【作品#0688】ブルークラッシュ(2002) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

ブルークラッシュ(原題:Blue Crush)

【概要】

2002年のアメリカ/ドイツ合作映画
上映時間は104分

【あらすじ】

サーフィン中の事故がトラウマになっているアン・マリーはその才能がありながらも最近はなかなか結果を出せずにいた。大会が迫る中、アンは友人らと練習に励んでいると、マットと知り合うことになる。

【スタッフ】

監督はジョン・ストックウェル
音楽はポール・ハスリンジャー
撮影はデヴィッド・ヘニングス

【キャスト】

ケイト・ボスワース(アン・マリー)
ミシェル・ロドリゲス(イーデン)
マシュー・デイヴィス(マット)

【感想】

ケイト・ボスワースの映画初主演作。ちなみに、本作で登場するパイプラインはハワイのオアフ島にあるサーフスポットであり、並みの大きさや質は世界でも指折りである。

本作を一言で表現するなら、女性版「ロッキー」、もしくはサーファー版「ロッキー」である。ただ、その「ロッキー(1976)」の劣化版と言わざるを得ない出来であると感じる。また、一つの映画の中にあれもこれも詰め込み過ぎであり、深堀り出来ていないエピソードもある。

まず、主人公のアン・マリーというキャラクターを好きになれない。冒頭の描写でアン・マリーが過去にトラウマを抱えているのは理解できる。ただ、それをアン・マリーが主体的に克服しようとする場面が全くと言って良い程ないのは理解に苦しむところである。そんなアン・マリーを周囲の友人、恋人、そして対戦相手の選手までもが励まして助けてくれる。わがままばかりの彼女に対して周囲があまりにも優しすぎる気はする。

また、大会の招待選手のアン・マリーは、その大会当日が迫ろうともほとんど練習する場面がないのも大いに気にかかる。上述の「ロッキー(1976)」には、印象的な音楽をバックに主人公が練習に励む様子が尺を取って描かれていた。ただ、本作では練習らしい練習は、おそらくイーデンがジェットスキーで連れて行ってくれるスポットでの場面くらいだろう。しかも、その場面も途中で喧嘩になってほとんど練習にすらなっていない。本作の描き方だと、類稀な才能の持ち主であるアン・マリーはトラウマを抱えているが、それを乗り越えればいとも簡単に活躍できると言いたげである。そういう意図の作品なら理解できるが、多分違うだろう。この練習シーンをほとんど入れなかったのは本作の失敗の大きな要因になっていると思う。

そして、アン・マリーとホテルのVIPの客だったマットとのロマンスも全く描けていない。お互いがお互いのどこに惹かれたのかもほとんど描写なく、「この手の映画だから」という程度の理由で彼らは恋仲になっているようだ。マットは基本的に良い奴で完成された人間として登場し、彼らの関係がこじれるのはすべてアン・マリーに原因がある。アン・マリーが「どうせ私はハワイで知り合った女性の思い出」としてしか見られていないとマットに詰め寄る場面があるが、完全に彼女のひとり相撲である。そんな彼女に対してもマットは聖人の如く怒ることなく慰めてくれる。このマットはキャラクターとして面白みに欠けるし、演じたマシュー・デイヴィスも驚く程に印象に残らない。

それから、アン・マリーの母親が家を出て別の男性と暮らしており、妹の世話をしているという設定もある。この設定に関してはほとんど深堀り出来ていない。アン・マリーが妹の世話をする母親代わりでもあるという設定にして彼女が大変だと観客に思わせ共感させるためだけの設定に見える。途中からアン・マリーはマットの宿泊するホテルに泊まり、その世話は友人任せにしている。それでも妹がグレることもない。

結局、アン・マリーは最後の最後までほとんど自分の力で何かをしようとしていない。大会が迫る中、親友の忠告を無視して、知り合ったマットとイチャイチャして現を抜かし、練習に励むことはない。大会当日になると周囲の人間がこれでもかと主人公を支え、最後には大波を操ることに成功し、夢だった雑誌の表紙を飾ることに成功する。これを見て何を感じろと言うのか。

確かに、水中撮影や海を映す美しいショットはあるし、海のイメージに合った音楽も多数流れるので夏の海を味わうことはできるだろう。ただ、ドラマ面の出来は割と壊滅的だった。

【音声解説】

参加者
├ケイト・ボスワース(アン・マリー役)
├ミシェル・ロドリゲス(イーデン役)
├サノー・レイク(リーナ役)

上記3名による対話形式の音声解説。ただ、サノー・レイクだけは遅れて途中参加となっている。仲の良い3人の女性たちの話を聞いているような感じである。撮影したのにカットされた場面の話、自分たちのスタントを務めたサーファーの話、ケイト・ボスワースがサーフィンをする場面でCGを使った唯一の箇所(雑誌の表紙に乗る場面)の話、

【関連作品】

「ブルークラッシュ(2002)」…シリーズ1作目
「ブルークラッシュ2(2011)」…シリーズ2作目だが、1作目との直接的な繋がりはない。



取り上げた作品の一覧はこちら



【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

【ソフト関連】

 

<DVD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典

├ケイト・ボスワース(アン・マリー役)、ミシェル・ロドリゲス(イーデン役)、サノー・レイク(リーナ役)による音声解説

映像特典

├メイキング

├未公開シーン

├水中撮影のテクニック

├プロモ

├劇場用予告編

├レニー・クラヴィッツ ミュージック・クリップ”If I Could Fall In Love”

├サーフィンの世界

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え