【作品#0796】バッドボーイズ フォー・ライフ(2020) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

バッドボーイズ フォー・ライフ(原題:Bad Boys for Life)

【概要】

2020年のアメリカ映画
上映時間は124分

【あらすじ】

判事や警察関係者が次々に殺害される事件が発生し、マイクも敵の銃弾に倒れ一時は生死を彷徨うことになる。事件から半年後、何とか復帰したマイクは捜査するために刑事引退を決意したマーカスに協力を依頼する。

【スタッフ】

監督はアディル・エル・アルビ/ビラル・ファラー
製作はジェリー・ブラッカイマー/ウィル・スミス
音楽はローン・バルフェ
撮影はロブレヒト・ハイファールト

【キャスト】

ウィル・スミス(マイク)
マーティン・ローレンス(マーカス)
パオラ・ヌニェス(リタ)
ジェイコブ・スキピオ(アルマンド)
ジョー・パントリアーノ(警部)

【感想】

17年ぶりに製作されたシリーズ3作目には、主演の二人とジョー・パントリアーノが続投し、前2作品で監督したマイケル・ベイはゲスト出演を果たしている。全世界で4億ドルを上回るヒットを記録したことからシリーズ4作目の製作も決定した。

結論から言うとよくもこんな映画がヒットしてシリーズ4作目まで作られることになったなというところである。詳細は後述するが、良かったと思える点が殆ど見当たらない。

AMMOは最先端の技術を駆使して捜査する若者で構成された組織である。マイクが撃たれて6ヶ月が経過しても事件の手がかりについては何の成果も得られていないらしい。マイクを襲ったチンピラ集団くらいとっとと特定できるだろうに。映画終盤になってAMMOが解散することになる描写があるのだが、この一件で何の成果も得られずに存続していた組織が事件解決に向けて動き出すと解散することになるのも不自然。一体何のための組織なんだ。というか誰の権限で作られた組織なんだ。せめてAMMOの実績を1場面くらい用意したうえでアルマンドらはどうしても捕まえられないとかにしないとこの組織の映画内での存在価値がまるでないぞ。

映画中盤になってアルマンドがマイクを狙った銃弾が警部を死に至らしめる。そしてその後、マイクから何度も立ち上がることを要請されていた引退したマーカスは今回限りと釘を差して刑事に復帰することにする。映画中盤になるまでマーカスはマイクからの刑事復帰要請をずっと断ってきた。この二人がコンビとして活躍しなければこのシリーズであることの意義がなくなるため、たとえマーカスが引退したとしても復帰させなければならないのは理解できる。ただ、その動機となるのが警部の死であることは理解しがたい。シリーズ皆勤のジョー・パントリアーノ演じる警部を殺してまでマイクとマーカスのコンビは復活しなければならないのか。まるでマイクの努力ではどうにもならないと言わんばかりである。

結局、彼らがコンビ復活するのは映画が始まって半分くらい経過してからである。どうせコンビ復活するのはわかりきっている話なのだからとっととコンビ復活させるべきだし、マイクがマーカスに刑事復帰してもらうために努力するのではなく、近しい人物を殺すという脚本を用意するのはあまりにも安易すぎるわ。ジョー・パントリアーノはよくこんな役を引き受けたな。ブチギレても良いレベルの扱い。

また、アクションシーンも序盤のカーアクション以降は40分すぎまで何もない。しかもそのアクションシーンもどれもがどこかで見たようなものばかりで本作らしさや目新しさは一切感じられなかった。まだ前作のカーチェイスの方が記憶に残っているわ。

