【タイトル】
アーティスト(原題: The Artist)
【概要】
2011年のアメリカ/フランス合作映画
上映時間は100分
【あらすじ】
1927年のハリウッドでは、ジョージ・ヴァレンティンがサイレント映画のスターとして君臨していた。そんな彼と偶然知り合ったペピー・ミラーはハリウッドでの成功を夢見ており、徐々に頭角を現し始める。
【スタッフ】
監督/脚本はミシェル・アザナヴィシウス
音楽はルドヴィック・ブールス
撮影はギョーム・シフマン
【キャスト】
ジャン・デュジャルダン(ジョージ・ヴァレンティン)
ベレニス・ベジョ(ペピー・ミラー)
ジョン・グッドマン(アル・ジマー)
ジェームズ・クロムウェル(クリフトン)
【感想】
第84回アカデミー賞で作品賞含む5部門を受賞したサイレント映画。アカデミー賞でサイレント映画が受賞したのは第1回の「つばさ(1927)」以来、前編モノクロの映画が受賞したのは「アパートの鍵貸します(1960)」以来であり、フランス映画が受賞したのは史上初である。
アカデミー賞受賞作と言えば観客のハードルも挙がってしまう。本作はそういった作品として見るよりかは、掘り出し物の一本として観た方が良いかもしれない。映画界がサイレントからトーキーに移り変わる時代を描いた作品で、当然「雨に唄えば(1952)」を連想するし、主演したジャン・デュジャルダンはジーン・ケリーを思わせる風貌がある。そういった往年のハリウッド映画やサイレント映画への愛が詰まった作品である。
本作は主人公が拷問されているという設定の劇中劇から始まり、最初の中間字幕は「Speak(話せ)」である。当然主人公なので拷問されても「話さない」わけであり、それがサイレント期の映画であることとうまく繋がっている。さらにはその劇中劇を上映する映画館の舞台裏では「私語厳禁」の注意書きが掲示されているところも気が利いている。
サイレント期のスター俳優ジョージはトーキーなんかに目もくれずにサイレント映画を製作し続けるが次第に落ち目になっていく。そんな彼を示すように彼が階段を降りる場面が本作内で何度も使用されている。そして、スターを夢見てハリウッドにやって来たペピーは、ジョージと出会ったことがきっかけでスターの道を登り始める。何と言っても彼らが階段の踊り場で出会い、ペピーがジョージを見下ろす形で会話する場面が象徴的である。
監督の妻であり、本作のヒロインであるペピーを演じたベレニス・ベジョが何とも魅力的である。親しみやすさとスター性を兼ね備えており、彼女が人気者になっていき、プロデューサーをも納得させるだけの説得力が十二分にあった。
極力映像だけで分かるように作られたシンプルなストーリーで、悪役らしい悪役も登場しない。この時代にサイレント映画が作られたというだけでも十分に価値のある良作。
【音声解説】
参加者
├ミシェル・アザナヴィシウス(監督)
監督のミシェル・アザナヴィシウスによる単独の音声解説。かつての名作からの引用、映像で表現したこと、試写から変更した箇所、主演俳優から端役に至るまでの役者の印象、オリジナル音楽と引用した音楽についてなど語ってくれる。
【関連作品】
「サンセット大通り(1950)」…本作の冒頭でフランツ・ワックスマンによる音楽を引用している。
「めまい(1958)」…本作の終盤でバーナード・ハーマンによる音楽を引用している。この件について、「めまい」に出演したキム・ノヴァクは、本作で音楽を引用したことは「めまい」に対するレイプであると公言したことが話題となった。
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
音声特典
├ミシェル・アザナヴィシウス(監督)による音声解説
映像特典
├三谷幸喜監督×ミシェル・アザナヴィシウス監督 対談映像
├メイキング
├ジャン・デュジャルダン×ミシェル・アザナヴィシウス監督によるQ&A
├ルドヴィック・ブールス インタビュー&サントラ収録風景
├NGシーン集
├フォトギャラリー
├アギー スペシャル映像
├予告編集
├キャスト・スタッフ プロフィール(静止画)
<BD>
収録内容
├上記DVDと同様