【作品#0662】アポロ13（1995）

【タイトル】

アポロ13（原題:Apollo 13）

【概要】

1995年のアメリカ/イギリス/カナダ/日本合作映画
上映時間は140分

【あらすじ】

月に向かう途中で爆発事故が発生したアポロ13号を描く。

【スタッフ】

監督はロン・ハワード
音楽はジェームズ・ホーナー
撮影はディーン・カンディ

【キャスト】

トム・ハンクス（ジム・ラヴェル）
ビル・パクストン（フレッド・ヘイズ）
ケヴィン・ベーコン（ジャック・スワイガート）
ゲイリー・シニーズ（ケン・マッティングリー）
エド・ハリス（ジーン・クラーツ）
キャスリーン・クインラン（マリリン・ラヴェル）

【感想】

1970年4月に実際に発生した事故の映画化。アカデミー賞では9部門でノミネートされ、音響賞と編集賞の2部門を受賞した。

「最も成功した失敗」と言われる、アポロ13号にまつわる事故。この史実としてすでに面白い話を映画化するんだから面白くならないわけがない。まさに題材の勝利だろう。

また、不可能と思われたミッションをみんなの力で乗り越えていくというアメリカ人好みの物語である点も評価されたポイントだろう。そんな本作を彩るジェームズ・ホーナーの音楽も定石通りではあるが、全く外しておらず、「この場面でこんな音楽があれば良いな」と思ったらその通り流れてくるような感じである。

そして、主演したのはトム・ハンクスである。「フィラデルフィア（1993）」と「フォレスト・ガンプ/一期一会（1994）」で2年連続のアカデミー賞主演男優賞受賞という快挙を成し遂げた次の作品である。「フォレスト・ガンプ/一期一会（1994）」でアメリカの歴史を背負ったような男を演じた後だから、本作のような作品の主人公にもピッタリだと感じる。

それから、当初の3人組での飛行が叶わずに、ケヴィン・ベーコン演じるジャックがゲイリー・シニーズ演じるケンに代わって参加することになる。このジャックの成長という観点も本作のポイントになっている（小さなポイントだが）。ただ、下記の音声解説によると、事故が発生してからフレッドとジャックが口論するようなことはなかったらしいので、この辺りは脚色されたものである。誰よりも訓練に励んでいたケンが病気で参加が叶わずに急遽ジャックが参加することになった。しかも、付け焼刃の練習も決してうまくいかないまま宇宙行きになってしまうのである。

そんなジャックが指示通りの操作で事故が発生してしまったとなると、たとえ本人に非がなくとも追いつめられてしまうものだ。ジムという絶対的な存在のおかげでジャックは冷静さを取り戻していく過程も丁寧である。

また、地球の管制塔ではエド・ハリス演じるジーンが仕切っている。ここも現場をまとめてアポロ13号との間に立つのにふさわしい人物が必要であるが、エド・ハリスが見事である。ちなみに、彼は演じるキャラクターに合わせてカツラを被ることは多々あるのだが、やっぱりしっくりこないね（もちろん悪いとは思わないが）。

この手の映画にしてはラストでジムが家族と再会する場面や、通信だけでしかやり取りしていなかったアポロ13号の搭乗員とジーンが対面する場面を用意していないのは意外ではある。特に家族との再会なんて場面はいくらでも感動を煽ることができたであろう。それでも3分間の通信途絶からやっとのことで通信が再開される場面に集約したのは正解だったのだろう。

やはり元ネタとなった実話自体が興味深いわけだし、これだけのキャストとスタッフが揃えばこれくらいの作品は当然のように仕上がるだろうと思う。その意味に置いて本作はやや大人しい印象もあるが、これがちょうど良かったのだと思う。

【音声解説1】

参加者
├ロン・ハワード（監督）

ロン・ハワード監督による単独の音声解説。映画化に向けて集めた資料を生かした脚色、モデルとなった人物や記録映像、監督が撮りたかったショット、もっと多くのトラブルが合ったが映画の尺に合わせて削除した話、監督の娘ブライス・ダラス・ハワードによるアイデアなどについて語ってくれる。

【音声解説2】

参加者
├ジム・ラヴェル（本作の主人公）
├マリオン・ラヴェル（本作の主人公の妻）

本作のモデルであるジム・ラヴェルとその妻マリリン・ラヴェルによる二人による対話形式の音声解説。実際と映画の違いについては、多数言及されているが、決してロン・ハワード監督を悪く言っている訳ではなく、彼への感謝や才能について述べている。

また、アポロ13号が発射される場面ではマリリン・ラヴェルが感極まっており、乗組員の妻の思いは十二分に伝わってくる。映画の主人公のモデルが音声解説を務めることはそれほど多くないので、その意味でもこの音声解説は貴重である。