それから、マイクとマーカスはメカに弱く力に頼る経験豊富な年寄りでAMMOの連中がメカに強くルールを守る経験の少ない若者みたいな二項対立で描いていく。ただこの二項対立も映画内で全く機能しておらず、そもそもこのAMMOの連中は本作に不要だったんじゃないか。お互いがお互いの得意分野に頼ったりあるいは影響を受けたりする場面はない。というかたとえベテラン刑事だろうが新しいことを取り入れようとしないってそれはただの怠慢であり、凄腕刑事ではないと見えてしまうぞ。AMMOの連中にある程度の個性は与えられているが、基本的にはマイクとAMMOのリーダーでありマイクの元カノであるリタとのやり取りがメインである。このキャラクター配置も安易というか工夫がないというか。マイクの女性関係云々は前作でも描いたことだ。

捜査が失敗したことでAMMOが解散を命じられてしまう。そこでアルマンドらを捕まえるためにマイク、マーカス、AMMOの連中はメキシコシティへ向かう。言っておくが彼らはマイアミの刑事であり、メキシコへ勝手に行って捜査したり逮捕したりできないはずだ。はっきり言ってめちゃくちゃにも程がある。国際問題に発展しかねないぞ。バッドボーイズとかそんなレベルではない。ただの越権行為であり犯罪行為でしかない。前作で死体を使ったお遊びをしていたのが生温いと感じるほどだ。

また、敵のアルマンドが実はマイクの息子であるという展開になっていく。前年に出演した「ジェミニマン(2019)」と似たような展開なんだが、ウィル・スミスはよく2年連続で同じような展開になる作品に出演したな。しかも、この展開にしたことで急に安っぽい話になってしまった(それまでが上品という訳でもないが)。シリーズ1作目よりも前に「こんな話がありました」なんていくらでも作れると思うが、それがよりによってこれかよ。

これにより、冒頭にマーカスに孫が生まれたこと、マーカスがマイクに家族を持つように促すことがなかったような感じになってしまった。マイクに息子がいるという展開を中盤に持ってくるなら家族論とかそんな話はどうでもいい。女遊びばかりしていたマイクが潜入捜査官時代に関係を持った女性との間に息子がいたことが中盤に判明しても、映画的にはそれをマイクがどう受け入れるかについて真剣に考える時間を設けていない。そういうドラマ面を本シリーズに期待はしていないが、こんな展開入れるならマイクがその事実をどう受け入れるかは尺取って描くべきだと思うわ。それは母親に吹き込まれて次々に暗殺しまくってきたアルマンドにも言える。

マーカスがコンビ復活を決めるためにシリーズ皆勤の警部が殺されるという筋書きを用意し、本作の悪役アルマンドはマイクがかつて潜入捜査官時代に関係を持ったイザベラとの間にできた子供である。そのアルマンドはイザベラに吹き込まれてイザベラを投獄させた関係者を次々に暗殺させられている。シリーズで主演のマーカスとマイクに用意した物語があまりにも自分勝手すぎないか。多くの犠牲者と多大な迷惑をかけまくって最後の最後にマイクがマーカスに「ありがとう」じゃねーよ。彼らの精神年齢があまりにも幼稚過ぎてとても凄腕刑事に見えない。これならマイクとマーカスを成熟した大人として描き、彼らのような刑事を目指す若者を導く物語にすべきだった。

【関連作品】


バッドボーイズ(1995)」…シリーズ1作目
バッドボーイズ2バッド(2003)」…シリーズ2作目
「バッドボーイズ フォー・ライフ(2020)」…シリーズ3作目



取り上げた作品の一覧はこちら



【予告編】

 


【配信関連】

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言語
├オリジナル(英語/スペイン語)

 

<Amazon Prime Video>

言語
├日本語吹き替え

 

【ソフト関連】

<BD+DVD>

言語
├オリジナル(英語/スペイン語)
├日本語吹き替え
映像特典
├未公開シーン((8種)
├NGシーン
├『バッドボーイズ フォー・ライフ』製作の舞台裏
├最高の時間:バッドボーイズの歴史
├バッドボーイズのワルたち(3種)
├華麗なるスタントと特殊効果
├イースター・エッグ紹介
├スティーヴン・A・スミスのオーディション