【作品#0868】ライジング・ドラゴン(2012) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ライジング・ドラゴン(原題:十二生肖/英題:Chinese Zodiac)

 

【概要】

 

2012年の中国/香港合作映画

上映時間は122分

 

【あらすじ】

 

「アジアの鷹」と呼ばれるトレジャーハンターのJCは、アンティークディーラーのマックス・プロフィット者に雇われて行方不明となった動物のブロンズ像の頭部を探すことになる。

 

【スタッフ】

 

監督はジャッキー・チェン

音楽はネイザン・ウォン

撮影はン・マンチン

 

【キャスト】

 

ジャッキー・チェン(JC)

ヤオ・シントン(ココ)

クォン・サンウ(サイモン)

オリヴァー・プラット(ローレンス)

 

【感想】

 

「サンダーアーム/龍兄虎弟(1985)」「プロジェクト・イーグル(1991)」に続くシリーズ3作目は、ジャッキー・チェンにとって体を張った本格アクションからの引退作品として作られた(事実上撤回)。監督作としては「WHO AM I?(1998)」以来14年ぶりとなった(本作の前年の「1911(2011)」は総監督)。ちなみにジャッキー・チェンは本作で「1本の映画の最多クレジット」というギネス記録を打ち立てた(監督、出演など15のクレジットで今までの記録はロバート・ロドリゲスの11クレジット)。

 

ジャッキー・チェンが「アジアの鷹」と呼ばれるトレジャーハンターを演じるこのシリーズ。なぜか21年ぶりに製作されたシリーズ3作目。といってもシリーズらしさってほとんどない。強いて言うならトリッキーなガムの食べ方をするくらいだ。あとは、武器に不慣れな女性キャラクターがマシンガンをぶっ放してしまうというのは前作の中盤にも全く同じ件があった(21年ぶりに見た人は覚えてすらいないだろうが)。まぁそんな感じなので別に前2作品を見ていないからと言って分からない作品ではない。

 

ジャッキー・チェンも本作公開当時で58歳。前作当時37歳とは当然訳が違う。この若き日のジャッキー・チェンでさえもスタントは当然使っていた。ただ年を重ねるごとにスタントを使う割合も増えたことだろう。本作の冒頭の手足にローラースケートをつけて坂道を下っていくシークエンスはどう見たってほとんどスタントマンがやっているだろう。もちろん合間に止まってアクションするところは部分的に本人がやっているだろうが、前作や前々作でも指摘したように乗り物とジャッキー・チェンの相性は決して良くない。やっぱり本人がやっているのが伝わってくるアクションこそ特にジャッキー映画に求めているものだ。

 

そんなジャッキーらしいアクションを感じさせるのは終盤の格闘シーンくらいであろう。全盛期に比べたら体のキレも動きのスピードも圧倒的に落ちているのは伝わってくるが、それでもこのシークエンスにはちゃんとジャッキー印がある。やはりこれを見るためにジャッキー映画を見ているのだと再認識させられる。ただ、この当時のジャッキーの年齢を超えたトム・クルーズやキアヌ・リーヴスがこの当時のジャッキー・チェンよりもすごい格闘シーンをやっている(もちろんジャッキーだってすごいんだが)。

 

またアドベンチャーの側面を持つ本シリーズ。前作の項でも指摘したようにジャッキーとアドベンチャーの組み合わせはあまり相性が良くないのかもしれない。監督も務めたジャッキー・チェンの手腕によるところもあるのだろうが、本作に関しては間違いなくキャラクター数が多すぎる。前作、前々作に比べると、敵側もジャッキーの側もとにかくキャラクターが多い。味方の側も印象的に描かれたのはヒロインのキャラクターくらいで、それ以外のキャラクターは小さな見せ場こそ用意されているがあくまで味方のうちのその他大勢で片付けられている印象だ。敵側も多すぎ。せめて一人の悪人をトップにした組織にしないと見づらいわ。

 

そんな本作が前2作品と違うのは、19世紀にイギリスやフランスが清朝から盗んだ国宝を中国に返還するというテーマ性を帯びているところだ。本作含むこのシリーズは無邪気に楽しむ作品群だと思うが、所詮は泥棒の主人公がヒロインの主張する上述の理屈に乗じて命を懸けるまでいくものか。「もともと中国の物だったんだから返せ。さもなくば力づくでも奪い返すぞ」ってことでしょ。製作国にも名を連ねる中国政府の意向もあったんじゃないかと思える作品。香港を返還できるなら略奪した美術品も返還できるでしょ。そして、一国二制度だった香港は事実上中国のものになっていく…。

 

中国人のキャラクターが西欧人に「お説教」する場面もあるわけだからこのメッセージは割と露骨で、この要素が本作に付与されたことで少なくとも中国人以外は純粋に楽しみづらい作品となってしまった。ジャッキー映画こそこういう要素抜きで楽しみたいものだが残念。とはいえもしこの要素のない映画として完成していたとしても本作はキャラクターの多さで失敗しているから面白くはならなかったと思う。

 

【関連作品】

 

サンダーアーム/龍兄虎弟(1985)」…シリーズ1作目

プロジェクト・イーグル(1991)」…シリーズ2作目

「ライジング・ドラゴン(2012)」…シリーズ3作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【予告編】

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語/北京語/フランス語/スペイン語/ロシア語)

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├日本語吹き替え

 

【ソフト関連】

 

<BD(2枚組/特別版)>

 

言語

├オリジナル(英語/北京語/フランス語/スペイン語/ロシア語)

├日本語吹き替え

映像特典

├メイキング・オブ・「ライジング・ドラゴン」

├ドラゴンフライCG

├ジャッキー・チェン インタビュー

├エンディング曲「妙手空天」ミュージック・クリップ

├石丸博也メッセージ

├キックオフイベント映像:2013年3月9日に開催されたイベントのダイジェスト

├ローラーマンin Tokyo

├予告編集