかわからない治療にくわえ、新たなパートナーを探すことも難しい、という判断があったという。

 

 

それにしても、ジャンプなどの身体にきついエレメンツのないアイスダンサーでも、両足骨折するほどの負担を体に与えるコロナの後遺症は、本当に怖い。

 

 

コロナに罹患した後、まだ競技会で見ることのできないメドヴェデワ選手やコストロナイア選手は大丈夫だろうか。

 

また、ロシア国内戦で勝利はしたが、演技後青い顔をして肩で息をしていたシェルバコワ選手は大丈夫だろうか。

 

実際に罹患して、競技生活を引退せざるを得なくなった選手の体験インタビューを読むと、やはりこの病気にアスリートは罹ってはいけない、と思わざるをえないのである…。

 

 

................................

 

The coronavirus ruined her career, but not her character. Anastasia Shpilevaya about her career and new life in figure skating « ⛸ FS Gossips (fs-gossips.com)