【作品#0795】バッドボーイズ2バッド(2003) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

バッドボーイズ2バッド(原題:Bad Boys II)

【概要】

2003年のアメリカ映画
上映時間は147分

【あらすじ】

麻薬の密輸が後を絶たないマイアミでマイクとマーカスは麻薬の取引が行われているKKKの集会に乗り込むが…。

【スタッフ】

監督はマイケル・ベイ
製作はジェリー・ブラッカイマー
音楽はトレヴァー・ラビン
撮影はアミール・モクリ

【キャスト】

マーティン・ローレンス(マーカス)
ウィル・スミス(マイク)
ガブリエル・ユニオン(シド)
ジョルディ・モリャ(ジョニー・タピア)
ピーター・ストーメア(アレクセイ)
ジョー・パントリアーノ(ハワード警部)
マイケル・シャノン(フロイド)

【感想】

前作のヒットを受けて8年ぶりに製作されたシリーズ2作目は、前作を1億ドル以上上回る製作費がつぎ込まれ、全世界で2億7千万ドルのヒットを記録した。

一体どうしたらこれほどに冗長な作品になってしまうのか。その理由は脚本にあるだろう。本作は1作目の成功を受けてすぐに続編製作に動き出したが、ソニー幹部が脚本の出来に満足せずに1997年の時点で続編製作は一旦中止に追い込まれている。その後、多くの脚本家が手直しに手直しを加えて8年ぶりのシリーズ2作目が完成したというわけだ。ちなみに本作の脚本はクレジットされた2人以外に、IMDbを見る限りノンクレジットの脚本改訂に最低でも16人は携わっているようだ。誰の書いた脚本が映画内にどこまで残っているのか確認するのも大変そうだ。

もちろん面白ければたとえ147分の上映時間だろうが問題ないと考えているが、本作はいくらなんでも147分の上映時間が必要だとは全く思えない。とにかくギャグをやるためだけの場面があまりにも多すぎる。そのせいで麻薬組織を捕まえるという本筋が一切進んでいる感じがしないし、シーンの積み重ねでマイクとマーカスが着実に麻薬組織に近づいている印象もない(というか最初から目の前にいるじゃないか)。

それから、マイクとマーカスという二人のドラマもさっぱり。マーカスは冒頭の襲撃シーンで相棒のマイクにケツを撃たれたことでイライラしており、その雰囲気は映画の最後まで引きずっている。そして、事ある度に二人は口論し、その度に映画が止まってしまう。早口でまくしたてる彼らの言い合いも決して面白くはない。前作で描かれた同じ男として抱く憧憬を乗り越えるようなドラマは一切用意されていない。

また、マイクがマーカスの妹シドと恋仲であるという設定も映画内で全く生きていない。相棒の妹に手を出したことでマイクがマーカスに負い目を感じているという点で、実は前作とは逆のこと(あるいはそれに近しいこと)をやりたかったのだと何となく察するが、だとしてもこのドラマはうまく描けていない。仮にマイクの交際相手がマーカスの妹でなくても成立するレベル。

そして、アクションシーンは予算の大型アップを受けてとてつもなく派手なものになっている。前半のカーアクションでは一体何台の車を破壊したんだ。後に警部のセリフで警官に死者が出なかったと言っているが、こんな言い訳をセリフに入れるくらいならそんなアクションシーンはやらなければ良い。

ただ派手にすれば良いとは思わないし、予算の大型アップと面白さや迫力には必ずしも直結しているわけではない。特に本作で一番力を入れていたであろう前半のカーチェイスからの銃撃戦、そして再びカーチェイスというシーンである。銃撃戦になると位置関係がややいい加減な感じになっているのは残念。その後の大型キャリアカーを使ったアクションシーンは確かに迫力がある。ただ、大型キャリアカーに積載された車を次々に落としていくところは途中から飽きてくる。落とす車の台数が多ければ良いとは思えない(ちなみにマイケル・ベイ監督は「アイランド(2005)」でも「トランスフォーマー(2007)」でも同じようなシーンを撮っている)。一応の工夫は見られるが、アクションシーンでさえも長ったらしい。まだアクションシーンくらい引き締まっていれば映画全体の印象も変わったかもしれないが、どの場面も長ったらしい。

とんでもないレベルで町が破壊されるアクションが繰り広げられたのだから、たかだか刑事二人が動いてどうにかなるレベルの事態ではない。それでも終盤までは基本的に刑事二人が動いて話を進めていく形となる。そして、ラストにかけて今まで大して本筋に関わってこなかった奴らが次々に応援に駆け付ける。今更になってどうして急に?と思わざるを得ない。

そしてラストはもうすでにお腹いっぱいの状態の観客に濃い味付けの料理が運ばれてくる。これだけ破壊に破壊を繰り返していけばカタルシスでも得られるのかと思いきやそんなことはない。「ポリス・ストーリー/香港国際警察(1985)」オマージュがあったから何だって言うんだ。

シンプルなお話のはずなのにまどろっこしい描き方で、話は何度もストップするので誰が何のために行動しているのかさっぱり。主人公たちのギャグを描きたいのなら敵のキャラクターは一人にして後はその他大勢の手下で良いし、アクションシーンですらもっと減らせば良かったのだ。どうせマーティン・ローレンスは太って動けないのだろうから。製作陣に足し算ではなく引き算のできる人が必要だった。壊滅的な失敗作。

【関連作品】


バッドボーイズ(1995)」…シリーズ1作目
「バッドボーイズ2バッド(2003)」…シリーズ2作目
バッドボーイズ フォー・ライフ(2020)」…シリーズ3作目



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映像特典
├スタッフ&キャスト


【音楽関連】

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収録内容
├18曲/59分