【タイトル】
マイ・ボディガード(原題:Man on Fire)
【概要】
2004年のアメリカ/イギリス合作映画
上映時間は146分
【あらすじ】
誘拐が多発するメキシコにおいて、誘拐保険に加入するにはボディガードを雇うことが条件である。会社経営をするラモス一家は、9歳の娘ルピタのためにクリーシーをボディガードとして雇うことにする。
【スタッフ】
監督はトニー・スコット
脚本はブライアン・ヘルゲランド
音楽はハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影はポール・キャメロン
【キャスト】
デンゼル・ワシントン(ジョン・W・クリーシー)
ダコタ・ファニング(ルピタ・ラモス)
クリストファー・ウォーケン(ポール・レイバーン)
ラダ・ミッチェル(リサ・ラモス)
ミッキー・ローク(ジョーダン・カルフス)
【感想】
トニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンは「クリムゾン・タイド(1995)」以来2度目のタッグとなり、後に計5度のタッグを組むことになる。トニー・スコット監督がデビュー作「ハンガー(1983)」の次回作として目論んでいたが、実力を疑問視されて実現せず、1987年にエリ・シュラキ監督、スコット・グレン主演で「燃える男」として映画化された。長い時を経た2004年に、舞台をイタリアから誘拐の多発するメキシコに舞台を変更して映画化された。
ハリウッド映画では珍しい二幕構成で、第一幕はクリーシーとピタとの交流を描き、第二幕でクリーシーによる復讐を描いている。この誘拐もので二幕構成というと、後にベン・アフレックが初監督作を務めた「ゴーン・ベイビー・ゴーン(2007)」も同様である。
主人公のクリーシーは生きる気力を失った男だが、その描写がやや物足らない。過去に何があったかは映像では示されず、デンゼル・ワシントンの演技や設定から想像しなければならなくなっている。ここはちょっとしたフラッシュバックがあるだけでも印象は大きく変わったように思う。
ただ、その落ちた男をデンゼル・ワシントンなりに好演しており、程よくやさぐれた感じはさすがである。そんなクリーシーの心を動かすのが天真爛漫ともいえるピタである。こちらも天才子役ダコタ・ファニングの抜群の魅力で説得力がある。愛する女性も子供もいないクリーシーが惚れこむだけの魅力がある。ピタが大人であれば完全にロマンス映画になるね。
60分に1件の割合で誘拐事件が発生していたというメキシコシティ。冒頭の数分の映像だけで誘拐されたらどうなるかを明示していたのもスマートであった。そしてピタが誘拐されてから事件は二転三転していくことになる。都合よく主人公に有利な展開が続いていくのはマイナスポイントだが、ハードボイルドな復讐劇は、後の「イコライザー(2014)」を想起させる。
クリーシーは自分の命と引き換えにピタを取り戻すことに成功する。落ちた男が唯一の希望を失い、命を懸けて復讐していくデンゼル・ワシントンの姿には哀愁を感じさせるものがあった。さらにラストシーンで流れ始めるカルロス・バレラの「Una Palabra」が本作の雰囲気に非常にマッチしており、最高の締めくくりになっている。傑作とまではいかないが、誘拐もの、あるいは復讐ものとしては間違いなく良作。
【音声解説】
参加者
├トニー・スコット(監督)
本作の監督トニー・スコットによる単独の音声解説。トニー・スコット監督がデビュー作の次に本作の監督をする予定でキャスティングも決まりかけていたが、諸事情により「トップガン(1986)」の監督をすることになった話から、長い時を経て念願の映画化を実現した経緯は興味深い。
また、原作小説はありながらも当時中南米で起こっていた誘拐事件やそれに伴う実際の出来事を脚本に持ち込んだ話や、危険な場所でのロケハンで監督のボディガードが負傷した話など映画さながらの危険を孕んだ映画製作だった話を聞くことができる。
他にも、ダコタ・ファニングの印象やその他俳優たちのキャスティングの経緯や監督なりの意図、「シティ・オブ・ゴッド(2003)」や「ミスティック・リバー(2003)」などの他の作品への言及、撮影時のアイデアや映画会社の反対を押した話など聞き応えは十分である。
【関連作品】
「燃える男(1987)」…A・K・クィネルの小説「燃える男」の1度目の映画化
「マイ・ボディガード(2004)」…A・K・クィネルの小説「燃える男」の2度目の映画化
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語/スペイン語)
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語/スペイン語)
├日本語吹き替え
音声特典
├トニー・スコット(監督)による音声解説
映像特典
├予告編集
<DVD(2枚組/プレミアム・エディション)>
言語
├オリジナル(英語/スペイン語)
├日本語吹き替え
音声特典
├トニー・スコット(監督)による音声解説
映像特典(Disc1)
├予告編集
映像特典(Disc2)
├メイキング(約70分)
├削除シーン(15カット/コメンタリー付)
├世界初収録の別エンディング(コメンタリー付)
<BD>
収録内容
├上記DVD(1枚)と同様