【作品#0894】ツイスター(1996) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ツイスター(原題:Twister)

 

【概要】

 

1996年のアメリカ映画

上映時間は113分

 

【あらすじ】

 

竜巻を観測する研究者だった気象予報士のビルはフィアンセのメリッサとともに現役で竜巻を観測している妻のジョーから離婚届のサインをもらいにやってきた。そこには完成した新たな観測装置ドロシーが待機していた。すると、竜巻発生の連絡を受けビルは現場に向かうことにする。

 

【スタッフ】

 

監督はヤン・デ・ボン

音楽はマーク・マンシーナ

撮影はジャック・N・グリーン

 

【キャスト】

 

ヘレン・ハント(ジョー)

ビル・パクストン(ビル)

ケイリー・エルウィス(ジョーナス)

ジェイミー・ガーツ(メリッサ)

ロイス・スミス(メグ)

アラン・ラック(ラビット)

フィリップ・シーモア・ホフマン(ダスティ)

トッド・フィールド(ベルツァー)

 

【感想】

 

約9千万ドルの製作費に対して全世界で5億ドル近い売り上げを記録した。アカデミー賞では視覚効果賞と音響賞にノミネートされたが受賞はならなかった。脚本を手掛けたマイケル・クライトンとアン・マリー・マーティン夫妻には当時最高額となる200万ドルが報酬として支払われた。

 

ビル役はトム・ハンクスで決まりかけたが土壇場で降板し、「アポロ13(1995)」で共演したビル・パクストンを推薦して彼がビル役を演じることになった。これにより主演したヘレン・ハントとビル・パクストンは「パトリック・スウェイジ/復讐は我が胸に(1989)」以来の共演となった。ちなみに、本作はアメリカで最初に発売されたDVDの1つでもある。

 

本作の最大の弱点は映画が終わった時点で何が達成されたかが非常に伝わりづらい点だ。主人公たちは竜巻を観測する研究者であり、ドロシーと呼ばれる機械は竜巻の中にその機械を巻き込ませて初めて機能するものであるらしい。その機械を竜巻の進路に置かなければならないので主人公たちは竜巻を追ってその置き場所を探しているのだ。そりゃ見てたら何をしようとしているのかくらいは理解できるが、もう少し実感の湧く感じが欲しかったな。

 

やはり彼らの頑張りによってどんな成果が得られるのかが見えてこない。今までは竜巻警報を出すのは到達の3分前だったが、ドロシーを使えばそれが15分前にできるので避難時間を確保できるというのだ。そりゃ竜巻の来る3分前よりも15分前の方が助かる確率が高くなるのは理解できる。ただ、こちらも例えばどのくらいの規模の竜巻なら助かる確率が〇%上がるとか、そういう具体的なデータは示すべきだったと思う。

 

あとはいくらCGは発展したとはいえ何度も竜巻のシーンがあると当時の観客だってさすがに途中から飽きていたと思うぞ。これならもう少し竜巻のシーンをカットした方が良かったと思う。

 

それから気になるのは彼らの資金源だ。そこそこの人数がいて、それなりの機材が必要で、車も4~5台あるし、ドロシーの開発にもお金がかかっていることだろう。竜巻による人的被害を抑えることを目的とした団体だと思うので営利団体ではないだろう。ということは国や大企業の出資ということになるはずだ。ただ、いくら何でも予算が湯水のようにあるわけでもないはずだ。彼らにそういったことを管理できる感じが全くしないのは気にかかるところ(本来この手の映画では気にしなくてもいいところではあるが)。

 

そんな竜巻を追う人たちを描いた本作だが、あくまでメインは離婚寸前のジョーとビルのドラマである。映画を見ていれば割と序盤で彼らが復縁することは目に見えている。なので、ビルのフィアンセであるメリッサなんて登場する必要すらなかったと思う。ビルがメリッサになびいた理由が全く見えてこない。もしビルの一時の迷いみたいにするならわかりやすく若い子とかにすれば良かったと思う(それでもナシだが)。メリッサも見る目がなかったというべきか、彼女もちょっと可哀そうだわな。

 

ジョーとビルのドラマは正直大したことはないが、やはりヘレン・ハントが良い。タンクトップで気丈に振舞う姿は適役。多分今までなら性別が逆で製作されていたことだと思う。仕事に熱中して夢を追う男に呆れて妻が離婚を申し出るなんて話はいくらでもあった。それを女性主人公にしたのは正解だし、そこにヘレン・ハントを持ってこれたのは正解。

 

あと、彼らのライバルになるジョーナス一味も別に登場する必要性を感じなかった。ことごとく嫌味を言ってくる彼らだが、竜巻の進路を読み違えたジョーナスは車ごと竜巻に巻き込まれて死んでしまう。まぁビルの怒りを見るに、ジョーナスは酷いことをした人間らしいのでこの結末は当然かもしれないが、映画的には「ざまあみろ」とは思えない程度の存在だった。むしろ運転していたエディ(演じたのは「ファイトクラブ(1999)」で主人公の上司を演じたザック・グルニエ)が可哀そうに感じるくらいだった。

 

本作の描き方を見るに、やはり主演した二人のドラマが描きたかったのだと思う。そうするのなら、せめてメリッサとライバルのジョーナスあたりは削って何の問題もなかったと思う。仮に竜巻描写が多少物足らなくてもドラマ面がしっかりしていれば良いはず。本作はやはり二人のドラマが物足らないんだよな。それでもかなりヘレン・ハントの演技に助けられていると思うが。

 

ちなみに、本作は4DXならどうなるんだろうか。映画が終わればセットした髪は乱れ、水浸し(水はスイッチでオンオフの設定が可能だが)になってしまう。2024年には続編も公開されるが、もし最初の映画で本作の4DXを選ぼうものなら失敗に終わる可能性が高い。

 

なんやかんやで印象に残るのは竜巻に巻き込まれた牛が主人公の車の前を舞う場面。また牛が舞い上がるとジョーが「またよ(Another Cow)」と言うと、ビルが「同じのだと思うよ」というやり取りをする場面は好き。

 

【関連作品】

 

「ツイスター(1996)」…シリーズ1作目

「ツイスターズ(2024)」…シリーズ2作目

 

「シャイニング(1980)」…ドライブインシアターで放映されている場面がある。

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

【ソフト関連】

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典

├ヤン・デ・ボン(監督)、シュテフェン・ファンマイアー(視覚効果監修)による音声解説

映像特典

├メイキング・オブ・「ツイスター」

├竜巻の調査

├竜巻の姿を追い求めて:「ツイスター」ふたたび

├竜巻との闘い

├ミュージック・ビデオ

├オリジナル劇場予告編