【タイトル】
アパートの鍵貸します(原題:The Apartment)
【概要】
1960年のアメリカ映画
上映時間は120分
【あらすじ】
保険会社に勤めるバクスターは、昇進のために4人の部長に愛人との密会場所として自宅のアパートを時間貸ししていた。ある日、シェルドレイク部長からも部屋を貸し出すように言われ、その相手がバクスターも気になっていたエレベーター係のフランだった。
【スタッフ】
監督/脚本/製作はビリー・ワイルダー
音楽はアドルフ・ドイッチェ
撮影はジョセフ・ラシェル
【キャスト】
ジャック・レモン(バクスター)
シャーリー・マクレーン(フラン・キューブリック)
フレッド・マクマレイ(ジェフ・シェルドレイク)
レイ・ウォルストン(ジョー・ドービッシュ)
【感想】
前年「お熱いのがお好き(1959)」に続いてビリー・ワイルダー監督とジャック・レモンがタッグを組んだ作品。アカデミー賞では作品賞含む5部門を受賞した。
まず、なぜバクスターの上司らがホテルを使わずに部下のアパートを利用しているのかというと、「Hotel Detective(ホテル探偵)」なるものが存在し、ホテルでの犯罪防止などを取り締まっていたかららしい。日本には存在しないらしいが、三谷幸喜監督の「THE 有頂天ホテル(2006)」で石井正則が演じたキャラクターに相当する。このような点について本作では一切の説明がないので、「なぜホテルを使わないのか」という疑問を抱いた人ならその疑問が解消されないまま鑑賞することになるだろう。
複数の上司にアパートの部屋を貸しまくるバクスターをジャック・レモンが好演。バクスターはほとんど仕事をしておらず、まるで会議日程を調整するかの如く、上司に自分のアパートの部屋を貸す日程調整をしている。特に業務遂行能力が高いという設定ではないが、日程調整を巡る一連の業務のスピード感と正確さは素晴らしいと思ってしまう。また、大きな部屋にデスクが大量に並べられ、皆が画一的であるところも主人公が平凡であることを際立たせる要素となっている。
そんなバクスターが気になるのはエレベーターガールのフランである。彼らの軽妙なやり取りはさすがビリー・ワイルダーといったところである。そして、フランがバクスターの上司シェルドレイクの愛人であることが、割れた鏡で判明するくだりは非常にスマートである。
フランがシェルドレイクの女性遍歴を知らされてからは陰鬱な展開になっていくが、ジャック・レモンとコミカルな展開で決して暗くなっていかないところはさすがである。たとえ周囲に軽い男だと思われても良い人であり続けるところに共感できるところがある。
バクスターは事態を悪化させなかったことでシェルドレイクから評価されて昇進する。また、ついに離婚を決心したシェルドレイクにフランも決心しようとする。ラストは、会社を辞めたバクスターが引っ越しのための荷造りをしているところへ、シェルドレイクと決別したフランがやって来る。バクスターの銃の話が伏線となり、シャンパンのボトルを開けた音にフランが驚くところもベタながら見事である。そしてトランプの続きをするところで映画は幕を閉じる。中盤以降ずっと悲しげな表情をしていたシャーリー・マクレーンの笑顔と、トランプを配りながらフランを見続けるジャック・レモンの表情が素晴らしい。
監督やキャストにとっての代表作となる本作は、長い時を経ても燦然と輝いている。幾度の視聴にも耐えうる傑作。
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【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え(日本テレビ)
※日本語吹き替えの欠落箇所はオリジナル音声/日本語字幕で対応(約93分)
<BD>
言語
├オリジナル(英語)
音声/映像特典
├収録されているが日本語字幕なし