『花ちゃんのリボン』 殺処分された花ちゃんに捧ぐ | アバターもえくぼ

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6畳×6畳に60匹の猫がいた
壮絶な多頭飼育崩壊現場から
引き出した負傷猫
「アバター」
通称「アバちゃん」と
楽しく明るく
ほがらかな生活を書いています。

友人に頼まれて

羊毛で

物語をつくってみました。

 

『花ちゃんのリボン』

 

 

 

 

悲しい話しですが

実話です。

 

殺処分されてしまった

犬の花ちゃんと、

 

オムツをはかせてもらいながらも

今も可愛がられてる

その姉妹のまあちゃんの

お話しです。

 

 

羊毛もへたくそですが

色々なことを感じてもらえたら

嬉しいです。

 

 

いま、犬や猫を捨てようとしている人。

 

保険所に連れて行こうと

している人。

 

動物たちが、最後どんな顔をして

死んでいくか

想像をしてみてください。

 

 

目をつぶって

想像してみてください。

 

 

そして、どうか

保健所以外の選択を

考えてください。

 

 

 

 

『花ちゃんのリボン』

 

 

 

ダックスの花ちゃんと

 

 

 

 

 

まあちゃんは同じ家で

生まれました。

 

 

 

 

 

 

でも、花ちゃんと、

まあちゃんが

それぞれ、6歳の時に

 

 

飼い主さんが施設にはいることになり

 

その息子夫婦が

ふたりをひきとりました。

 

 

でも、かなしいかな。

 

 

息子夫婦は動物が

好きではありませんでした。

 

 

散歩もめんどくさい、

うんちのあとかたずけもめんどくさい。

ごはんをあげるのもめんどくさい。

全部がめんどくさい。

 

 

だから、花ちゃんのことも

まあちゃんのことも

 

 

かわいくありませんでした。

 

 

そこで、見かねた

夫婦の友人が、ふたりに里親さんを

さがしてあげました。

 

 

花ちゃんは、お金持ちの

おうちに

もらわれていきました。

 

 

まあちゃんは

ふつーのおうちにもらわれて

いきました。

 

 

花ちゃんは、頭に赤いリボンを

つけてもらいました。

 

 

 

 

 

可愛い洋服もたくさん

着せてもらいました。

 

その服には

「エルメス」とか「シャネル」と

書かれてましたが

 

花ちゃんは、そんなのは

わかりませんでした。

 

 

ただ、わかっていたのは

毎日、おいしいお肉を食べたり

ふかふかのベットに

寝ていられるっていう

ことだけでした。

 

 

花ちゃんは、飼い主さんのことが

大好きでした。

 

 

 

いっぽう

まあちゃんは

 

頭にリボンはつけてもらえませんでした。

 

 

 

 

食べ物も、お肉でなくて

カリカリだけでした。

 

でも、たまに、お父さんが

「おかあさんに内緒だよ」と

オヤツをくれました。

 

 

お母さんは、

「この子、まあちゃんっていうんです」と

言って

いろいろな場所にさんぽに

連れていってくれました。

 

 

おうちにいた、にんげんの

おねえちゃんは

まあちゃんの絵をかいて

自分の机に飾ってくれました。

 

 

まあちゃんも

家族のことが大好きでした。

 

 

 

 

春が来て夏がきて、秋が来て

冬がきて、それを何回か

くりかえして

また春がきました。

 

 

花ちゃんは

さいきん、飼い主さんが

自分の名前をあまり

呼んでくれないことに気がつきました。

 

 

でも、花ちゃんには

赤いリボンがあります。

 

 

飼い主さんが

つけてくれた赤いリボン。

 

 

この頃

飼い主さんたちから

ぜんぜんかまってもらえてないと

きずいてた花ちゃん。

 

 

ずっとさんぽもいってないので

さんぽに行きたいなと

思いました。

 

青い空や、風がほっぺたをなでる感じや

花や木が恋しくなったけど

がまんしました。

 

 

寂しいことも多くなったけど

 

 

リボンがあるから

がんばれると思いました。

 

 

 

 

 

 

いっぽう、まあちゃんは

まいにち、散歩につれていって

もらっていました。

 

だけど、だんだん、足が

いたくなって

あるけなくなりました。

 

おかあさんに、

「どうしてかな?」と聞いたら

 

おかあさんは優しく

 

