【タイトル】
沈黙の戦艦(原題:Under Siege)
【概要】
1992年のアメリカ/フランス映画
上映時間は103分
【あらすじ】
戦艦ミズーリでクリル中佐はサプライズパーティに乗じて乗船させた仲間と共に戦艦を乗っ取ることに成功する。一方、厨房で冷蔵庫に閉じ込められていた元特殊部隊で現在はコックのケイシー・ライバックが立ち上がる。
【スタッフ】
監督はアンドリュー・デイヴィス
音楽はゲイリー・チャン
撮影はフランク・タイディ
【キャスト】
スティーヴン・セガール(ケイシー・ライバック)
トミー・リー・ジョーンズ(ストラニクス)
ゲイリー・ビジー(クリル中佐)
エリカ・エレニアック(ジョーダン・テート)
コルム・ミーニイ(ドーマー)
【感想】
アカデミー賞では音響賞と音響効果編集賞にノミネートされたが受賞はならなかった(ちなみにスティーヴン・セガール出演作で唯一のアカデミー賞ノミネート作品)。アンドリュー・デイヴィスは、スティーヴン・セガールが映画初主演を飾った「刑事ニコ/法の死角(1988)」でも監督を務めている。また、ハリソン・フォードは、アンドリュー・デイヴィスが監督予定だった「逃亡者(1993)」への出演オファーがあった際に本作を見て「逃亡者(1993)」への出演を決めた。
本作が成功したことで、当初「ダイ・ハード3(1995)」として考えられていたクルーズ船を舞台にした話を変更せざるを得なくなり、脚本が書き直されて製作が遅れたとされる。
実は「ダイ・ハード(1988)」なんかにも言えることだが、位置関係をもっと明確にすればアクションとしての面白さに深みが出たと思う。本作でも戦艦全体の地図がコンピューター上に表示される場面があるのだが、人質がどのあたりにいるかくらいしか分からない。せめて冒頭のシークエンスの中で歩き回るキャラクターをカメラが追いかけてどことどこが繋がっているのか、どこからどこへ移動するにはこれくらい時間がかかるとか、そういった描写を積み重ねて描くべきだったんじゃないだろうか。もちろんこの巨大な戦艦すべての位置関係を示してほしいなどとは思わない。ただ、アクションのメインとなる場所や、主人公が敵から逃げる場所などは示しても良かったのではないかと思う。
「海のダイ・ハード」と言われただけあり、似たような場面や設定は散見される。急にタンクトップ姿になる主人公、ヘリコプターを爆破したケイシー・ライバックがロープを持ちながら戦艦から飛び降りる場面、銃の苦手なサブキャラクターが肝心な場面で主人公を救う場面など。ただでさえ似ているのに、「パクリやん!?」と観客がツッコんでしまうほどの場面を用意した意図は理解できない。
また、「ダイ・ハード(1988)」では基本的に主人公の単独行動だったが、本作ではエリカ・エレニアック演じるジョーダン・テートというヌードモデルが主人公の相棒になる。偽のサプライズパーティを信憑性あるものにするためにヌードモデルを呼ぶのは百歩譲って理解できたとしても、別にヌードシーンなんてなくても良いし、最後に主人公とキスするところまでいくのは理解しがたい。ただ巻き込まれる女性ではなく、銃器まで扱えるようになるというところは悪くないと思うが。
それから、敵の計画がケイシー・ライバック一人によって頓挫してしまうと言うのはスカッとするものがあると思う。ただ、本作の敵の計画の全容はボヤっとしている。計画の手順があり、その手順も敵側が観客向けに説明する場面を入れてほしかった。そうすれば、ここを邪魔すればいいという風に観客にもケイシー・ライバックの行動がイメージしやすい。
「海のダイ・ハード」と言われただけあり、似たような設定もあるが、ほとんど別物。特に隠れることなくあちこち移動しまくれるのは「ダイ・ハード2(1990)」の方が近い。要所に盛り上げるアクションは用意されているが、いまいち。もっと狭くて行動に制限のある電車を舞台にした「暴走特急(1995)」の方がよっぽど良い。
【関連作品】
「沈黙の艦隊(1992)」…ケイシー・ライバックが主人公のシリーズ1作目
「暴走特急(1995)」…ケイシー・ライバックが主人公のシリーズ2作目
取り上げた作品の一覧はこちら
【ソフト関連】
<BD(日本語吹替音声追加収録版)>
言語
├オリジナル(英語/イタリア語)
├日本語吹き替え
├ソフト版
├テレビ朝日版
映像特典
├淀川長治氏による解説