【作品#0570】セブン・サイコパス(2012) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

セブン・サイコパス(原題:Seven Psychopaths)


【概要】

2012年のイギリス/アメリカ合作映画
上映時間は110分

【あらすじ】

「セブン・サイコパス」というタイトルの映画脚本を執筆中のマーティだが、執筆作業はなかなか捗らずにいた。友人のビリーはマーティを助けるべく、新聞にサイコパス募集の広告を載せる。

【スタッフ】

監督/脚本はマーティン・マクドナー
音楽はカーター・バーウェル
撮影はベン・デイヴィス

【キャスト】

コリン・ファレル(マーティ)
サム・ロックウェル(ビリー)
ウディ・ハレルソン(チャーリー・コステロ)
クリストファー・ウォーケン(ハンス)

【感想】

長編映画デビュー作「ヒットマンズ・レクイエム(2008)」に引き続き、マーティン・マクドナー監督がコリン・ファレルを主演に起用した作品。

本作はクエンティン・タランティーノ監督の「パルプ・フィクション(1994)」や、そのフォロー作品とも言える「クライム&ダイヤモンド(2001)」を連想させる作品である。「パルプ・フィクション(1994)」にも出演していたクリストファー・ウォーケンが本作にも出演しているのはそういった意図からだろう。また、特にメインキャラクターが物語を作っていくというところは後者の作品と非常に近しい印象を持った。

また、本作のテーマはハリウッドへの皮肉だろう。アイルランドの両親の元、イギリスのロンドンで生まれたマーティン・マクドナー監督が本作のファーストカットを、あのロサンゼルスのハリウッドサインにしている。「これからハリウッド映画が始まりますよ」と言わんばかりである。主人公のマーティは、銃撃戦など必要ないと語っているが、彼に物語を提供するビリーは、終盤に銃を3丁も使った銃撃戦を繰り広げ、車を撃っただけで爆発するといういかにもハリウッドらしい見せ場を皮肉っぽく描いている(その直前の会話で、ビリーの考える物語に登場するチャーリーが銃を撃たれただけで爆破し、それをマーティとハンスが馬鹿にするシーンがある)。さらに、本作序盤に映画館でマーティとビリーが鑑賞している映画は北野武監督の「その男、凶暴につき(1989)」である。ハリウッド映画ではなく、ヨーロッパ受けの良い日本映画が選ばれているのも意図的だろう。

しかも、この物語を提供するビリーを演じるのはアメリカ人(しかもハリウッドのあるカリフォルニア生まれ)のサム・ロックウェルである。アメリカ人の登場人物が語るハリウッドっぽい物語をアイルランド人の監督と、主人公を演じたアイルランド人の俳優(コリン・ファレル)が皮肉たっぷりに演出し、演じているのだ。それに人が死にまくるのもハリウッド映画らしい。

そして、主人公が映画脚本家で、本作のマーティン・マクドナー監督が脚本も担っているとなると、主人公のマーティは監督の写し鏡であると捉えるのが自然だろう。この手の映画になると、映画製作に行き詰まりを感じている映画監督本人の心情がそのまま映画に反映しているのだと感じる。

ビリーが友人のマーティに映画脚本用の「セブン・サイコパス」を執筆できるように行動してヒントを与えてくれる。そして終盤、ビリーが殺人犯で彼が真のサイコパスであると判明する。やっぱり「アメリカ人(ハリウッドの映画人)は狂っている」ということなんだろうか。ただ、この各サイコパスの物語がうまく絡み合った印象はさほどなく、ちょっと無理に感じてしまうエピソードもあった。

メインキャストの演技が素晴らしく、特にサム・ロックウェルのお調子者ぶりは見応え十分で、マーティン・マクドナー監督の次回作「スリー・ビルボード(2017)」でオスカー獲得も頷けるものであった。

【関連作品】

「その男、凶暴につき(1989)」…本作でマーティとビリーが映画館でこの映画を鑑賞している場面がある。

 

 

 

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<BD>

 

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