【作品#0781】サブウェイ123 激突(2009) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

サブウェイ123 激突(原題:The Taking of Pelham 123)

【概要】

2009年のアメリカ映画
上映時間は106分

【あらすじ】

ニューヨークの地下鉄がライダーら犯罪集団に乗っ取られてしまった。ライダーは無線を受けた地下鉄運行指令室のガーバーに対して、1時間以内に1,000万ドル用意しないと車両にいる人質を殺すと告げ交渉役に任命する。

【スタッフ】

監督はトニー・スコット
音楽はハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影はトビアス・シュリッスラー

【キャスト】

デンゼル・ワシントン(ウォルター・ガーバー)
ジョン・トラヴォルタ(ライダー)
ジョン・タートゥーロ(カモネッティ)
ルイス・ガスマン(レイモス)
ジェームズ・ガンドルフィーニ(市長)

【感想】

トニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンによる4度目のタッグとなった「サブウェイ・パニック(1974)」のリメイク作品は、1億ドルの製作費に対して1億5千万ドルしか売り上げることができず、批評家からの評価も平凡なものにとどまった。

トニー・スコット監督の次回作「アンストッパブル(2010)」でも使われていたようなカメラが登場人物の周囲をグルっと回ったり、カメラごと近づいたり離れたり、同じ動きをする異なるカットを繋げたり…といった演出が本作でも用いられている。「アンストッパブル(2010)」ほど多用されてはいないが、この演出はオリジナルとの大きな違いである。

本作は次回作「アンストッパブル(2010)」と同様に一度動き出した自体が止められなくなるという点で共通しているが、本作のメイン舞台の一つとなる地下鉄の車両は乗っ取られた時点からは完全に停止している。動きの停止した状態のものを舞台としていかに物語を動かせるか。監督の腕の見せ所だと思うが、くどくない程度に演出されていたと思う。

また、オリジナルの「サブウェイ・パニック(1974)」との大きな違いは、メインキャラクターにはっきりとした背景と罪を背負わせたことであろう。主人公を演じたデンゼル・ワシントンが正義の味方でありながら大きな罪も背負っているというのは、後のロバート・ゼメキス監督の「フライト(2012)」を惹起させるし、人質の関係する物語ならロン・ハワード監督の「身代金(1996)」辺りも思い出させる。

一方のジョン・トラヴォルタ演じるライダーも要求した1,000万ドル欲しさの犯行ではなく、地下鉄ジャックが報道されることによる金の値上がりによって得られる利益が目的らしい(にしても値上がりしすぎ)。オリジナルではニューヨークの当時の財政や治安状況がそのまま反映された作品になっていたが、リメイクに当たる本作は公開前にリーマンショックが発生し世界が大きな経済的ダメージを受けていた頃である。もちろんリーマンショックが発生する前に製作が開始されていたのでこういった事情と映画を重ねるのは偶然であろう。

ただ、イタリア系で共和党のニューヨーク市長だったジュリアーニっぽいニューヨーク市長を演じたのはイタリア系のジェームズ・ガンドルフィーニである。ちなみに、警部補を演じたジョン・タートゥーロもイタリア系の俳優である。そして、悪役ライダーは元証券マンである。1,000万ドルを要求しながら、この事件で生じた金融市場の混乱に乗じて一儲けしていたわけだ。あれだけ儲けたのなら持ってこさせた1,000万ドルなんて持ち運ぶのは邪魔でしかないだろうに。

結局のところ、ガーバーに罪を背負わせ、その罪を全員の前で白状することになり、それでも事件解決のために体を張って、最終的にはお咎めなしで終わる感じである。ガーバーだって金に困って賄賂を受け取った。ライダーのように人の命を危険に晒して時に犠牲者を出すのと同列に語れないにしてもみんなお金に困っているという話になってしまった。そのうえで主人公だけが罪を自白して赦されるともなれば、キリスト教的ではあるが、やや自分勝手な話にも見えなくもない。罪を自白し(といってもライダーから言われなければ自白していなかったはず)、犯人をやっつければ善人になるのか。

とって付けたようなアクション(ガーバーがわざわざライダーを追う必要はない)も強引な結末もこの作風にはちょっとそぐわない気もした。割と単純なパニック映画だったオリジナルに深みを与えようとしたのだろうがそれは失敗に終わったと言える。

【関連作品】

サブウェイ・パニック(1974)」…オリジナル
「サブウェイ・パニック1:23PM(1998)」…リメイク(テレビ映画)
「サブウェイ123 激突(2009)」…リメイク(劇場用映画)



取り上げた作品の一覧はこちら



【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(英語/ウクライナ語)


【ソフト関連】

<DVD>

言語
├オリジナル(英語/ウクライナ語)
├日本語吹き替え
音声特典
├トニー・スコット(監督)による音声解説
├スタッフによる音声解説
映像特典
├製作の裏側“飽くなき挑戦”
├ニューヨークの地下へ潜入
├ヘアスタイルへのこだわり
├『サブウェイ123 激突』予告編集
├予告編集


<BD>

収録内容
├上記DVDと同様


【グッズ関連】

<ポスター>

サイズ
├68.㎝×101.5㎝