【作品#0670】荒鷲の要塞(1968) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

荒鷲の要塞(原題:Where Eagles Dare)

【概要】

1968年のイギリス/アメリカ合作映画
上映時間は158分

【あらすじ】

第二次世界大戦中の冬。アメリカ陸軍のカーナビー将軍がドイツ軍の捕虜となってしまった。カーナビー将軍の持つ機密情報がドイツ軍に漏れる前に救出すべく、スミス少佐やシェイファー中尉がカーナビー将軍のいる「鷲の城」へ乗り込むことになる。

【スタッフ】

監督はブライアン・G・ハットン
音楽はロン・グッドウィン
撮影はアーサー・イベットソン

【キャスト】

リチャード・バートン(スミス少佐)
クリント・イーストウッド(シェイファー中尉)

【感想】

イギリスの作家アリステア・マクリーンが発表した小説の映画化で、彼が映画用の脚本も担当している。本作に主演したクリント・イーストウッドは後にスパイものの映画「アイガー・サンクション(1975)」や「ファイヤーフォックス(1982)」で監督、主演している。

本作は中盤の「あの場面」までは誰が敵か味方か分からぬ状況で物語が進んでいき、その過程で犠牲者も出てしまう。その犠牲者が明らかに殺されていたのに誰が犯人か分からぬままドイツ軍の中に忍び込むことになる。本作ではドイツ兵も英語を話すという映画的な設定にしたために、言語の問題はないものとして進んでいく。

中盤に大きな物語の転換点がある。スミスは味方だと思っていたら実はドイツのスパイであると明かす。ところが捕まった3人にイギリスに潜むドイツのスパイの名前を書かせると、実はそれを聞き出すための作戦だったことが判明する。なんともまどろっこしい場面ではあるが、敵のスパイの名前を聞き出すために二重スパイとして潜入していたという設定だ。

本作は割りと地味なスパイサスペンス映画の印象もあるが、後の1980年代のアクション映画を思わせるほどに爆破シーンが多い。アクションシーンの見せ場はほぼダイナマイトの爆破に頼っていると言っても過言ではない。地味な場面とダイナマイトの爆破の場面を織り交ぜて進行していくのだが、ダイナマイトの爆破が続くので、やや単調になってしまった印象は拭えない。

何と言っても、主人公たちは持参した武器や装備を失うことが基本的になく、ダイナマイトは無限にあるように思えるし、弾薬も尽きることはない。ここは不測の事態により、ダイナマイトや弾薬が不足してしまい、敵の武器を奪ったり、あるもので武器を作ったりするほうがよりサスペンスを盛り上げることができたと思うし、ダイナマイトの爆破を続けずに済んだはずである。

何とか逃げおおせた主人公らが輸送機に乗り込むと、作戦の指示を出した大佐が待っており、その大佐が首謀者であることが判明する。この手の映画ではお約束のような展開ではあるが、どうも取って付けた印象は拭えなかった。

飛行機で降り立つ場面で始まった本作は、飛行機で飛び立って終わる。映画的にもきれいな終わり方である。大佐が飛行機を飛び降りたことですべてが解決すると、スミス少佐は緊張から開放されてぐったりした表情を見せる。長尺の映画だけに、観客も同じように伸びでもしたんじゃないかと思う。

映画全体で見れば、スパイ映画の割には事がうまく運び過ぎで、主人公たちが不利な状況になることはほとんどない。当初の予定があってそこから外れることでサスペンスを生み出すことができると思うのだが、そこが少ないのが本作の弱いところ。

それでもこれほどの長尺を見せ切る魅力はあるし、他のイーストウッド映画ではあまりお目にかかることのできない「2番手」での出演も貴重である。イギリスではすでに「007」シリーズが大ヒットしていた頃で本作もその影に隠れているかもしれないが、「007」シリーズの凡作に比べれば十分に楽しめる。




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