秋の気配 | ロンドンつれづれ

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気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)


日本で2週間。38度などという気温や台風を満喫して帰ってきたが、ロンドンはヒースローに飛行機が到着した時の気温は、13度。


一気に真夏の東京から、秋のロンドンに戻った気持ちがした。


「イギリスの夏はもう終わったね・・・」と夫に言うと、「なにいってんの、これがイギリスの夏だよ」と返事をされるしまつ。 


そして、8月にはいったら本当にもう、風の中に秋のにおいがする日々が続いている。通勤のプラットホームでは、セーターはおろか、ダウンジャケットを着ている人までいるのだ。



この2,3日も冷たい雨が降ったりやんだりの天気で、我が家の庭も花は終わり、秋の実のなる季節になってしまった・・・。


昨年は、2,3個しかならなかったリンゴが、今年はいっぱい実をつけたが、梨とさくらんぼうは、まったく駄目だった。




そして、そんな秋の気配のなか、友人と私はロイヤル・アカデミーで7月から行われている、サマー・エキシビションに仕事のあと出かけたのである。



この展示会は毎年行われており、トップクラスの有名アーティストから趣味で絵を描いている人までが、審査を通れば展示することができ、その作品を売ることができる、そんな展示会なのである。


ロイヤル・アカデミーはかつて「ラファエリ前派」の人らも所属した英国の由緒ある王立芸術院で、ピカデリーサーカスから徒歩2,3分のところに大きな建物を構えて常に展示会などを行っているのである。ロンドンにおいでの際は、ぜひいらしてください。



中庭に展示してある作品。



入り口を入る前の階段がすてき。



入り口。




入ってすぐの展示室。





ここで驚くのはその興味の高さで、イギリスの一般人が毎日のように大勢おしかけ、そして実際にこれらの作品を購入していることである。そしてこういう人たちがイギリスのコンテンポラリー・アートを下支えしているのである。日本ではまだなかなか一般庶民が「本物」の芸術作品を購入して自宅に飾ることは少ないであろう。ポスターや絵葉書を飾るならともかく。


私も作品を持っている、Chris Orr RA, クリス・オー氏のリトグラフは人気で、たくさんの赤いシールがついていた。 彼は長いことロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで教鞭をとり、今もなお名誉教授であり、名前の後ろにはRA(ロイヤル・アカデミシャン)というタイトルもつくアーティストで、サマー・イクシビションの審査員を何年もつとめたりしている。よくご自宅を開放したオープン・スタジオにご招待いただくが、大変に気さくないい人なのである。



奥にかけてある男女の肖像のタペストリーは、グレイソン・ペリー氏の作品。



下の絵は、いかにもイギリスの平凡な街の一角の夕暮れ時で、日本に帰ったときにこんな絵を部屋に飾っておいたら、懐かしいだろうなあ、と思った一枚である。作家さんの名前をチェックしてくるのを忘れてしまったが、美しい絵である。


こちらは、Emily Allchurch、エミリー・オールチャーチ氏の作品。若手の写真家さんで、写真をコンピューター処理して過去のマスターピースのトリビュートを製作したりしている。広重の版画シリーズをうちのギャラリーで展示してもらったが、これは、ブリューゲルのバベルの塔を、ロンドンで撮った写真を合成してつくったもの。



いつも展示会を見るのがすごく早い私なので、1時間ほどですべての会場を見終わり、近所のフレンチ・レストランで夕食をすることにした。友人は来るのが2回目なので、私に付き合ってくれたようなものである。彼女はRAの会員なのでこうやってちょくちょく招待してくれるのだ。


このレストランではいつも、パンやバターがたいへんにおいしいのである。もちろん、料理もだけれど。そしてフランス風デザートもなかなかなので、RAでの展示会のあとは、たいていここで食事をする。


この日渡されたメニューには、夕食だというのに2コースセットで13ポンドというべらぼうに安いのが紹介されていたが、あえてアラカルトを選ぶことに。


前菜は、二人でシェアするタイプ、そしてメインはコッド(たら)にすることにした。



前菜といっても、かなりの量だった。生ハムもローストした野菜も、チーズもすべておいしかった。


そして、コッドはこちら。このぐらいの量がちょうどいい。





一緒に食事をすると、メイン・ディッシュの半分ほどをいつも残してしまう私であるが、今日は友人から「あら、今日はちゃんと残さず食べたわね!」と褒められた。




同じ味を大量に一皿食べる、というのは年齢を重ねてくるとだんだんつらくなるのである。


同じ味のピザを1枚とか、おなじソースのパスタを一皿とか。巨大なステーキを1枚とか。




色んな味のものをちょっとずつたくさん食べられれば、それが一番食べやすい。



そうなると、やっぱり和食が一番ではないか・・・。



先月、友人3人とでかけた、ベトナム料理はおいしかったけれども。


色んな料理をたくさんとって、友人とわけながら食べるのがやはり一番おいしいのだ。


そして、好みはますます、野菜系、豆腐系、東南アジア、エスニック系か和食になりつつあるのである・・・。



おかしいなあ、若い時はハンバーグやピザ、スパゲッティが一番おいしいと思っていたのに。




いまでは、納豆、豆腐、しらす、つけもの、なのだなあ・・・。


ああ、日本はなんでもおいしかったなあ。