【タイトル】
悪魔の赤ちゃん(原題:It's Alive!)
【概要】
1974年のアメリカ映画
上映時間は91分
【あらすじ】
フランクとレノアの間には新しい命が宿り、産気づいたレノアをフランクは病院へ連れて行く。レノアは分娩室で赤ちゃんを産むが、産科医や看護師らは生まれてきた赤ちゃんに次々と殺されてしまう。
【スタッフ】
監督/脚本はラリー・コーエン
音楽はバーナード・ハーマン
撮影はフェントン・ハミルトン
【キャスト】
ジョン・ライアン(フランク)
シャロン・ファレル(レノア)
【感想】
低予算ホラー映画の作家として知られるラリー・コーエンの代表作の1つで、後に2つの続編とリメイクが製作された。
本作は「ローズマリーの赤ちゃん(1968)」や「エクソシスト(1973)」からの影響が指摘されている。生まれた赤ちゃんが人間ではない他の何か凶暴なものではないかと両親、特に父親が悩まされることになる。その父親フランクが中盤に語るようにフランケンシュタインの物語でもある。ご存じのように、フランケンシュタインとは怪物のことではなく、その怪物を生んだ博士の名前である。そして、その博士も生み出した怪物と同様にまさに怪物なのである。フランクという名前にしたのもフランケンシュタインが由来だろう。
この凶暴な赤ちゃんは直接的な描写はほとんどなく、映ったとしても1秒未満の短い映像だけである。姿を現さないからこそ得られる恐怖は、本作の翌年「JAWS/ジョーズ(1975)」にも通じるところである。
赤ちゃんが医師や看護師を殺して逃走すると、ラジオから両親の名前が公表されたことをフランクは知る。さらに会社からはフランクが悪いわけではないのに営業に行かせるわけにはいかないと言ってくる。父親のフランクは次々に嫌な目に遭い、彼自身も凶暴な赤ちゃんを憎んで自らの手で撃ち殺そうと奔走する。ところが、徐々にその父性に気付いていき、水路で見つけた赤ちゃんを抱きかかえて涙を流す。ただのホラー作品ではないものに仕上げようとした心意気が感じられる。
傑作とまでは言えないが、70年代っぽい、またB級映画らしい良い意味での粗い感じが妙にマッチしている。両親を演じたジョン・ライアンもシャロン・ファレルも好印象。タイトルだけで敬遠されそうな作品ではあるが、食わず嫌いせずに鑑賞してほしい。
【音声解説】
参加者
├ラリー・コーエン(監督/脚本)
監督/脚本のラリー・コーエンによる単独の音声解説で、DVD発売時に収録されたものである。キャストについての細かい話、長年照明を担当していた80歳近いおじいさんを撮影監督に抜擢した話、同時に2本の映画を監督していた話、バーナード・ハーマンとの逸話、最初の公開後にワーナーの上層部が入れ替わり、監督の説得により初公開から3年半後に大規模公開して1位を獲得した話、シンガポールでは当時ワーナーの作品で「マイ・フェア・レディ(1962)」に次ぐヒットを記録した話、フランスでトリュフォーに会った話、作品を作ったきっかけの話などしてくれる。特にバーナード・ハーマンに関する話は大変興味深かった。
【関連作品】
「悪魔の赤ちゃん(1974)」…シリーズ1作目
「悪魔の赤ちゃん2(1978)」…シリーズ2作目
「悪魔の赤ちゃん3 禁断の島(1986)」…シリーズ3作目
「ダニエル 悪魔の赤ちゃん(2008)」…シリーズ1作目のリメイク
取り上げた作品の一覧はこちら
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
音声特典
├ラリー・コーエン(監督)による音声解説
映像特典
├予告編