「まあちゃんは、

おとしよりになったんだよ。

だから、あしこしは弱くなるのは

あたりまえのことなんだよ」

 

そう言ってくれました。

 

 

そう、花ちゃんも、まあちゃんも

ずいぶん

年をとっていたのです。

 

 

そうしてるうちに

花ちゃんの

飼い主さん夫婦が

毎日、おうちで

ケンカをするようになりました。

 

 

おうちの中には

どなり声がひびきました。

 

 

花ちゃんはこわくて、びっくりして

ソファーのかげに

ずっとかくれていました。

 

 

耳がちょっととおくなった

花ちゃんの耳に

 

「としより、」「めんどうみれない」

「いらない」「しらない」

そんなことばが聞こえてきたような

気がしました。

 

 

花ちゃんは頭のリボンを

思い浮かべながら

 

 

「だいじょうぶ」

「だいじょうぶ」と

なんかいもつぶやきました。

 

 

花ちゃんはきがつかなかったのです。

 

花ちゃんの

頭のリボンは

もうボロボロでした。

 

それでも、花ちゃんには

赤いリボンが支えだったのです。

 

 

かなしくて、さびしい時間が

ずぎたある日。

 

 

花ちゃんは、飼い主のお父さんの

車にのせられて

どこかに連れて行かれました。

 

 

おうちを出る時、

みずをのみたかったけど

 

もう水入れもありませんでした。

 

 

「どこにいくのかな」

花ちゃんはとても不安でした。

 

 

~~~~~~~~

 

知らない場所で一夜を

すごした花ちゃんは

 

つぎの日の午前中

 

知らない

おじさんに呼ばれました。

 

ほかにも、たくさんの犬がいました。

 

 

花ちゃんは足が痛かったけど

もしかすると

その向こうに飼い主さんが

いるかもしれないと

 

がんばってあるきました。

 

 

よろよろになりながら

がんばって歩きました。

 

 

 

 

 

 

頭のリボンが

落ちそうになっていました。

 

 

花ちゃんは、

だんだんだんだんだんだん

苦しくなりました。

 

 

花ちゃんは飼い主さんのことを

思いだしていました。

 

 

 

 

 

 

おいしいお肉

可愛いお洋服

ふわふわのベット。

 

 

 

でもね、でもね、それよりも

もっともっと

抱きしめてほしかったな‥‥

 

 

 

花ちゃんは

苦しみながら

もがきながら

灰になりました。

 

 

 

 

 

 

 

さいごまで、

頭のリボンが愛されている

証拠だと信じて‥

 

 

もうリボンが

ボロボロになっていると

知らないまま・・。


花ちゃんは

灰になりました。

 

 

 

ーーー・------。

 

 

ふつーの家にもらわれていった

まあちゃんは、

 

今年で16歳になりました。

 

 

 

 

もう立派な

おばあちゃんワンコです。

 

 

 

 

 

耳も遠くなり、猫にパンチされながらも

家族に大切に大切に

されています。

 

 

最近、おムツになりました。

 

ダックスや、コーギーのような

胴体の長い犬は

なかなか合うおムツが

ないということで

 

サスペンダーを購入して

オムツにつけたら

これがビンゴ。

 

ズレずに、おムツが

ぴたっとするとのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 


「動物は最後まで幸せでいてほしい」

 

私の心からの願いです。

 

花ちゃんは、最初は

本当に優雅な生活の中で

暮らしていましたが

 

 

最後は、夫婦が離婚し

その際に、

 

 

どちらも、高齢犬になっていた

花ちゃんの面倒をみたくないと

押し付け合い、

 

人間のエゴで

保健所で苦しみながら

最期を迎えました。

 

 

花ちゃんが

何をしたというのでしょう。

 

 

最後のリボンのくだりだけは

想像ですが

あとは全て実話です。

 

 

まあちゃんの飼い主さんから

姉妹である

花ちゃんのことが啓蒙に生かされ

 

殺処分の抑止力になればと

お願いされました。

 

 

今回は犬のお話しでしたが

猫も鳥もそのほかの動物も

こんな風に人間の身勝手で

殺していい命などありません。

 

 

ペットブームの陰で

それぞれが

もう一度立ち止まって

ぜひ考えてみてほしいと思いました。

 

 

花ちゃんの冥福を祈りながら‥‥。