【タイトル】
イレイザー(原題:Eraser)
【概要】
1996年のアメリカ映画
上映時間は115分
【あらすじ】
証人保護プログラムのエージェントであるジョンは軍事企業の陰謀を知りFBIに協力したリー・カレンの保護を命じられるが、リーは保護を拒否して自宅に帰ってしまう。すると、リーの自宅が何者かによって襲撃を受け、ジョンが助けに現れる。
【スタッフ】
監督はチャック・ラッセル
音楽はアラン・シルヴェストリ
撮影はアダム・グリーンバーグ
【キャスト】
アーノルド・シュワルツェネッガー(ジョン・クルーガー)
ヴァネッサ・ウィリアムズ(リー・カレン)
ジェームズ・カーン(ロバート)
ジェームズ・コバーン(アーサー)
【感想】
1億ドルの大型予算に対して、全世界で2億4千万ドルのヒットを記録したが、批評家からの評価は賛否両論であった。本作のジョン・クルーガー役は当初シルヴェスター・スタローンにオファーされたが脚本を気に入らずに断り、「コップランド(1997)」に出演している。
ちなみにシュワルツェネッガーはジョンという名前の役を2024年現在4度演じており、本作は「コマンドー(1985)」のジョン・メイトリクス、「キンダガートン・コップ(1990)」のジョン・キンブル、そして本作のジョン・クルーガーが3度目だ(4度目は「サボタージュ(2014)」のジョン・ウォートン)。こうやって並べると「コマンドー(1985)」のジョン・メイトリクスは印象に残る役名でもあるな。
序盤のアクションシーンはどう見てもシュワルツェネッガーがやっているように見えない。特に素早い足捌きを見せるところはどう見たってスタントマンの仕事だろう。別にスタントマンを使うのは問題ないと思うのだが、シュワルツェネッガーができそうもない動きをスタントマンがやっていると分かると萎えてしまうものだ。シュワルツェネッガーが演じるキャラクターに素早い足捌きなんか求めていないんだよな。細かい指摘になるが、シュワルツェネッガーの映画を見ているという感覚を損なう要素になっているのは確かだった。
本作にはレールガンという兵器が登場する。スコープ越しに覗けば家の中や人間の体の中までお見通しの電磁砲である。リーが自宅を襲われる場面でそのレールガンがどのようなものか観客向けにも説明される。たとえ家の中にいようが、ターゲットの心臓の位置まで分かってしまうわけである。こういう他の映画でお見掛けしないような本作の重要なアイテムこそ、本作のテーマや描きたい物語にリンクした印象を与えるべきだが、シュワルツェネッガーがぶっ放すただの最新兵器という感じに終始してしまったのはもったいない。リーの行う企業スパイのようなことがあるだけに尚更だ。
本作の一番の見せ場はジョンが飛行機から脱出してパラシュートを開くとその飛行機が旋回して主人公に突っ込んでくるという場面だ(もちろんあんな短時間で旋回するのは不可能だが)。一時は危機を回避できたという油断からもう一度危機が訪れるというのは「ターミネーター(1984)」のクライマックスのようだし、絡まるパラシュートを何とか外して予備のパラシュートを開くというお約束のような展開も見事に決まっている。
また、クライマックスの死んだと思われたジョンが生きているところは「ターミネーター(1984)」を思い出すし、両手にレールガンを持って敵をやっつけるところは「ターミネーター2(1991)」を思い出す。それ以外にも動物園でワニと格闘して決め台詞を言う場面は、昔テレビ放映時に見た玄田哲章の吹替による「カバンにするぞ」が強烈な印象に残っている。
クライマックスが夜になってしまったのは、明るいところでレールガンを使っても映像映えしないからだと思うが、ややすっきりしないところだ。だからこそ、エピローグを昼間の場面で用意したのだと思うが。
シュワルツェネッガー主演のアクション映画として見れば十分だが、もっと面白くできたようには思う。
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