【作品#0611】スーパーマンⅣ/最強の敵(1987) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

スーパーマンⅣ/最強の敵(原題:Superman IV: The Quest for Peace)

【概要】

アメリカ/イギリス合作映画
上映時間は90分

【あらすじ】

米ソの核合意が決裂し、クラーク・ケントの働く新聞社デイリー・プラネットはタブロイド誌に買収されてしまった。そんな中、刑務所で服役中だったレックス・ルーサーは甥レニーの協力で脱獄してしまう。

【スタッフ】

監督はシドニー・J・フューリー
原案はクリストファー・リーヴ
音楽はジョン・ウィリアムズ(テーマ音楽)
撮影はアーネスト・デイ

【キャスト】

クリストファー・リーヴ(クラーク・ケント/スーパーマン)
マーゴット・キダー(ロイス・レイン)
ジーン・ハックマン(レックス・ルーサー)
マリエル・ヘミングウェイ(レイシー)

【感想】

映画化権はイスラエルの映画会社キャノン・フィルムズに移行したが、製作直前に財政的な問題に見舞われ、シリーズ最低となる1,700万ドルの予算で製作された。試写が不評に終わったことで40分以上短くなった本作は、全世界でたったの1,500万ドルしか稼げなかった。映画製作中にクリストファー・リーヴとマーゴット・キダーの関係は悪化し、クリストファー・リーヴは後に本作の失敗に関与したことを後悔する発言まで残している。

どうやればこれほどまでに退屈になるのか。本シリーズは4作品とも紆余曲折を経て完成しており、本作もその例外ではないが、酷いと感じた2作目や3作目が遥かにマシに見えるレベルである。

当時のスーパーマン映画に観客が求めていたものは「ヒーローが悪役をやっつける」ことだったと思うし、本作に子供を登場させてその子供にヒーローが活躍することを期待していることまで言わせているのだから、特に子供向けにはそうだったのだろう。ただ、これほどまでに低予算になるなら、仮に観客の期待するものと違うものだとしてもドラマ面で勝負すべきだったと思う。その脚本ですら、当時の米ソ冷戦下の事情の表面だけをなぞったようなお話で、最後にスーパーマンに世界平和を願うスピーチまでさせているんだから話にならない。

クラークやロイスが勤務するデイリー・プラネットも下品なタブロイド誌に買収され、最終的に編集長が銀行に掛け合いそのタブロイド誌の傘下から脱却するという結末になるが、そこも映画の流れとまるで連動していない。「新聞が売れるためなら何でもする」という、本作で悪役としても描かれる新オーナーの発言こそ、本作を何とかヒットさせるために米ソ冷戦などの話題に便乗している様子と変わらないぞ。

そして悪役のニュークリアマンは誕生した瞬間に「太陽のエネルギーがないと生きていけない」という弱点を晒す。あくまで邦題のサブタイトルではあるが、どこが「最強の敵」なのか。子供だましにすらなっていない。

本シリーズは1作目をピークに売り上げも評価も右肩下がりで、本作の大失敗が決定打となり、「正統派」のスーパーヒーロー映画はしばらく日の目を浴びなくなってしまう。たとえ後に2作目のリチャード・ドナーCUT版が発表されようとも、本シリーズは1作目で終わっていたのだと改めて感じた。

 

【関連作品】


スーパーマン(1978)」…シリーズ1作目
スーパーマンⅡ 冒険篇(1980)」…シリーズ2作目
スーパーマンⅢ 電子の要塞(1983)」…シリーズ3作目
「スーパーマンⅣ 最強の敵(1987)」…シリーズ4作目
スーパーマン リターンズ(2006)」…シリーズ2作目の続編として製作された作品
マン・オブ・スティール(2013)」…リブート/DCエクステンデッド・ユニバース1作目
バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生(2016)」…DCエクステンデッド・ユニバース2作目
「ジャスティスリーグ(2017)」…DCエクステンデッド・ユニバース5作目

 


 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

【ソフト関連】

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語)

音声特典

├マーク・ローゼンタール(脚本)による音声解説

映像特典

├スーパーマン50周年記念特番

├未公開シーン集
├オリジナル劇場予告編