【タイトル】
ザ・シューター/極大射程(原題:Shooter)
【概要】
2007年のアメリカ映画
上映時間は124分
【あらすじ】
アメリカ海軍の狙撃手スワガーは、アフリカでの作戦中に相棒のドニーを失い、政府に不信を抱いて除隊していた。それから3年後、元軍人のジョンソン大佐がスワガーを訪れ、アメリカ大統領の暗殺計画を阻止するために協力してほしいと依頼される。
【スタッフ】
監督はアントワン・フークア
音楽はマーク・マンシーナ
撮影はピーター・メンジース・ジュニア
【キャスト】
マーク・ウォールバーグ(スワガー)
マイケル・ペーニャ(メンフィス)
ダニー・グローヴァー(ジョンソン大佐)
ケイト・マーラ(サラ)
イライアス・コティーズ(ジャック・ペイン)
ネッド・ビーティ(ミーチャム上院議員)
【感想】
スティーヴン・ハンターの「極大射程」の映画化。2016年からはマーク・ウォールバーグが製作総指揮を務めるテレビシリーズが3シーズン放映された。
この手の映画は本作製作当時、アクション映画は「ボーン・シリーズ」が世の中を席巻していた。特に「ボーン・スプレマシー(2004)」で監督を務めたポール・グリーングラスによる細かいカット割りや手持ちカメラによる画面の揺れなどを取り入れた演出は多くの模倣を呼んだ。ところが、本作はそういった演出はせずに、あくまで本作らしい手堅いアプローチで映画を仕上げたと言える。
手堅いのは演出だけでなく物語展開もである。主人公が相棒を亡くす、政府の陰謀に巻き込まれる、飼っていた犬を殺される(「ジョン・ウィック(2014」と一緒やん)、重傷を負うが経験と知識で治療する、味方してくれる女性の登場(相棒の元妻というのはあまりないか!?)、FBIに味方してくれる男を見つける、味方した女性が捕まる…。そのどれもがどこかで見たことのある光景ばかりである。さらに、主人公を演じたマーク・ウォールバーグもいつも通りである。ただ、だからと言って面白くないわけではない。
本作は全体的に丁度良いのであろう。追いつめられた主人公が今まで培ってきた経験をもとに下す判断は「なるほど」と思わせるものもたくさんある。またその経験に裏打ちされた銃捌きや格闘シーンも一定水準以上の面白さがある。ただ、ちょっと訓練したくらいで武器に関しては素人のメンフィスが少しは使い物になる展開はいきすぎかな。
また、冒頭の場面で相棒を亡くしたメンフィスが、中盤のアクションシーンで冒頭のシーンと同じ状況に遭遇することになる。その場面で彼の心のうちを描こうとしたのだろうが、本作のテイストならそこまで落とし込む必要もないかな。逆に浮いていたくらいだ。
ツッコミどころは探せば山ほどあるだろう。もし仮にスワガーを犯人に仕立て上げるのならば、わざわざ彼をスポッターとして現場に呼び寄せる必要すらないはずだ。しかも呼び寄せたその現場で彼を殺すのなら別に本当に巡査である必要はなく、プロがしたって良いはずだ。スワガーをはめようとする側があまりにも無能に見えてしまい残念なシークエンスであることは否定できない。
そして、ラストは法の裁きを受けることなくのさばるジョンソンやミーチャムが談笑する邸宅にスワガーが単身裁きを下すことになる。ジョンソンは苦しませる間もなく射殺され、ミーチャムは逃げられずにいるところを殺される。ジョンソンにはもう少し死の恐怖を味わせるべきだったんじゃないかと思う。
復讐を終えたスワガーはサラの運転する車に乗り込み二人で走り去るところで映画は終わる。スワガーの相棒の妻だったサラにも関連する出来事だったからこそ、彼女がラストで登場する意義があるのは分かる。ただ、細かい指摘になるが、スワガーに関連する人物を探る中、サラが旧姓に戻していたことでスワガーとの繋がりを見つけるのに時間がかかったと説明される場面がある。サラに辿り着くまでの時間を物語的に稼ぎたい意図は分かるが、本作で描きたいドラマを考えるとサラには旧姓に戻してほしくなかったかなと思えてしまう。
確かに弱点はあるし、ツッコミどころも山ほどある映画だが、陰謀ものとしても、アクション映画としても一定水準のものは提供されたと思う。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<BD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├アントワーン・フークワ(監督)による音声解説
映像特典
├生存への闘争 メイキング・オブ・「ザ・シューター/極大射程」
├独立記念館
├削除シーン
├劇場用予告編
<4K Ultra HD+BD>
収録内容
├上記BDと同様