【作品#0797】チャーリーズ・エンジェル(2019) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

チャーリーズ・エンジェル(原題:Charlie's Angels)

【概要】

2019年のアメリカ/中国/ドイツ合作映画
上映時間は118分

【あらすじ】

エンジニアのエレーナは開発した装置に不具合があることを上司のフレミングに相談するが却下される。困ったエレーナはカフェでエドガー・ボスレーに相談していると、殺し屋から命を狙われ、エンジェルのジェーンとサビーナは彼女を助けようとするが…。

【スタッフ】

監督/脚本はエリザベス・バンクス
製作総指揮はドリュー・バリモア
音楽はブライアン・タイラー
撮影はビル・ポープ

【キャスト】

クリステン・スチュワート(サビーナ)
ナオミ・スコット(エレーナ)
エラ・バリンスカ(ジェーン)
エリザベス・バンクス(レベッカ・ボスレー)
パトリック・スチュワート(ジョン・ボスレー)
ジャイモン・フンスー(エドガー・ボスレー)

【感想】

16年ぶりに製作されたシリーズ3作目。4,800万ドルというこの手の映画にしては比較的低予算で製作され、全世界で7,000万ドル、アメリカ国内ではたったの1,700万ドルしか売り上げられなかった。

ルピタ・ニョンゴ、エマ・ストーン、マーゴット・ロビー、ジェニファー・ローレンスらに本作の出演を断られている。こういった女優達に本作への出演を断られたという事実がすべてを物語っているような気もする。本作の脚本は30回も書き直されているそうだが、これは奇しくもシリーズ1作目と同じである。

時代の流れを読むことも大事だと思うが、すべての作品で「女性らしさ」とか「女性の解放」とかについて言及しなければならないわけではない。割とこういうことに言及する作品やテーマとする作品は特に近年多い。もちろん本作がそういうことを言ってはいけないわけではない。ただ、本作はそれらしいセリフの応酬から始まったのに、結局セリフだけで終わってしまっており何が描かれたのかさっぱり分からなかったぞ。

また、これがリブートではなく「チャーリーズ・エンジェル(2000)」と「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル(2003)」に続くシリーズ3作目として製作された理由が理解できない。前2作品に出演していたキャラクターは一切登場しないのに「続編です」って言われても観客側がどう受け止めたら良いのか困るわ。一応、前2作品に出演したドリュー・バリモアが本作でも製作総指揮を務めているが(彼女が本作の映画化権を保有していたのは2019年まで)、彼女の写った写真が登場する場面しかない。

ジョン・ボスレーの誕生日を祝う際のビデオ映像には過去のジョンの姿がスライドショー形式で流れる。そこではTVシリーズや劇場版の過去のエンジェルたちの横にジョンがいる写真がいくつもある。となると、TVシリーズや劇場版の前2作品のボスレーはなかったことになるのか。本作がリブート作品ならまだ理解できるが、劇場版の3作目となるとボスレーを演じてきた1作目のビル・マーレーや2作目のバーニー・マックに対して失礼ではないだろうか。こうなるなら、リブートとして製作するか、このスライドショーの場面をそもそも描かないかのどちらかを選択すべきだ。

さらにこのジョン・ボスレーが黒幕であることが本作の世界観をぶち壊していると思うわ。映画内でも言及があったように元エンジェルが黒幕であることは確かに前作「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル(2003)」でも描かれた。だが、彼女たちの上司にあたるジョン・ボスレーが黒幕となれば、「この組織はそもそも大丈夫なのか??」って話になるし、なぜ長年組織に貢献してきたジョン・ボスレーが急に悪事に手を染めるのかもさっぱり分からん。

しかもジョン・ボスレーはエンジェルたちのいる場所を爆破しているが、そこにはエレーナもいる。ジョン・ボスレーにはエレーナが必要だが、エレーナが死ぬ可能性があるようなことをするかね。しかも、殺し屋たちを携えているのなら爆破した後にエンジェルたちにとどめを刺せば良かったのにそれもしない。エンジェルたちの上司がこんな悪党でこんなに頭も悪くて大丈夫かね。

そして、本作は前2作品とは異なり、メインの二人はエンジェルであり、巻き込まれるエンジニアのエレーナが最終的にエンジェルになるという物語になっている。冒頭のブラジルの場面でエンジェルのサビーナとジェーンはちょっとだけ確執があるように描かれているのだが、それが後の場面に全く生きていない。また、冒頭のブラジルの場面ではメインの二人のエンジェル以外のエンジェルたちも登場して戦ってくれる。しかし、ドイツに舞台を移した1年後からは基本的に二人のエンジェルしか出てこない。なぜブラジルでは10人くらいのエンジェルたちが揃って戦ったのに以降の場面では出てこないのか。むしろ以降の場面の方が大変そうだぞ。そして、ラストになって思い出したかのように他のエンジェルたちが応援に駆け付ける。なぜ苦戦した中盤では誰一人手を貸さなかったのにラストになって急に出て来るのか。これなら前2作品と同様に基本的にメインのエンジェルたちだけで解決する物語にすべきだった。

結局、本作で何を描き何を伝えたかったのかがさっぱり分からなかった。2010年代に入って女性3人が主人公の映画となると、「どれどれ。どんなことを描くのかな」といった色眼鏡で見られてしまうことだろう。少なくともそういった目線で映画を観た人には何も残らない作品と映ったことだろう。前2作品は決して出来の良い作品だったとは全く思わないが、こうなるくらいならあれくらいぶっ飛んだアクションコメディにした方が受け入れられたと思う。

【関連作品】


チャーリーズ・エンジェル(2000)」…シリーズ1作目
チャーリーズ・エンジェル フルスロットル(2003)」…シリーズ2作目
「チャーリーズ・エンジェル(2019)」…リブート



取り上げた作品の一覧はこちら



【予告編】
 


【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(英語/フランス語/ポルトガル語/ドイツ語/トルコ語)

 

<Amazon Prime Video>

言語
├日本語吹き替え


【ソフト関連】

<BD&DVD>

言語
├オリジナル(英語/フランス語/ポルトガル語/ドイツ語/トルコ語)
├日本語吹き替え
映像特典
├未公開シーン
├NGシーン
├ミュージック・ビデオ
├エンジェルたちの絆
├ボスレー役 エリザベス・バンクス
├アクションシーンの舞台裏
├エンジェルたちのスタイリング


<4K Ultra HD+BD>

収録内容
├上記BD&DVDと同様