パーフェクト・パッケージ、なるか? | ロンドンつれづれ

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羽生結弦選手、フィンランドのGPSでは、SPはほぼパーフェクト、そしてフリーでもジャンプの着氷が数回乱れた以外は転倒などのない、クリーンな演技だった。

 

2週間たって、ロシアのロステレコム杯は、「フィンランドに入った時よりも体調が良い」ということである。

 

そして、GPS始まって、ますます「自分のために楽しむ」だけのスケートじゃなく、やっぱり「勝たなきゃ羽生結弦じゃない」というスケートになってきて、見ている方としては、よし、いいぞ・・・となるのである。

 

しかし、彼はまた羽生語録に新しい語彙をくわえた。

 

「パーフェクト・パッケージ」である。

 

よく、解説者はジャンプもスピンも、そしてスケーティング技術も、表現力もすべてそろった選手を、「フル・パッケージ」という言葉で形容する。 羽生選手などはよくそう呼ばれるのである。 

 

しかし、羽生選手はただのフル・パッケージじゃなくて、パーフェクト・パッケージの演技をしたい、というのである。

 

クリーンに、ミスなく滑るのは当然のこと、これまでの自分を超えるスコアをたたき出しての、パーフェクトな勝利。 すべてがバランスよく詰まったプログラムを、傷一つないエレメンツで、高い質(GOE)で、そして観ているジャッジや観客をぐいぐいと惹き込む、そんな演技をすること。 それが「パーフェクト・パッケージ」だというのである。

 

「もうあとは4アクセルを跳びさえすれば、それがモチベーションかと思っていた。しかし世界最高得点、パーフェクトな演技、GOE満点、みたいなものが自分の印象として大きい。自分が自分の中で期待している羽生結弦像は、一番印象の大きい、ノーミスだった自分…自分の期待と、周りの期待と、そしたらもうやるしかないじゃん、っていうのが今の自分、というか」

 

SPもフリーも世界最高得点、そして総合で330点という驚異のスコアをたたき出したバルセロナのグランプリファイナルは、たしかに圧巻の演技、会場の興奮と感動も尋常ではなかった。 スコアを聞いた後で、Why am I crying...? といいながら泣いていた羽生選手を覚えている。 本人にも、感動の思い出だったのではないかな。

 

ジャンプもただ降りるのではなく、美しく、ゆるぎなく、高いGOEで降りる、というのがパーフェクト・パッケージ。 「これまでは、ジャンプを立てればノーミスだと思っていたけれど、新しいルール、そして今の自分はそれではクリーンだと思えなくなっている」という羽生選手。 今の羽生選手にしたら、ヘルシンキのフリーでは、「クリーン」な演技とは思えないのだろう。 目指す演技は「パーフェクト・パッケージ」。

 

 

オリンピックを二度制覇して、今季のプログラムは自分が憧れていたスケーターたちの憧れのプログラムへのオマージュだ。 自分がしたいと思う演技をフィギュアでできるって、スケーターとして最高、と織田信成さんも言っていたが、自分がやりたいことを高いスコアでクリーンに。「パーフェクトなプログラムって、しっかりぎゅっと詰まっていて、どこかにばらつくことのなくいもの。 クリーンな演技を目指してやりたい。」とインタビューでも話している。

 

ヘルシンキでの演技に不満はない、と前回は「悔しい」がでなかった。 パーフェクトへの第一歩、と本人も納得の演技だったに違いない。

 

大きな声援を受けて、さらに一歩「パーフェクト・パッケージ」へと近づいた演技がロステレコムでできますように。 

 

練習を見る限り、調子よさそうなのできっと大丈夫!

 

遠いロンドンから祈ってますよ!

 

(SPの練習動画、感謝してお借りします)